リファラル採用とは?導入のメリット・デメリットやインセンティブの金額、注意点を解説

リファラル採用とは?導入のメリット・デメリットやインセンティブの金額、注意点を解説

d’s JOURNAL編集部

リファラル採用とは、自社の従業員の人脈を利用した採用手法のことです。近年、この手法を導入する企業が増えつつあることから、「自社でも導入してみたい」とお考えの人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、リファラル採用には具体的にどのようなメリットがあるのか、また導入時にどういった点に気を付ければ良いのかを解説します。採用活動の効率化を図るために、ぜひ参考にしてください。

リファラル採用とは

リファラル採用とは

リファラル採用とは、自社が求める人材からの応募を得るため、従業員に友人や知人を紹介してもらう採用手法のことです。

実際に、海外では求人広告よりもリファラル採用のほうが主流になっており、日本でも中小企業やスタートアップ・ベンチャー企業を中心に導入が進んでいます。

縁故採用との違い

リファラル採用は一見すると、縁故採用と似ている印象を受けますが、本質的には大きく異なります。縁故採用では、従業員や社内関係者などから紹介を受け、求める人材の適性などに関係なく、採用せざるを得ない状況が起こりがちです。

スキルや特性では採用の是非を判断できず、紹介者の顔を立てるために不適格な人材を採用しなければならないこともあるでしょう。

一方で、リファラル採用でも人材を紹介してもらう点では同じですが、転職希望者の適性や能力、企業理念に対する理解度などを十分に判断した上で、採用するかどうかを決められます。

縁故採用よりも、公平・公正性や適性を担保しやすい手法がリファラル採用なのです。

(参考:『縁故採用とは|導入メリット・デメリットとリファラル採用との違い』)

リファラル採用が注目される理由

近年、リファラル採用を導入する企業が増えつつある背景には、どのような理由があるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

【リファラル採用に注目が集まっている理由】
●自社の採用力を強化する狙いがあるため
●従業員の離職を防ぐため
●労働市場の変化により採用難易度が上がっているため

自社の採用力を強化する狙いがあるため

リファラル採用が注目されている大きな理由として、自社で活躍できる人材を採用する力、いわゆる「採用力」の強化を目指せることが挙げられます。

リファラル採用では、紹介者が「自社に適性があり活躍が見込める」と判断した人材が応募してきます。事業を成功に導き、競合他社と差をつけるに当たって、こうした人材を採用することは大変有意義です。

そのため、多くの企業が自社の採用力を高めるべく、リファラル採用を導入しているのです。

従業員の離職を防ぐため

従業員の離職抑止につながることも、リファラル採用に注目が集まっている理由の一つです。

リファラル採用で紹介される方の多くは、応募の前から企業の良い面・悪い面を理解しています。なぜなら、入社後にギャップを感じることがないように、企業のリアルな情報を紹介者から聞いているためです。

従って、選考に進む人材は入社後のギャップによる離職が少ない傾向にあります。また紹介者側も、自身が紹介した人材とともにはたらくことで、職場へのコミットメントが高まり定着率向上につながる可能性があります。

労働市場の変化により採用難易度が上がっているため

リファラル採用を導入する企業が増えつつある理由としては、労働市場の変化に伴う採用難易度の上昇も考えられます。

求人、求職及び求人倍率の推移

(参照:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和7年11月分)について』)

2009年以降、日本の有効求人倍率は増加傾向にあり、現在でも売り手市場が続いています。実際に、厚生労働省が2025年12月に公表した11月分のデータでは、同月の有効求人倍率は1.18倍となっていました。

こうした背景から、求める人材との接点を少しでも増やすために、新たな採用手法としてリファラル採用を選ぶ企業が増えたのだと推察できます。

リファラル採用の8つのメリット

続いて、リファラル採用を導入する8つのメリットを紹介します。

1.自社が求める人材を採用しやすい
2.採用コストの削減につながる
3.紹介者のキャリアの見直しにつながる
4.転職潜在層を採用できる可能性がある
5.採用プロセスを簡略化できる
6.競合他社との競争を回避できる可能性がある
7.既存従業員のエンゲージメントが高まる
8.人材の定着を図れる

1.自社が求める人材を採用しやすい

リファラル採用のメリットとして挙げられる点は、自社に適した人材を集められることだといえます。転職希望者の視点で見れば、入社した段階で仲間がいるため、はたらくことへの安心感を得られるでしょう。

紹介してもらった方から、その会社の魅力や風土、社風、業務内容の説明をあらかじめ受けられるため、理想と現実のギャップが生じにくいのです。採用する企業側としても、すでにはたらいている従業員が紹介してくれる人物であれば、ゼロベースで採用活動を行うよりも安心できます。

はたらく側と企業側の双方がお互いの情報を事前に把握しやすいため、人材がマッチングしやすいことがメリットです。

2.採用コストの削減につながる

通常の採用活動では、求人誌や求人サイトなどのメディアに広告費を支払ったり、転職エージェントに紹介料を支払ったりする必要があります。採用予定の人数が多ければ多いほど、採用コストも膨らんでしまう部分があるでしょう。

例えば、求人サイトの広告費や転職エージェントの成功報酬では、1人当たり数十万~数百万円に達することもあります。一方、リファラル採用であれば、主なコストはインセンティブなどに限られ、1人当たり数万~数十万円で採用が成立するケースも少なくありません。

従ってリファラル採用は、通常の採用活動よりも採用コストを抑えられるのがメリットだといえます。

(参考:『採用コストの平均相場は?コスト削減の施策や計算方法を解説』)

3.紹介者のキャリアの見直しにつながる

リファラル採用は新たな人材の採用を目的としていますが、勤務先に自分の友人や知人を紹介することで、既存従業員にとってもキャリアの見直しにつながる効果をもたらします。

「なぜ今の企業ではたらいているのか?」「何がやりたいのか?」「入社時にどんな思いを持っていたのか?」など、紹介者自身の気付きや成長、キャリアの棚卸しにつながることが多いことも、リファラル採用のメリットです。

例えば、友人に「入社の決め手」や「自社の良さ」などを説明する過程で、普段当たり前だと思っていた「柔軟な働き方」や「挑戦を許容する文化」は、実は他社にはない大きな魅力であると再認識することがあります。また、キャリアに関する質問に答えることで、自身の目標やキャリアパスが整理され、仕事への意欲が高まることも考えられます。

特に勤続年数が長くなってきている従業員であれば、入社当時の気持ちや現在のキャリアについて見つめ直す機会が減っていることもあります。リファラル採用を通じて、勤務先の魅力やはたらきがいを再認識してもらう良いきっかけとなるはずです。

4.転職潜在層を採用できる可能性がある

リファラル採用は従業員の友人や知人を紹介してもらうという性質から、転職サービスに登録していない人材を発掘することにもつながります。そのため、ほかの方法を利用してもなかなか人材が集まらないときに効果的な手法です。

紹介者が他社に勤務する友人や知人に声をかけてくれることで、効率良く転職潜在層にアプローチできます。求める人材に対して、直接アプローチを行えるので人材を募集する確度を高められるはずです。

5.採用プロセスを簡略化できる

採用プロセスの簡略化につながることも、リファラル採用を導入するメリットの一つです。

一般的に、採用活動は求人広告の作成や掲載、書類選考、適性検査など、さまざまな手順を踏んで進めていきます。これらの作業には、多大な工数がかかるでしょう。

例えば求人広告では、掲載までに約数週間から1カ月程度かかり、そこから選考へと手順を進めていきます。実際に採用までには数か月かかってしまうことも多いです。

その点、リファラル採用であれば求人広告の作成や掲載が不要な上、自社に適性のある人材が集まる可能性が高いため、採用活動の工数を削減できます。

6.競合他社との競争を回避できる可能性がある

リファラル採用を行えば、転職潜在層にアプローチしていない競合他社との競争をある程度回避できるため、採用活動を有利に進められる可能性があります。リファラル採用は、転職潜在層にもアプローチできる採用手法です。

そのため、求人広告やハローワークといった、ほかの手法では出会えない人材とも接点を持てます。もし競合他社が転職潜在層にアプローチしていない場合は、リファラル採用を導入することで競争を避けながら、求める人材の採用につなげることができます。

7.既存従業員のエンゲージメントが高まる

リファラル採用には、既存従業員のエンゲージメントを向上させる効果も期待できます。

この場合のエンゲージメントとは、従業員の企業に対する愛着や情熱のことです。これが高いほど「企業のために尽くしたい」という思いが強まり、業務のパフォーマンスが向上します。

リファラル採用では、紹介者が自社の魅力を伝えるにあたって、業務のやりがいや企業への帰属意識を再認識することがあります。結果として紹介者自身のエンゲージメントが高まり、業務にも良い影響を与えるのです。

(参考:『従業員エンゲージメントとは|効果的な取り組みと事例・向上のメリットを解説』)

8.人材の定着を図れる

人材の早期離職を防ぎ、定着率の向上が期待できることも、リファラル採用を導入するメリットといえます。

リファラル採用では、応募する段階で入社前に自社の良い面・悪い面をある程度理解しているケースがほとんどです。

そのため、入社後のミスマッチが起こりにくくなり、人材の定着率の向上につながるでしょう。また、職場に友人や知人がいるという安心感も、定着率を高める要因となり得ます。

リファラル採用の5つのデメリット

次に、リファラル採用を導入するにあたって、あらかじめ知っておきたい5つのデメリットを紹介します。

1.人間関係に配慮が必要である
2.従業員の理解が必要である
3.情報が可視化されにくい傾向がある
4.入社までに時間がかかるケースがある
5.不採用の場合にフォローが必要となる

1.人間関係に配慮が必要である

リファラル採用はあくまで、従業員の個人的な人脈に頼る部分があるため、人間関係への配慮が必要です。採用スケジュールの都合に合わせて進めようとするのではなく、紹介者や紹介される方の立場や事情もきちんと考えておきましょう。

紹介者に対しては自発的な行動を起こせるように、インセンティブ制度などをきちんと整えておくことが大事です。また、紹介される方に対しても過度な期待を寄せてプレッシャーを与えてしまわないように、きちんと適性を見極めるようにしましょう。

人間関係に配慮をしないまま採用活動を進めてしまうと、選考で辞退するだけでなく、既存従業員が離職するきっかけになる恐れがあります。企業側が主導するのではなく、既存従業員がリファラル採用の活動に取り組みやすい環境を整えることが重要です。

2.従業員の理解が必要である

リファラル採用は従業員がメインとなって行う活動である点を忘れないでおきましょう。企業がどのような人材を求めているのかを既存従業員にきちんと伝えておかなければ、人材のミスマッチが起こる可能性があります。

採用活動に余計な手間や労力がかかるだけでなく、既存従業員のモチベーションを低下させる原因にもなるでしょう。実際に採用活動を行う前に、どういった方針で実施するのか、自社に必要な人材像がどのようなものであるかを既存従業員としっかり擦り合わせておくことが大事です。

3.情報が可視化されにくい傾向がある

リファラル採用を進めることで人材を採用できた場合、既存従業員に対するインセンティブをどう行うかをきちんと決めておきましょう。基準があいまいなままでは、熱心に採用活動に取り組んだ従業員が「十分に評価されていない」と感じ、不満がたまる原因になりかねません。

そのため、本格的にリファラル採用を実施する前に、評価制度を適切に整えておく必要があります。友人紹介に既存従業員がどれだけ貢献したのか、どの部署が協力的であったか、最もパフォーマンスを発揮できる人材を紹介した従業員は誰かなどを一つずつ精査して、きちんと評価することが大事です。

また、紹介してくれた既存従業員にインセンティブを支払うときには、与えるタイミングや金額などを企業側が明示しておく必要があります。明確な基準を設けた上でリファラル採用を実施していくことが良い成果につながる点を押さえておきましょう。

4.入社までに時間がかかるケースがある

リファラル採用では、採用に時間がかかる可能性があることも念頭に置いておく必要があります。

なぜなら、この採用手法で紹介される人材は、選考の時点で他社に在籍しているケースが多いためです。採用を決定しても、他社での引き継ぎや有休消化などがある場合は、入社までに数カ月かかることも考えられます。

また、人材が不足しているタイミングで、都合良く従業員から人材を紹介してもらえるとも限りません。こうした理由により、「人材を早急に採用したい」という場合は、別の採用手法を検討することも一つの手です。

5.不採用の場合にフォローが必要となる

不採用時に、紹介者と採用を見送った人材に対するフォローが必要なことも、リファラル採用のデメリットです。

フォローが不十分だと、両者の人間関係が悪化し、紹介者の仕事に対するモチベーションが下がってしまう恐れがあります。また、会社が大切な友人や知人を採用しなかったことに不満を持ち、従業員エンゲージメントが低下する可能性も否めません。

こうした事態を防ぐためにも、不採用の場合は双方に理由をしっかりと説明した上で、紹介または応募してくれたことへの感謝を伝えましょう。

リファラル採用の流れ

リファラル採用は、まず紹介者へのヒアリング、続いて紹介された方との対話という流れで進めることが一般的です。そのためリファラル採用を円滑に進めるには、両者とどのようなコミュニケーションを取れば良いのかを事前に把握しておく必要があります。

紹介者には、紹介する方がどのような人物なのか、また社風とマッチしそうかどうかなどを確認しておきたいところです。これらの情報は、友人や知人にしかわからない部分も大きいため、紹介者を通じて把握しておくことでミスマッチを防げます。

一方で紹介された方には、今の職場に対する不満や将来のキャリアプラン、はたらく上で重視していることなどをヒアリングしましょう。こうした認識を擦り合わせておけば、ミスマッチを防げるだけでなく、入社後のフォローや業務の割り振りも円滑に行えるようになります。

リファラル採用を導入する方法

ここでは、リファラル採用を導入する際の一般的な手順を紹介します。

【リファラル採用を導入する際の手順】
1.リファラル採用制度を策定する
2.インセンティブについて取り決める
3.インセンティブ制度が法令違反となっていないかを確認する
4.従業員にリファラル採用の制度を周知する
5.運用開始後のPDCAを設計しておく

1.リファラル採用制度を策定する

まずは、リファラル採用の制度を設計します。現在導入している採用手法との違いを明確にするために、採用プロセスや利用条件などを詳細にまとめましょう。

またその際は、従業員が制度を積極的に利用したくなるような仕組みをつくることが大切です。詳しくは次項でお伝えします。

2.インセンティブについて取り決める

リファラル採用で従業員の協力意欲を高めるには、魅力的なインセンティブ制度の設計が欠かせません。この場合のインセンティブとは、紹介者と採用した人材に対して支払う報酬のことです。

入社の条件や職種、企業の規模などによって金額は異なりますが、1人当たり数万~30万円程度が相場とされています。自社の採用計画や採用活動の予算などを加味し、適切な金額を設定してください。

3.インセンティブ制度が法令違反となっていないかを確認する

インセンティブ制度を設計する際は、その内容が法令違反でないことを確認しなければなりません。具体的には、以下の項目に該当する制度は違法となる可能性があります。

【法令違反となるインセンティブ制度】
●従業員以外の第三者にインセンティブを支払う
●候補者の同意を得ずに個人情報を収集・利用する
●「営利目的の職業紹介」と判断されるような高額過ぎるインセンティブ(例:人材紹介サービスの報酬相場である「年収の30~40%」を超えるなど)
●紹介者が採否の判断に関与する
●採否にかかわらずインセンティブを支払う
●営利目的で外部プラットフォームやツールを利用する

知らないうちに違法行為を行って罰則を受けることがないよう、インセンティブ制度の設計時には各種法律を必ず順守しましょう。

(参照:e-Gov法令検索『職業安定法』、『個人情報の保護に関する法律 第15条』、『雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律』)

4.従業員にリファラル採用の制度を周知する

制度の設計が完了したら、従業員に対し、募集する職種や求める人材像、制度の導入に至った背景などを周知します。

リファラル採用を成功させるには、従業員の協力が不可欠です。制度の導入前に詳細な情報を開示することで、従業員はどのような人材を紹介すれば良いのかをイメージしやすくなるため、協力意欲が高まるでしょう。

結果として、より効率的かつ効果的にリファラル採用を進められるようになります。

5.運用開始後のPDCAを設計しておく

最後に、リファラル採用を導入したあとのPDCAを設計します。

リファラル採用の制度は、導入して終わりではありません。「紹介数や採用数が増えているか」「選考の通過率は妥当か」など、さまざまな要素を基にPDCAを回し、制度を形骸化させないことが重要です。

「紹介数○○人以上」「入社1年後の定着率○○%向上」といった数値目標を設定し、定期的に見直しながら制度を改善していきましょう。

リファラル採用にかかる費用

続いて、リファラル採用を行う際に発生する費用について紹介します。

【リファラル採用を行う際にかかる費用】
●インセンティブ
●採用活動費用
●専用の外部ツールの利用料金

インセンティブ

リファラル採用を行う上で発生する主な費用として、インセンティブが挙げられます。

インセンティブの金額の相場は、数万~30万円程度と幅があります。また、支払いのタイミングも「採用を決定した時点」「試用期間が終了した時点」など企業によってさまざまです。

採用活動費用

採用活動費用とは、広報活動や会食、制度の周知などにかかる費用の総称のことです。具体的には、社内説明会の開催費や転職希望者との会食費、制度を周知するためのポスターの制作費などがこれに該当します。

【採用活動費用の目安】

広報活動 ●ポスターやチラシの作成費
●WEBサイトやSNSでの発信に掛かる費用
数千~数万円
会食 ●従業員と転職希望者のランチ代やカフェ代 1回当たり3,000円~5,000円程度
交通費 ●イベント参加などの交通費 1回当たり1,000円程度
制度の周知 ●社内説明会の開催費
●社内報での告知にかかる費用
数千円~数万円

採用活動は、採用ブランディングを行いつつ、従業員の制度に対する協力意欲を高める上で欠かせない取り組みです。一般的には数万円程度に収まるケースが多いものの、施策の内容や規模によっては、数百万円程度かかることも少なくありません。

専用の外部ツールの利用料金

外部ツールの利用料金も、リファラル採用を行う上で発生する費用の一つです。

リファラル採用を効率的に進める手段として、専用の外部ツールの利用は非常に有用です。ツールを利用すれば、人材の紹介状況を一元管理できるため、採用活動の効率化を図れます。

専用の外部ツールは、月額数万~数十万円程度かかることが一般的です。搭載されている機能やサポート体制の充実度によって利用料金は異なるため、自社の採用計画や予算に合わせて適切なものを選択しましょう。

リファラル採用を成功させる7つのポイント

本項では、リファラル採用を成功させるために、事前に押さえておきたい7つのポイントをお伝えします。

【リファラル採用を成功に導くためのポイント】
1.制度を周知して従業員の協力を得る
2.インセンティブに関する施策を実施する
3.紹介者の負担を減らす
4.専用ツールの導入も検討する
5.紹介した従業員と転職希望者との関係が悪化しないよう配慮する
6.ほかの採用手法と併用する
7.長期的な取り組みが必要であることを念頭に置いておく

1.制度を周知して従業員の協力を得る

リファラル採用は自社の既存従業員に行動してもらう必要があるため、制度を周知することが大切です。リファラル採用制度を導入したにもかかわらず、一部の部署でしか認識されていなければ、会社全体の取り組みとして広げていくことはできません。

制度の主旨やインセンティブなどの基本方針を明確に定め、経営層が積極的に社内へのメッセージを発信していきましょう。事業規模が大きな会社であるほど、既存従業員や各部署が連携しながらリファラル採用を進めていくことで、自社に合った人材の採用へつなげていけるはずです。

2.インセンティブに関する施策を実施する

リファラル採用でのインセンティブとは、友人や知人を紹介して入社につながったときの報酬をいいます。具体的に支払うロイヤリティー(対価)などを明確にし、できるだけ多くの従業員に協力してもらうことが成功への鍵となります。

また、なぜリファラル採用を行う必要があるのかをミッション(目的・目標)としてきちんと方向付けして、意欲的に取り組んでもらえるようにしていくことが肝心です。インセンティブに関する部分が不明確だと、採用活動そのものが盛り上がらないばかりか、その後の採用活動にも悪影響が出る恐れがあります。

従業員からの質問などにはていねいに答え、会社として従業員の取り組みをサポートしていくことを心がけてみましょう。

3.紹介者の負担を減らす

紹介者となる従業員は、自分の業務を抱えながら人材と人事・採用担当者の双方に連絡を取り合う必要があるため、過度な負担とならないような配慮が大切です。紹介者の負担を減らすために専用ツールを導入したり、既存業務を調整したりするようにしましょう。

紹介者自身や現場のリーダーである管理職の意見も聞きながら、紹介者の負担を軽減していく取り組みを進めていくことで、安心してリファラル採用の活動に力を入れてもらえるでしょう。

4.専用ツールの導入も検討する

リファラル採用の実施に関する負担を軽減するには、専用ツールの導入も検討してみることが大切です。専用ツールを提供している企業は、単にプラットフォームを提供しているだけでなく、基本的な制度設計などのコンサルティングなども行っているので安心です。

専用ツールはクラウド型のサービスが主流であり、スマートフォンなどから必要な情報にアクセスできる仕様となっているため、採用活動の進行状況を可視化しやすくなるでしょう。また、ツール内ではリアルタイムでデータ分析が行えるので、応募状況や紹介者の貢献度などを明らかにできます。

特に初めてリファラル採用を行う企業であれば、外部のリソースを上手に活用していくことが重要だといえます。費用対効果を考えた上で、自社に合ったツールの導入を検討しましょう。

「リファラル制度の認知度」「知人を紹介できない理由」など、リファラル採用を実施する際に活用できる資料は、下記から無料ダウンロードしていただけます。

5.紹介した従業員と転職希望者との関係が悪化しないよう配慮する

リファラル採用では、紹介者と転職希望者の関係が悪化しないための配慮も欠かせません。

紹介された人材が採用基準を満たしていない場合は、当然、採用を見送ることとなります。その結果、人材が紹介者に対して「紹介を受けたから応募したのに採用されなかった」という不満を抱き、人間関係が悪化する恐れがあります。

このようなトラブルを未然に防ぐために、「紹介されたからといって必ず採用するわけではない」ということを両者に説明した上で、選考後も誠実な対応を心がけましょう。

6.ほかの採用手法と併用する

リファラル採用は、ほかの採用手法と併用することをお勧めします。時間をかけて自社に適した人材を採用することに適した手法であり、大規模な採用や急ぎの人員補充にはほかの手法のほうが向いているためです。

あくまでも、既存の採用手法を補完する位置付けで考えておくと良いでしょう。

7.長期的な取り組みが必要であることを念頭に置いておく

リファラル採用の導入を検討するのであれば、採用までに時間がかかる手法であることを理解しておく必要があります。

リファラル採用は、従業員からの紹介があって初めて機能する手法です。また、選考の時点で他社に在籍している場合は、入社時期の細かな調整が必要なため、相応の時間を要します。

こうした点を理解した上で、目的に応じて複数の採用手法を組み合わせ、長期的に運用していくことが大切です。

リファラル採用のインセンティブを決める際に意識したいこと

リファラル採用の導入時には、インセンティブに関するさまざまな取り決めが必要となります。その際は、以下の点を念頭に置いておきましょう。

●インセンティブの金額の相場を意識する
●インセンティブの支給タイミングを明示する
●金銭以外での支給も検討する

インセンティブの金額の相場を意識する

インセンティブの金額は、相場からかけ離れたものにならないよう注意が必要です。

インセンティブの金額が低過ぎると従業員の協力意欲が下がり、反対に高過ぎると、企業側の負担が増えてしまいます。どちらのケースでも、十分な成果を継続的に得ることは難しいでしょう。

リファラル採用のインセンティブの金額は、数万~30万円程度が相場といわれています。この相場を参考に、制度を長期的に続けられる金額を設定することがポイントです。

【役職・職種別のインセンティブの目安】

役職・職種 インセンティブ相場の目安
一般社員(事務職やサポート職など) 5万~15万円
専門職(エンジニア、デザイナーなど) 10万円~30万円
管理職(部長やマネジャークラス) 30万以上

インセンティブの支給タイミングを明示する

リファラル採用を導入する際は、インセンティブの支給タイミングを従業員に明示しましょう。タイミングの具体例としては、次のようなものが挙げられます。

【目的別のインセンティブを支給するタイミングの例】

目的 支給するタイミング
応募数を増やしたい ●紹介してくれた時点で支給する
●面談が終わった時点で支給する
入社率や定着率を上げたい ●入社した時点で支給する
●入社して◯カ月経過した時点で支給する

「どのようなタイミングで支給するのか」を従業員に示すことで、制度の透明性が高まり、積極的な紹介を促せます。

金銭以外での支給も検討する

リファラル採用のインセンティブは、食事券やギフト券、特別休暇など金銭以外のものでの支給が可能です。もし紹介者や入社者が、このようなインセンティブを希望しているのであれば、柔軟に対応することでエンゲージメントを高められる可能性があります。

その結果、従業員の協力意欲が向上し、紹介数の増加につながるかもしれません。
以上を踏まえ、インセンティブの内容は、企業の風土や従業員の要望に合わせて決めることをお勧めします。

リファラル採用で用いる3つの指標

リファラル採用で成果を挙げるには、制度がしっかりと機能しているかどうかを定期的に確認することが重要です。本項では、その際に活用できる以下の3つの指標を紹介します。

1.協力数・協力率
2.1人当たりの紹介数
3.応募からの決定数

協力数・協力率

リファラル採用では、既存従業員が何人くらい協力してくれるのか、協力数と協力率をきちんと把握しておくことが大切です。協力数や協力率が高くない場合は、リファラル制度の周知やインセンティブなどに問題がないかを見直してみましょう。

制度を単に導入して成果を待つだけでは、思うような効果を得られないといえます。普段から情報共有を緊密に行い、積極的な情報発信に取り組んでみましょう。

既存従業員に当事者意識を持ってもらうことが、リファラル採用の成否を分ける部分でもあるため、継続した取り組みを行っていくことが重要です。

1人当たりの紹介数

従業員1人当たり何人の紹介人数がいるのかをチェックすることも大事なポイントです。紹介数が多い従業員がいれば、どのようなノウハウを持っているのかヒアリングして、ほかの従業員にも共有してみましょう。

また、気軽に紹介できる仕組みを整えることも重要です。既存従業員の視点で見たときに、会社が求める人材とマッチングしているのかを判断することは難しい部分があります。

そのため、カジュアルな雰囲気で行える面談を取り入れたり、勉強会を開催したりするなどして、心理的なハードルを下げる施策を実行してみましょう。

そして、紹介したあとの対応にマイナス要素があると、「次の人材を紹介しよう」というモチベーションが低下してしまいます。紹介活動の合否基準やNGルールなどを事前に周知し、リファラル採用の活動体験を通じて、紹介者自身が良い体験を得られるように環境整備を行っていくことが大切です。

応募からの決定数

紹介者による応募の結果、何%の採用につながっているのかを共有することも重要です。紹介数が多いにもかかわらず、採用決定数が少なければ、応募してくる人材とのミスマッチが生じているといえます。

求人情報の発信や合否基準の明確化、入社後のはたらき方のイメージを共有するなど、紹介者に共通認識を持ってもらえるように施策を実行してみましょう。応募数よりも、マッチ度を高めていくための施策に取り組んでいくことで、採用決定数を高めていけるはずです。

リファラル採用に向いている企業の特徴

続いて、リファラル採用の導入が向いている企業の特徴をお伝えします。

【リファラル採用の導入が向いている企業の特徴】
●従業員が企業の成長に協力したいと考えている
●従業員が新たな取り組みに積極的に協力してくれる
●これから成長を目指すスタートアップ・ベンチャー企業である

従業員が企業の成長に協力したいと考えている

従業員のエンゲージメントが高い企業は、リファラル採用の導入に向いています。

企業がリファラル採用を円滑に進めるには、従業員に「大切な友人や知人に自分の会社を紹介したい」と思ってもらうことが不可欠です。従業員エンゲージメントが高ければ、「企業のために何かしたい」という気持ちが芽生えやすくなるため、リファラル採用への積極的な協力が期待できます。

従業員が新たな取り組みに積極的に協力してくれる

新たな取り組みに対する従業員の協力意欲が高いことも、リファラル採用の導入に向いている企業の特徴です。リファラル採用を「自分ごと」として捉えてくれる従業員が多ければ、一定の紹介数が見込めるでしょう。

これから成長を目指すスタートアップ・ベンチャー企業である

スタートアップ・ベンチャー企業も、リファラル採用の導入が適しています。

こうした企業が事業を拡大していくには、自社にマッチする人材の採用が欠かせません。しかし、スタートアップ・ベンチャー企業は財務基盤が安定していないことも多く、採用活動に十分な予算を割けないという問題があります。

こうした状況では、思うように採用活動を進められないため、求める人材を採用することは困難です。その点、ほかの採用手法と比べて低コストで導入できるリファラル採用は、財務基盤が不安定なスタートアップ・ベンチャー企業にとって有力な選択肢の一つといえます。

リファラル採用の導入事例

最後に、リファラル採用を導入した企業の成功事例を紹介します。

●富士通株式会社
● freee株式会社
● LINEヤフー株式会社
●株式会社セールスフォース・ジャパン

※本事例は2018年時点の情報です。現在の制度運用状況については各社公式サイトなどをご確認ください。

富士通株式会社

富士通株式会社では、2017年下期に数百人を対象としてリファラル採用のトライアルを実施。スモールスタートでの利点を活かし、不安の声を解消しながら、2018年4月にリファラル採用を正式導入しました。

従業員が迷うことのないよう、事前にリファラル専用サイトを整え、リファラル経由の選考プロセスを構築。選考プロセスでは、紹介者が「推薦コメントを入れる以上のことに関与しない」「選考に携わらない」ことを徹底しています。

会議に出向いての広報活動や社内報への掲載、ポスターの掲示、研修での周知、採用イベントでの周知などさまざまなプロモーションを継続的に行った結果、初年度には約20人が採用に至り、マッチング率が人材紹介サービス経由の約10倍という成果が表れました。

(参考:『富士通、freeeが取り組む、リファラル採用成功の秘訣【セミナーレポート】』)

freee株式会社

freee株式会社では、リファラル採用促進のために「知人を紹介したくなる」組織をつくるべく、「友達を呼ぶことのハードルを下げる」「採用の重要性、必要性をしっかり伝える」「協力者への感謝の気持ちと称賛」の3つを意識しています。

具体的には、「転職の意思を問わず、誰でもお弁当制度(夕食を無料で食べられる独自の制度)に招待できる」「全体発信だけでなく1on1の際にもリファラル採用の話をする」「称賛の場を設け、自社のロゴ入りTシャツをプレゼントする」などの取り組みを実施。

紹介した従業員には「現在、このような動きをしている」と状況を通知し、採用を見送る際は、紹介者である従業員に対面で理由を伝えてから候補者へ連絡するなど、紹介者へのフォローを徹底。

2019年9月には、採用全体の9割を占める自社採用のうち、2割がリファラル採用という結果につながりました。

(参考:『富士通、freeeが取り組む、リファラル採用成功の秘訣【セミナーレポート】』)

LINE株式会社

LINE株式会社は、2019年7月1日にグループ各社でリファラル採用を徹底推進していくことを発表。紹介した従業員にリファラル手当を支給するだけでなく、紹介されて入社した従業員には30万円の入社祝い金を支給しています。

このほか、「以前から支給していた知人との会食費を1人当たり7,000円に増額」「社内Wikiに紹介の手順から会食向けの店舗情報までを集約」「コミュニケーションツール上に採用に特化したチャンネルを作成」など、相談や紹介をしやすい環境を整備。

リファラル採用のエントリーから入社までの割合が人材紹介サービス経由のケースの10倍以上になるなど、高い効果を得ることができました。

(参考:『LINEがリファラル採用の徹底を発表。社員自らが「自分たちのチーム」を作る意義』)

株式会社セールスフォース・ドットコム

株式会社セールスフォース・ドットコムは、2018年時点で中途入社従業員の約半数をリファラル制度によって採用。リクルーターが現場のビジネスリーダーを積極的に巻き込んで施策を行っています。

紹介した従業員が最後まで責任を持てるよう、選考プロセス・ステータスの確認や、面接前のアドバイスを可能とする仕組みを構築。

また、採用情報のグループをつくり、各自の対応状況を常に全員が把握しながら仕事を進めているため、あるポジションで不採用になってしまった方を別のポジションで採用するといった動きもあります。

(参考:『セールスフォース・ドットコムが、リファラル採用“約半数”を実現できる理由』)

まとめ

リファラル採用は既存従業員の人間関係をベースとした採用手法の一つです。すでにはたらいている従業員から紹介をしてもらうことで、企業理念や価値観などが合った人材を採用しやすいというメリットがあります。

また、採用コストの削減や安定的な人材採用といった面でプラスになる部分があり、多くの企業で取り入れられている手法です。これまでの採用活動で思うように成果が出ていないのであれば、リファラル採用を導入して採用活動を活性化させてみてはいかがでしょうか。

「リファラル制度の認知度」「知人を紹介できない理由」など、リファラル採用を実施する際に活用できる資料は、下記から無料ダウンロードしていただけます。

(制作協力/株式会社eclore、編集/d’s JOURNAL編集部)

リファラル採用、みんな協力してる?社員の本音とは

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