【社労士監修】離職票と退職証明書の違いと交付方法~人事向け離職票マニュアル~

社会保険労務士法人クラシコ

代表 柴垣 和也(しばがき かずや)【監修】

プロフィール

退職者本人が希望した場合、企業がハローワークより受領して退職者に渡す必要がある「離職票」。これは、「退職証明書」とは別の書類です。今回は、離職票の交付の流れと、離職票の基となる「離職証明書」や「雇用保険被保険者資格喪失届」の書き方などをご紹介します。

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離職票とは

離職票とは、正式には「雇用保険被保険者離職票」と呼ばれる書類のこと。退職者が失業給付金(基本手当)の受給を申請する際に、ハローワークに提出しなければならない書類です。厚生労働省が日本で働く外国人向けに作成した資料によると、英語では「Separation notice for the insured of employment insurance」と表記するようです。
(参考:厚生労働省『TO PERSONS INTENDING TO RECEIVE UNEMPLOYMENT BENEFITS OFEMPLOYMENT INSURANCE SYSTEM 』)

離職票を交付するためには、まず従業員が雇用保険の被保険者資格を喪失した日の翌日から10日以内に「離職証明書」「雇用保険被保険者資格喪失届」をハローワークに提出する必要があります。提出書類の内容に間違いがないかどうかをハローワークが確認したのち、離職票が交付されることになります。

離職票とは

離職票の書式

離職票の書式には、「雇用保険被保険者離職票‐1(離職票‐1)」と「雇用保険被保険者離職票‐2(離職票‐2)」の2種類があります。

様式 主な項目
雇用保険被保険者離職票(離職票‐1) 個人番号(マイナンバー)、金融機関口座の記載欄、資格取得年月日、離職年月日、喪失原因など
雇用保険被保険者離職票‐2(離職票‐2) 離職日以前の賃金支払い状況、離職理由など

離職票‐1と離職票‐2は別々の紙ですが、離職票が必要な場面ではセットにして使用します。離職票‐1離職票‐2の見本は、ハローワークのホームページからダウンロードできます。

離職票の対象となる退職者

「雇用保険被保険者離職票」という正式名称にもあるように、離職票の対象となる退職者は、雇用保険に加入していた従業員に限られます。正社員やパートといった雇用形態を問わず、雇用保険の適用条件を満たしていた退職者は、離職票が交付される対象となります。

雇用保険の加入条件

以下の条件を両方とも満たした場合、雇用保険が適用されます。
条件①:1週間の所定労働時間が20時間以上であること
条件②:31日以上の雇用見込みがあること

条件②については、「期間の定めがなく雇用される場合」「雇用期間が31日以上である場合」「雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇い止めの明示がない場合」「雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合」のいずれかを満たしていれば良いとされています。
(参考:厚生労働省『雇用保険に加入していますか~労働者の皆様へ~』『雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!』)

離職票と退職証明書、離職証明書、雇用保険被保険者資格喪失届との違い

離職票と関連する書類には、退職証明書、離職証明書、雇用保険被保険者資格喪失届があります。それぞれの違いを表にまとめました。

離職票 退職証明書 離職証明書 雇用保険被保険者資格
喪失届
目的

退職後の諸手続きのため

退職の事実を証明するため

離職票を交付してもらうため

・雇用保険の被保険者でなくなったことを届け出るため
・離職票を交付してもらうため

交付元

ハローワーク

企業

企業

企業

書式・書き方

統一

統一されておらず、企業の任意

統一

統一

主な項目

個人番号(マイナンバー)、金融機関口座の記載欄、離職日以前の賃金支払い状況、離職理由など

使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の事由(退職の事由が解雇の場合は、その理由を含む)

離職年月日、退職者の住所または居所、離職理由、賃金額など

離職等年月日、喪失原因、離職票交付希望の有・無、1週間の所定労働時間、補充採用予定の有無、個人番号など

交付タイミング

雇用保険の被保険者資格喪失日の翌日から10日以内に、企業がハローワークに交付を依頼する

退職者から依頼があったときに、企業が遅滞なく交付する

退職日の翌日から10日以内にハローワークに提出

退職日の翌日から10日以内にハローワークに提出

退職証明書との違い

「離職票」と「退職証明書」は、どちらも従業員の退職後に交付されるものですが、目的や交付元、交付するタイミングなどが異なります。ハローワークが交付する公文書が「離職票」、企業が交付する私文書が「退職証明書」だと覚えておくと良いでしょう。


(参考:『【社労士監修】退職証明書の正しい書き方と離職票との違い。フォーマット・記載例付』)

離職証明書との違い

離職証明書は、離職票‐2の内容と記載項目が基本的に同じであるため混同されることも多いですが、交付元が違います。離職証明書は、企業が作成してハローワークに提出する書類です。離職証明書は1式が3枚1組の複写式で、1枚目が「事業主控」、2枚目が「ハローワーク提出用」、3枚目が「退職者に渡す離職票(離職票‐2)」となっています。ハローワークに離職証明書を提出すると、1枚目(事業主控)と3枚目(離職票‐2)が交付されます。離職証明書は離職票‐2の基になる書類だと理解しましょう。
(参考:厚生労働省『第5章 被保険者についての諸手続』P38~)

雇用保険被保険者資格喪失届との違い

離職票‐2と離職証明書の場合と同様、企業側が作成した雇用保険被保険者資格喪失届を基に、ハローワークが離職票‐1を交付します。離職票‐1は、雇用保険被保険者資格喪失届を基に作成されるものだと覚えておくと良いでしょう。
(参考:厚生労働省『第5章 被保険者についての諸手続』P36~P37)

離職票が必要になるタイミング

離職票は、退職後の諸手続きの際に必要となります。

退職者が雇用保険の失業給付を受けたいとき

「退職時に次の就職先が決まっていない」「いつでも就業できる能力(健康状態・環境など)にある」など一定の要件を満たした場合に、退職者は雇用保険の失業給付を受けることができます。雇用保険の失業給付を申請する際には、離職票を提出する必要があります。
(参考:厚生労働省『Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~』)

退職者が年金や健康保険の手続きをするとき

退職後には、退職者自身が年金や健康保険の手続きを行います。そうした手続きの際、離職票が必要になる場合があります。ただし、全国健康保険協会や日本年金機構のホームページによると、離職票の「コピー」でも問題ないようです。
(参考:全国健康保健協会『申請に必要なもの』)
(参考:日本年金機構『厚生年金保険に加入している被保険者(第2号被保険者)が、配偶者を扶養にするときの手続き』)

離職票交付の流れ

離職票の交付の流れを、順を追ってご紹介します。

離職票交付の流れ

フロー①:離職票が必要かどうかを確認

「退職時に転職先が決まっている」「退職後すぐに働くつもりはない」といった理由から、退職者が離職票の交付を希望しない場合もあります。そのため、まずは退職する社員に離職票が必要かどうかを在籍中に確認しましょう。なお例外として、59歳以上の社員が退職する場合には、本人の希望の有無にかかわらず、離職票の交付が義務付けられています。
(参考:厚生労働省『第5章 被保険者についての諸手続』)

フロー②:離職証明書・雇用保険被保険者資格喪失届を作成

離職票が必要な場合、退職日以前に離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届を作成します。ハローワークへの提出期限に間に合うよう、退職日が決定した時点で作成に取り掛かることが望ましいです。離職証明書の賃金欄には、退職する月の賃金も記入する必要があります。既に支払った賃金については事前に記入しておき、退職する月の賃金については、金額が確定した時点で記入しましょう。

フロー③:退職者による離職証明書の確認

離職証明書の記入が終わったら、退職日以前に離職証明書を退職者にいったん渡します。離職証明書の記載事項について退職者に説明した上で、賃金や退職理由などが間違っていないかを、退職者に確認してもらいましょう。記載内容に間違いがなければ、退職者に署名・捺印をしてもらい、離職証明書を回収します。退職日までに有給休暇を連続して取得する社員も多いため、確実に離職証明書を確認してもらえるよう、退職日までの予定を確認しておくと良いでしょう。

フロー④:ハローワークに離職証明書・雇用保険被保険者資格喪失届を提出

離職証明書・雇用保険被保険者資格喪失届は、社員が雇用保険の資格を失った日の翌日から10日以内に、事業所の所在地を管轄するハローワークに提出する必要があります。届出が遅れたり滞ったりすると、離職票の交付も遅れ、退職者が雇用保険の失業給付を受ける際に影響が出てきてしまうため、必ず期限内に届出ましょう。届出の際には、以下の書類を持参する必要があります。

届出の際に持参するもの

 ・労働者名簿
 ・出勤簿(タイムカード)
 ・賃金台帳
 ・離職理由の確認できる書類(退職届、就業規則、役員会議事録など)

(参考:厚生労働省『第5章 被保険者についての諸手続』)

フロー⑤:ハローワークが離職票を交付

離職証明書の記載内容に不備がなければ、ハローワークが離職証明書の3枚目を離職票‐2として交付します。その際に渡される書類には、「企業で保管するもの」と「退職者に渡すもの」があります。

企業で保管するもの 退職者に渡すもの
書類名

●雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(事業主通知用)
●雇用保険被保険者離職証明書(事業主控)

●雇用保険被保険者離職票‐1(離職票‐1)兼雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(被保険者通知用)
●雇用保険被保険者離職票‐2(離職票‐2)

(参考:厚生労働省『第5章 被保険者についての諸手続』)

フロー⑥:離職票を退職者に送付

ハローワークから離職票をもらったら、「離職票‐1」と「離職票‐2」を退職者に送付します。離職票が退職者の手元に届く目安とされているのが、退職日から10日~2週間後です。離職票は退職者にとって大切な書類であるため、速やかに郵送しましょう。

離職証明書の書き方

離職証明書の書式は、以下のようになっています。離職証明書は、ハローワークインターネットサービスでも申請に必要な帳票を作成できます。
(参考:e-Gov『雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)(平成30年10月以降手続き)』)

離職証明書の左側には「基礎日数」「賃金」などの記載欄が、右側には「離職理由」に関する記載欄があります。ここでは、離職証明書の記載項目と、特に注意が必要な項目の記載方法をご紹介します。

離職証明書の記載項目

離職票-2を交付してもらうために必要な離職証明書には、以下の項目があります。

項目 記載方法
①被保険者番号 「雇用保険資格取得等確認通知書」から、正確に転記
②事業所番号 「雇用保険資格取得等確認通知書」から、正確に転記
③離職者氏名 退職者の氏名にフリガナを添えて記載
④離職年月日 離職した年月日を記載(年は元号で記載)
⑤事業所・事業主に関する欄 事業所の「名称」「所在地」「電話番号」と、事業主の「住所」「氏名」を記載(事業主の記名捺印が必要)
⑥離職者の住所または居所 退職者の「住所」「電話番号」を記載(引越す場合には、引越し先の住所を記載。引越し先が未定の場合には、退職日時点の連絡先を記載しておく。引越し先が決まり次第、退職者がハローワークに変更を届け出る)
⑦離職理由欄 離職証明書の右側に記載されている「離職理由」から、主な離職理由に該当するものから1つ選び丸を付け、「具体的事情記載欄(事業主用)」に具体的事情を記載
※詳細については、この後で解説します
⑧被保険者期間算定対象期間 「一般被保険者」または「高年齢被保険者」の場合は「A 一般被保険者等」の欄に、それ以外の場合は「B 短期雇用特例被保険者」の欄に、被保険者期間算定対象期間を記載
⑨上記⑧の期間における
賃金支払基礎日数
⑧の期間に賃金支払の基礎となった日数を記載
⑩賃金支払対象期間 離職日以前2年間の、毎月の賃金締切日の翌日から賃金締切日までの期間を記載(ただし、⑪欄の基礎日数が11日以上ある月が6段以上あれば、それ以前の期間の記載は省略できる場合があります)
⑪上記⑩の基礎日数 ⑩の期間に賃金支払の基礎となった日数を記載
※詳細については、この後で解説します
⑫賃金額 賃金が「月」または「週」などにより定められている場合にはA欄に、「日」「時間」「出来高」による場合にはB欄に賃金を記載(両方の場合にはそれぞれ記入し、合計額を計欄に記載)
※詳細については、この後で解説します
⑬備考 「賃金の締め日の変更」「給与形態の変更」などがあった場合に記載
⑭賃金に関する特記事項 毎月決まって支払われる賃金以外に、3カ月以内の期間ごとに支払われる「特別の賃金」がある場合、⑧欄に記載した期間内に支払われた特別の賃金の「支給日」「名称」「支給額」を記載(記入しない場合には斜線を引く)
⑮署名捺印 離職証明書の記載内容を確認の上、退職者に記名押印または署名をしてもらう
⑯離職者本人の判断 署名捺印とともに、事業主が決めた離職理由に異議があるかないかの判断を退職者にしてもらう

(参考:厚生労働省『第5章 被保険者についての諸手続』『第1 離職票の受理』)

賃金額の算出方法

離職証明書には「手取り金額」ではなく、社会保険料などを控除する前の「総賃金額」を記載する必要があります。総賃金額とは、雇用保険料の対象となる賃金のこと。「事業主が労働者に支払ったものであること」「労働の対償として支払われたものであること」という2つの要件を満たしているものが、雇用保険料の対象となる賃金に該当します。また、離職証明書に賃金額を記載する際には、支給されるかどうかが不確実な「臨時に支払われる賃金」や、年間の支給回数が3回以下の「3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」を除いた金額を記載します。そのため、賞与を年2回支給している企業の場合、賞与は賃金額に含めません。

賃金に含まれるもの 賃金に含まれないもの
●基本給
●超過勤務手当
●通勤手当
●家族手当 など
●出張旅費
●退職金
●お見舞金
●解雇予告手当 など

詳細については、厚生労働省のホームページで確認できます。
(参考:厚生労働省『雇用保険料の対象となる賃金』『第6章 賃金について』)

なお、離職証明書の提出期限内(雇用保険の被保険者資格喪失日の翌日から10日以内)に退職した月の賃金が確定できない場合、いったんその分は「未計算」と記載します。ハローワークから依頼がある場合は、退職した月の賃金が確定次第、確定後の賃金額を速やかにハローワークに伝えましょう。
(参考:厚生労働省兵庫労働局『未計算賃金の報告依頼について』)

交通費をどのように記載するのか

「通勤手当」「定期券・回数券」といった交通費は、雇用保険料の対象となる賃金に含まれます。そのため賃金欄には、基本給や各種手当の他、交通費も加算した金額を記載する必要があります。「3カ月分」「6カ月分」といったように交通費を複数月分まとめて支払った場合には、該当する月の数で割り、それぞれの月に算入しましょう。例えば6カ月分の定期代として30,000円を支給していた場合、30,000円÷6カ月で、5,000円を毎月の賃金に算入します。なお、複数月分をまとめて支払った交通費を、支払った月の数で割り切れない場合には、最後の月に端数の金額を加算します。例えば3カ月分の定期代として10,000円を支給していた場合、10,000÷3で3,333.33…となり、最初の2月分は3,333円ずつ、最後の月は3,334円を賃金に算入します。

交通費をどのように記載するのか
(参考:厚生労働省『雇用保険料の対象となる賃金』『第5章 被保険者についての諸手続』『雇用保険被保険者離職証明書についての注意』)

基礎日数の算出方法

賃金支払の基礎となった日数である「基礎日数」は、働いた日数を単純に記入すれば良いわけではありません。実際に働いていた日ではない「有給休暇の取得日」や「休業日」も基礎日数に含まれるため、注意が必要です。また、「半日しか勤務していない日」も「1日」としてカウントします。基礎日数の算出方法は、「欠勤控除できる給与形態かどうか」によって異なります。

賃金の支給方法 欠勤控除できるかどうか 基礎日数の算出方法
完全月給制

毎月決まった金額を月給として支給

欠勤があっても毎月の給与額を100%支払う必要があるため、控除はできない

その月の暦の日数が、そのまま基礎日数になる

日給月給制

日給をベースに計算した金額を月給として支給

欠勤した日数分を控除できる

その月の所定労働日数から、欠勤控除した日数を引いた日数が基礎日数になる

日給制

日給に出勤日数をかけた金額を支給

賃金を控除するのではなく、実際にその月働いた日数分の給与を支払う

実際に出勤した日数が、そのまま基礎日数になる

(参考:厚生労働省『雇用保険料の対象となる賃金』『第5章 被保険者についての諸手続』)
(参考:『欠勤控除とは?人事が知っておくべき基本知識~算出に含む手当一覧付~』『【社労士監修】所定労働日数の計算方法・完全版。状況別に異なる計算の仕方を紹介』)

退職理由の書き方

離職証明書の離職理由は、大きく分けて6種類、細分化すると18種類あります。企業は、その中から離職理由として最もふさわしいものを1つ選びます。離職理由によってハローワークに持参する資料が異なるため、注意しましょう。

離職の要因 離職理由 具体例 持参する資料
1. 事業所の倒産によるもの

①倒産手続開始、手形取引停止による離職

「裁判所に対する破産の申立て」「再生手続開始の申立て」といった事業主の事情を配慮したことによる退職

裁判所において倒産手続の申立てを受理したことを証明する書類など

1. 事業所の倒産によるもの

②事業所の廃止または事業活動停止後に事業再開の見込みが立たないため離職

「事業所が廃止された」「株主総会で解散の議決がなされた」といった理由による退職

解散の議決がなされた場合は、その議決が行われた議事録の写しなど

2. 定年によるもの

定年による離職

就業規則などで定められた定年に達したことによる離職

就業規則など

3. 労働契約期間満了等によるもの

①採用または定年後の再雇用等にあらかじめ定められた雇用期限到来による離職

あらかじめ定められた雇用期間の上限(1年単位の契約で3年間など)に達したことによる離職

労働契約書、雇入通知書、就業規則など

3. 労働契約期間満了等によるもの

② 労働契約期間満了による離職

上記3-①の場合を除いた、契約期間満了による離職

労働契約書、雇入通知書、契約更新の通知書など

3. 労働契約期間満了等によるもの

③早期退職優遇制度、選択定年制度等により離職

「早期退職優遇制度」や「選択定年制」に応募したことによる離職

制度の内容がわかる資料

3. 労働契約期間満了等に
よるもの

④移籍出向

出向により雇用関係を終了したことによる離職

移籍出向の事実がわかる資料

4. 事業主からの働きかけに
よるもの

①解雇(重責解雇を除く)

事業主による解雇

解雇予告通知書、退職証明書、就業規則など

4. 事業主からの働きかけに
よるもの

②重責解雇(労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇)

刑法の規定違反、故意または重過失による設備や器具の破壊または事業所の信用失墜、重大な就業規則違反などによる解雇

解雇予告通知書、退職証明書、就業規則など

4. 事業主からの働きかけに
よるもの

③ 希望退職の募集または退職勧奨

人員整理などに伴う退職勧奨や希望退職に応じたことによる離職

希望退職の募集に応じた場合には、希望退職募集要綱の写しや、離職者の応募の事実がわかる資料

5. 労働者の判断によるもの
(職場事情)

①労働条件に係る問題(賃金低下、賃金遅配、時間外労働、採用条件との相違等)があったと労働者が判断したため

賃金低下や賃金遅配、時間外労働、採用条件との相違などがあったことによる離職

労働契約書、給与明細書、賃金低下に関する通知書、口座振込日がわかる預金通帳、タイムカードの写しなど時間外労働がわかるものなど

5. 労働者の判断によるもの
(職場事情)

②事業主または他の労働者から就業環境が著しく害されるような言動(故意の排斥、嫌がらせ等)を受けたと労働者が判断したため

著しい冷遇やハラスメントなどがあったことによる離職

特定個人を対象とする配置転換、給与体系などの変更の嫌がらせがあった場合には、配置転換の辞令の写し、労働契約書など

5. 労働者の判断によるもの
(職場事情)

③妊娠、出産、育児休業、介護休業等に係る問題(休業等の申出拒否、妊娠、出産、休業等を理由とする不利益取扱い)があったと労働者が判断したため

産休・育休を拒まれたり、取得したことで不利益な扱いを受けたりしたことによる離職

なし

5. 労働者の判断によるもの
(職場事情)

④事業所での大規模な人員整理があったことを考慮した離職

3分の1を超える社員が離職したことを考慮した離職

なし

5. 労働者の判断によるもの
(職場事情)

⑤職種転換等に適応することが困難であったため

「十分な訓練がなく、長年従事してきた業務とは別の業務に就いた」「職種が特定されているにもかかわらず、別の職種に転換になった」といった理由による離職

採用時の労働契約書、職種転換、配置転換または転勤の辞令の写しなど

5. 労働者の判断によるもの
(労働者事情)

労働者の個人的な事情による退職

病気や家庭の事情、転職を希望したことなど、一身上の都合による離職

退職願の写しなど、その内容が確認できる資料

6. その他

上記1~5のいずれにも該当しない理由による退職

上記1~5以外の理由による離職全て

その内容が確認できる資料

(参考:厚生労働省『第5章 被保険者についての諸手続』)

雇用保険被保険者資格喪失届の書き方

雇用保険被保険者資格喪失届は、ハローワークインターネットサービスでも申請に必要な帳票を作成できます。ここでは、雇用保険被保険者資格喪失届の記載項目と、特に注意が必要な項目の記載方法をご紹介します。
(参考:e-Gov『雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)(平成30年10月以降手続き)』)

雇用保険被保険者資格喪失届の記載項目

離職票-1の基となる雇用保険被保険者資格喪失届には、「離職年月日」「喪失原因」「「離職票交付希望の有・無」「1週間の所定労働時間」などを記載します。

主な項目 記載方法
離職年月日 「0」を省略せずに6桁で記載(令和元年12月1日に退職する場合は「011201」)
喪失原因 区分に従い、該当する番号を記載
離職票交付希望の有・無 「有」の場合は「1」、「無」の場合は「2」と記載
1週間の所定労働時間 離職年月日現在の時間を記載
補充採用予定の有無 補充採用の予定がある場合は「1」と記載(予定がない場合は、空白のままにする)
個人番号 退職者の個人番号(マイナンバー)を記載

(参考:厚生労働省『第5章 被保険者についての諸手続』)

喪失原因の記載方法

雇用保険の被保険者でなくなった理由については、以下の区分に従い、該当する番号を記載しましょう。

>

理由の区分 具体例
「1」

離職以外の理由

●被保険者の死亡
●在籍出向
●出向元への復帰

「2」

「3」以外の離職

●任意退職(転職、結婚退職など)
●重責解雇
●契約期間満了
●60歳以上の定年退職 (継続雇用制度あり) ●移籍出向
●週の所定労働時間が20時間未満
●取締役への就任

「3」

事業主の都合による離職

●事業主都合による解雇
●事業主からの勧奨などによる退職
●希望退職者の募集など

(参考:厚生労働省『第5章 被保険者についての諸手続』)

再交付するには?

離職票送付後、「離職票をなくした」「離職票を再交付してほしい」といった連絡をもらうこともあるでしょう。そうした場合、企業としてできる対応は「離職票の再交付手続きを(企業が)行う」「離職票を交付したハローワーク(または電子申請)で、再交付手続きを退職者自身でしてもらうように伝える」のいずれかです。複数の退職者から同様の問い合わせがある可能性もあるため、どちらの対応とするかは、あらかじめ社内でルールを決めておくと良いでしょう。

便利な電子申請の方法

日によっては営業時間が延長されている所があるものの、ハローワークの利用時間は原則として8:30~17:15という限られた時間です。そのため、採用・教育活動などで忙しい時期や、会社とハローワークの距離が離れている場合など、人事・総務担当者がハローワークに出掛けられないこともあるでしょう。前提条件はありますが、電子申請という方法も便利です。

電子申請は総務省行政管理局が運営するHP「e-Gov」から行います。e-GovのHPに入ったら、「e-Gov電子申請」に進み、「電子申請メニュー 申請・届出 申請(申請者・代理人)」から「e-Gov電子申請手続検索」を開きます。検索窓に「雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)」と入力したら、最新バージョンを選択し、手続きを行いましょう。手続きに関する詳細は、HP上で確認できます。
(参考:e-Gov『雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)(平成30年10月以降手続き)』)

【まとめ】

雇用保険の失業給付に使われる離職票は、退職者の希望があった場合に企業がハローワークに交付を依頼し、退職者に送付する義務があります。離職票の基となる「離職証明書」や「雇用保険被保険者資格喪失届」は、企業が作成する書類であるため、事前に書き方を理解しておくことが重要です。併せて離職票の交付の流れも把握し、雇用保険の資格を失った日の翌日から10日以内」に、確実に離職票の交付手続きをハローワークに依頼しましょう。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、監修協力/社会保険労務士法人クラシコ、編集/d’s JOURNAL編集部)

【Word版】退職証明書テンプレート(日本語・英語)

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