年休は最大150日、20代管理職3割、3人に1人女性社員。共働き率全国1位の福井県発企業が仕掛ける「女性」「若手」集まる職場づくり

2022.07.28
株式会社 ALL CONNECT(オールコネクト)

人事部 人事戦略課 組織開発チーム 係長
上村 宏幸(かみむら・ひろゆき)

前職ではシステムエンジニア、BtoC営業(店長業)、マーケティング(広告)、社長室、採用など幅広い業務に従事。その経験を踏まえ、2020年にオールコネクトに入社し人事戦略業務に従事。
社内研修講師、社員のキャリア形成サポート職を経て、2021年より現職にて、ジョブグレード型人材マネジメントをベースとした組織開発の推進、人事制度企画、社内ルール策定を主管。

株式会社 ALL CONNECT(オールコネクト)

コンタクト本部 第一営業部 Air営業3課 課長
西澤 穂乃花(にしざわ・ほのか)

2014年に株式会社オールコネクトに入社。コールセンターのプレイヤーとして2年稼働業務経験を積み、係長として東京支店にて半年間チームの立ち上げを行う。福井本社に戻り、コールセンター課長としてチームを任される。その後産休育休を2回経験。コールセンター課長としてフルタイムで復帰している。

整った制度、高い復職率、女性が活躍できる環境を実現した会社
年間150日休日もあり!オールコネクトのユニークな人事制度「年間休日選択制」とは
成果と変化が可視化されやすい「月次評価制度」
女性の管理職の割合が高い理由
子育て中の管理職にとっての「働きやすさ」とは?

通信回線やスマートフォンなどの通信インフラサービスを取り扱う株式会社ALL CONNECT(オールコネクト/本社:福井県福井市、代表取締役社長:岩井 宏太)は、連結売上が533億円(2022年2月期)と急成長を遂げる地方発の企業だ。

共働き家庭の割合が全国トップである福井県に拠点を構え、「社会をにぎやかに!」を企業理念とし、競争、変化、チャレンジを推進する組織づくりを進めている。

同社は、管理職の3割が20代、うち3人に1人が女性だという。さまざまなライフステージにいる社員がそれぞれに活躍できる人事制度を探る。

整った制度、高い復職率、女性が活躍できる環境を実現した会社

2003年、男女共同参画局は「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になること」を目指すと発表した。

しかし、2021年の時点において、女性管理職の割合が30%を超えている企業は、わずか8.6%にすぎない。

この20年間、さまざまな議論が重ねられてきたものの、多様なライフステージの社員が活躍できる組織づくりの難しさに直面している企業は少なくない。

そんな中、オールコネクトでは管理職の3割が20代、そのうち3人に1人が女性。女性育休・産休からの復帰率も8割と極めて高い。それゆえに採用活動も「女性」と「若手」からの応募が集まり、社員は年々増えていき、組織としても右肩上がりで充実してきている。

今回は、同社の人事担当の上村氏に加えて、育休・産休復帰を経て20代で管理職として活躍している西澤氏に取材を行い、「年間休日選択制」「月次評価制度」といった制度の概要、子育て中の女性が活躍するためのポイントなどについて伺った。

年間150日休日もあり!オールコネクトのユニークな人事制度「年間休日選択制」とは

――オールコネクトには「年間休日選択制」があると伺いました。この制度の内容と、導入した背景についてお聞かせください。

上村氏:通常の会社では、全社員に共通して年間の休日数が決められていると思いますが、当社では「年間休日選択制」を採用して、従来の107日、120日の他、130日、140日、最大150日の中から選べる制度を設けています。

これらの制度を導入するに至ったのは、以下のような背景がありました。

当社は平均年齢が若く、いろいろなワークスタイルを希望する人がいます。従来の休日数ではワークライフバランスがとりにくいという社員もいれば、「もっと働きたい」という人もいるため、年間休日数を自分で選べる制度をコロナ禍の2020年に制定しました。

自分のキャリアを自分で決めて、自分らしく歩んでいただきたいという想いからスタートしたわけです。

現在は、全社員の約6%の社員が、年間休日数を130~150日で選択しています。

――選択した休日数は、給与や評価に反映されますか?

上村氏:選択した休日数は実働工数として単純計算で給与に反映されますが、基本給や職位に関わる人事評価は、実績を基に行われます。

例えば、企画職関係については、その人に能力があって、何かを成し遂げることができれば、同じ評価が得られます。一方、営業職の場合には「これだけの売上を立てなさい」と言うと、残業をした人の方が有利になるので、働き方を選択しにくくなってしまいます。

誰もがより働きやすい選択をできるよう、1時間あたりの能力を測り、労働の効率が担保・反映できる形での評価設定を敷いています。

成果と変化が可視化されやすい「月次評価制度」

――評価制度の話に少し触れていただきましたが、オールコネクトが採用している「月次評価制度」はどのような評価制度なのでしょうか。

上村氏:「月次評価制度」は、目標の達成度や不足点を、社員に毎月フィードバックする制度です。月ごとに100点満点、半年で600点満点として、査定を行います。

月次で評価することにより、短いスパンで成果が可視化されますし、仮にある月の点数が「40点」だった場合、「ここが足りない」というポイントを明確にして行動の変化を促すことで、翌月以降「50点」「60点」へと改善しやすくなります。

――人事考課のスパンは四半期、半期という企業が多い中、「毎月評価される」ということについてのプレーヤーのリアクションはいかがでしたか?

上村氏:中途入社の場合、その人が過去に経験してきた評価制度によって、反応が分かれているように感じました。

評価制度がゆるい企業にいた人は、入社直後にカルチャーギャップを感じることがあるようです。しかし、ある程度慣れてくると、「今の制度が良い」というように意見が変わるケースが少なくありません。

個々の成果を公平に評価することに重点をおいた制度なので、「なぜあの人は評価されて、昇進したのかふに落ちない」ということは起こりにくくなります。

評価者は直属の上司であり、評価の指標は明確にされています。そのため、評価に対する納得感を得やすく、上司から何を求められているかを認識しやすくなっています。

――複数の評価者によって評価される「360度評価」のような方法を導入している企業もあります。御社のカルチャーには「評価者は上司のみ」という形がマッチしているのでしょうか。

上村氏:「360度評価」のようなフェアな評価によって社員が「自分がちゃんと認められている」という感覚をつかんでいるのであれば、風土的にはあっているのかもしれません。

しかし当社の場合では、「きちんと評価されている」と認識している人の方が、ワークエンゲージメントが高い傾向が見られます。そのため、より詳しく調べるためのデータを取り始め、さらに人事考課の精度を上げていこうと考えています。

――成果以外にはどのような評価軸がありますか?

上村氏:例えば、企業理念や行動指針に沿っているかどうかの「姿勢」、目立った遅刻・欠勤の有無など社内の規律に関わる「規律」という側面からも評価をします。

成果姿勢規律の3種類の評価軸があり、成果の比重が高めに設定されています。

適正で公平な評価によって、能力と成果が見合えば積極的に昇格することができますが、その反面降格の可能性もあります。当社の環境は、「前の部下が今の上司」というケースも珍しくなく、流動性の高い組織になっています。

※画像はイメージです

女性の管理職の割合が高い理由

――オールコネクトの現状の離職率についてはいかがでしょうか。

上村氏:職率の計算方法は企業によって異なるので一概には言えないのですが、離職率は低いです。他社と同様に、入社半年以内の早期離職は一定の割合で見られますが、それ以降の時期の離職件数は一気に低くなります

――オールコネクトでは、管理職に就く女性比率が極めて高いようですが、どんな施策が功を奏していると思いますか?

上村氏:当社では、女性の割合を高めるために特別な施策を取り入れているわけではありません。

当初から女性が活躍していたコールセンターのような職種もありますが、オフィス系の仕事でも女性が活躍しています。女性が働きやすい社風に加えて、成果次第で昇進できる評価制度が要因の1つとなり、現在のような比率になったのではないか、と考えています。

――女性の割合が高いことで、組織にどのような雰囲気が生まれていますか?

上村氏:私の前職では女性の管理者がおらず、組織の中には根性論が先行するようなシーンも少なくなく、男性社員同士で評価外の張り合いも見られました。しかし、転職してみるとオールコネクトにはそういう雰囲気はありません。かといって競争やチャレンジがないわけではなく、システマティックかつ公平に、チャレンジを促す風土があります。

――女性の比率が高いオールコネクトですが、妊娠・出産後も働き続ける社員は多いのでしょうか。

上村氏:現在、オールコネクトの産休育休復帰率は80.9%と高い水準です。コロナ禍の前には96%が復帰しており、ほとんどの人が戻ってきていました。

福井県は三世代同居率が全国的に見て高いのですが、コロナ禍以降、祖父母世代の育児サポートが得にくくなったことなどが、育児環境の変化につながり、
復帰率に影響しているのかもしれません。

――管理職女性の産休・育休により、急にポストが空いたときにどのように対応するのでしょうか。

上村氏:当社が他の会社と異なる点があるとすれば、若い社員でも昇進できるという点で、ポジションが空いたときには若い人でもチャレンジできる環境を整えています。

ポジションの人員が変わるとき、後任の人がうまく機能するよう人事としてバックアップしています。新たな業務を割り当てられた人がつぶれてしまわないよう、「適材適所」ではなく「適所適材」を人事側が見極めて、フォローする必要があると考えているからです。

加えてサクセッションプランニング(*)やマネジメントを普段から進めておき、育成に対する体制も整えておく方が望ましいでしょう。

※画像はイメージです

(*)サクセッションプランニング/(Succession planning)…特定のポジションに対する後継者育成計画。通常の育成とは異なり、管理職や経営者の育成などを計画的に育てていくことに用いられる。

子育て中の管理職にとっての「働きやすさ」とは?

――続いて、西澤さんに伺います。現在、課長職に就かれていますが、部課の雰囲気はいかがですか。

西澤氏:とても働きやすい雰囲気です。例えば、子どもの熱が出て早退しなくてはならないときなどは、係長やプレーヤーの人たちが、率先して仕事を引き受けにきてくれるようなカルチャーがあります。

私は新卒入社なので他社の雰囲気はわかりませんが、急な早退や欠勤の必要が生じた場合に、その人を責めるような空気はありません

――チームの一体感や意識共有を推進するために何か心掛けていることはありますか?

西澤氏:社内のイベントは多めだと思います。コロナ禍以降は難しくなっていますが、制約がある中でも、できるだけコミュニケーションの機会を設けています。若い社員の中には、「楽しそう」という雰囲気に魅かれてオールコネクトに入ってきた人もいます。

それに、20代の管理職が多いことが特徴的ですね。競争意識とチームワークを併せ持っているような組織です。20代のプレーヤーにとっては、年齢の近い人を目標にできるので、「そこに向かってがんばろう」というモチベーションにつながりやすいのではないでしょうか。

――若手社員にとっての魅力ある組織づくりのために注力していることはありますか?

西澤氏:チームの仲が良いことも大切ですが、それだけでは成果につながりません。上司が部下に的確な指示を出すこと、競争環境の中でもメンタルを強く保つことなども重要です。

こと女性社員の働き方に関して言えば、目標を地道にクリアし、月次評価を通じて翌月以降に改善できる人は、すぐに伸びます。その「伸び」をサポートしていくためにも、成果をきちんと評価するように心掛けています。

――西澤さんは2回、産休・育休をとった後に復帰されています。産休前、育休後の雰囲気はいかがでしたか。

西澤氏:妊娠を報告したときには、チームのメンバーや上司に「おめでとう!」と祝福してもらい、産休に入るときには「がんばってね」と送り出してもらいました。復帰したときには「おかえり」と歓迎され、同僚がランチに誘ってくれたりもしましたね。

別部署との横のつながりもあり、社内の「ママ友」もいます。育児の困りごとを社内で共有したり相談できたりすることは心強く、うれしいことです。

仕事上、大事なタイミングで妊娠するケースもあると思いますが、妊娠した社員に対して「今、そのタイミングで?」というリアクションはまったくないと言ってもいいと思います。

――それは心強いですね。

西澤氏:2回目の産休はコロナ禍の初期で、通信回線の販売代理事業を行っているオールコネクトの需要が急激に高まり、とても忙しい時期だったので申し訳ない気持ちがありました。でも周りの人は、「こっちのことは全部やっとくから、安心して産んできなさい」という感じで、気持ちよく送り出してくれたことをよく覚えています。

――日本は女性役職者比率が少なく、世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」は156カ国中120位と低迷しています。女性活躍のために必要なことはなんだと思いますか?

西澤氏:海外と比べて日本の女性管理職の割合が少ないという話をよく耳にします。

出産後、子どもを預けられる場所があるかどうかということは、女性がキャリアプランを描く上で重要なポイントです。安心して子どもを預けられる人や場所がないと、落ち着いて仕事に取り組めませんよね。

また、たとえ預け先が見つかって職場復帰できても、帰宅後には食事の用意や子どもの世話などが待っています。フルタイムで働く女性がゆっくり座ってくつろげる時間は、夜、子どもが寝鎮まるまで訪れません。

さらに「17時までに子どもの迎えに行かなければならない」という制約があったり、コロナ禍では「ちょっと子どもの咳が出たので保育園からお迎え要請が来る」などという突発的な対応も発生したりしています。

私の場合は、夫も私も実家が福井県にあり、こうやってフルタイムで働けているのは家族の協力体制があってこそです。

日本では、女性が仕事も家事も育児もするということが当たり前のようになっています。もちろん全ての男性がそうであるとは言いませんが、「仕事で忙しくて疲れている」などという理由でパートナーに任せるのではなく、育児に対する理解を深めて、自分のペースで良いからなるべく参加するようにしてほしいと思います。

――今後、オールコネクトでの目標はありますか?

西澤氏:私のような社員でも、がんばれば課長になることができるので、若手プレーヤー社員が目標にしてくれるような存在になりたいです。

オールコネクトは、「社会をにぎやかに」という理念で多角的なビジネスを展開し、これから福井をどんどん盛り上げていく企業になっていくと思います。私は高校生のころから地域おこしをしたいと考えていたので、福井を盛り上げるために、さまざまな形で貢献していきたいと思っています。

――最後に再び上村さんに伺います。オールコネクトの今後の展望についてお聞かせください。

上村氏:当社はこれまでにもいろいろな制度を整えてきましたが、大手企業と比べたときに、「こんな経験を積んだら、将来はこんな仕事ができる」という明確なキャリアビジョンの提示が、まだ十分にできてはいません。

また、年間休日選択制に限らず、社員のライフステージに合った働き方を通じて、自己実現をもっとバックアップできるとも思っています。

今後の会社の展開に応じて、そうした取り組みも広げていきたいですね。

※画像はイメージです

【取材後記】

近年「女性活躍」が喧伝されているが、日本のジェンダー・ギャップ指数は下位に沈んだままだ。国際的に見ても管理職の男女比はいびつであり、ギャップ指数を押し下げる要因の1つとなっている。育児と仕事の両立の難しさは、女性の昇進のモチベーションを冷却させることもある。

例えば、「育児中の妻が所属する企業の時短勤務や福利厚生に夫の企業が“フリーライド(ただ乗り)”して、夫は長時間労働を叶えている」といったケース。そんな構図を指摘する手厳しい声も聞かれるようになっている。

オールコネクトのように、社内カルチャーに合った「性別問わず成果をあげれば評価される」評価制度が、女性の管理職比率の上昇に寄与していることは明白だ。「女性活躍」という言葉から、「女性の働きやすさ」に注目が集まりがちだが、西澤氏の語る通り、男性側の家事・育児への参加と理解にも着目する必要があるだろう。

取材・文/鈴政武尊・北川和子、編集/鈴政武尊・d’s journal編集部

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