採用広報とは|注目される背景と4つの手法・成功事例を解説

2019.06.06
d's JOURNAL
編集部
採用広報とは応募を促す広報活動
採用広報が必要とされる背景
採用広報を行うメリット
採用広報の5つの取り組み事例
採用広報で活用する4つのメディア-『PESOモデル』の特徴
採用広報を実施する前の4つのステップ
採用広報を行うときの3つの注意事項
まとめ

売り手市場において企業の採用活動は激化しています。人材紹介サービスや求人広告を活用した「待ち」の姿勢だけでは、自社が求める人材を確保することが難しくなってきました。

転職を考えていない潜在層へも情報を発信することが重要になっているのです。そこで注目を集めているのが、「採用広報」です。

企業によって採用広報の取り組み内容はさまざま。ただし一貫して言えることは、“企業にマッチする人材を明確にすること”、そして、“その人材のニーズに応じた情報発信をすること”が大切であるということです。

この記事では、企業が採用広報を行う際の基本的な考え方や各手法の特徴、成功事例について紹介します。

採用広報とは応募を促す広報活動

採用広報とは、企業が採用を行う際に自社が求める人材からの応募を促すために行う広報活動のこと。

商品やサービスの販売促進のためのPRといった一般的な広報活動とは違い、採用広報はその企業で働くイメージを持ってもらうための情報発信を行うのが特徴です。基本的な募集要項に加えて、具体的な仕事内容や働き方、職場の雰囲気、社員インタビューなどにより企業の魅力を伝えます。

しかし、やみくもに取り組むだけでは効果はありません。採用広報で重要なのは、「採用ターゲット(採用要件・人物像)を明確に」し、そのターゲットが求める「等身大の企業情報を届ける」ことです。自社が求める採用ターゲットがあいまいなまま手当たり次第に情報発信をしても、彼ら彼女らの目に留まらない可能性があります。

また、企業の実態に合わない情報を発信しても、ミスマッチが発生してしまいます。採用ターゲットを明確にし、より働くイメージを持ってもらいやすいように、等身大の情報を届けることが重要です。

採用広報が必要とされる背景

「採用広報」という概念自体は以前からあったものの、近年のさまざまな社会的背景から、重要性がより高まっています。

ネット普及により企業の情報配信の需要上昇

スマートフォンの発達、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの発展により、日常の中で意識しなくても多方面から企業や採用の情報を得やすくなりました。在職者や退職者の口コミなどを参考にする候補者も多くなってきました。

しかし、多くの情報の中から自分に合った企業を選べる一方で、情報の信頼性や誰が発信している情報なのかが、重要視されるのも事実です。だからこそ、企業が透明性・信頼性のある情報を発信することが求められているのです。

企業文化や考え方など飾らず裏表のない情報を伝えることで、カルチャーフィットする人材の採用につながりますし、結果的に社員の定着率向上や活躍推進といった効果も期待できるのです。

(参考:『情報が世の中に溢れる時代における、企業の『採用サイト』の重要性』)

社員の価値観・働き方が多様化している

働き方改革や新型コロナウイルス感染症の拡大などを受けて、社員の価値観や働き方が多様化していることも、採用広報が必要とされる要因の一つです。

近年は終身雇用の前提が崩れつつあり、フリーランスや起業、副業など、「一つの会社に依存しない」という働き方の選択肢も増加。「就職した会社の中でいかに自身の価値を発揮するか」「自社でどのようにキャリアアップするか」よりも、「自分が何をしたいのか」「そのためにどのような働き方をするのか」が重要視されるようになっています。

また、テレワークやフレックスタイム制度の普及により、働く場所や時間にも幅が生まれ、ライフステージに応じた働き方を選ぶことも可能となりました。このように働き方を主体的に選択するという風潮が高まっている中、求職者の応募を促すためには、「何のためにどのような事業を行っているのか」「どういった制度・仕組みがあり、どのように活用されているのか」といったことを伝える必要があります。

自社のビジョンやミッション、実際の働き方や働く環境を具体的にイメージしてもらうための方法として、採用広報の重要性が増しているのです。

転職潜在層へのアプローチの重要視

人材の売り手市場が激化している近年では、すでに転職に動き出している「転職顕在層」だけでは、自社が求めている人材に出会えない可能性もあります。

そこで、いずれは転職するかもしれないが、すぐに転職をする気はない人材、いわゆる「転職潜在層」に自社を認知してもらうことの重要性が増しています。転職への意識がないうちから自社を認知してもらうことで、転職顕在層がいざ求職活動を始めた際に「この企業は良さそうだったな」と、転職候補として検討されやすくなるでしょう。

転職を本格的に考えていない層に届けるためには、日常の中で見られるメディアへの露出やイベント開催などで定期的に情報発信することが効果的だと言えます。

多様化している採用手法への対応が必要

これまでは、採用ニーズが発生したタイミングで人材紹介サービスや求人広告といったサービスを使用することが主流でした。しかし近年では、「リファラル採用(社員紹介)」が広がりを見せています。

社員が友人知人に自社を紹介した場合、より深く理解できるツールが必要と言えるでしょう。「どんな会社だろう?」「もっと深く知りたい」と思って検索した際に、ヒットする受け皿を用意することが大切です。

また、自社のブランディングを強化することで、認知度の底上げにもつながります。普段から情報発信をしておけば、いざ募集を開始した際に、よい人材を採用できる効果が期待できるでしょう。

採用広報を行うメリット

採用広報を行うことによって、企業にはどのような効果が期待できるのでしょうか。考えられるメリットを3つご紹介します。

企業の知名度を高められる

デジタル技術の革新やデバイスの普及により、近年は情報の流通量が急増。求職者の姿勢も、情報を「受け取る」から「収集する」へと変化しつつあります。このような変化を受けて、企業が自ら情報を発信し、「自社の存在を知ってもらう」「就職先・転職先の候補として検討してもらう」ことが重要となっているのです。

さまざまなツールを通じて情報発信することで、転職顕在層だけでなく、潜在層にもリーチできます。そのため、中長期的な視点で捉えても、採用広報は有効な手法だと言えます。特に、全国各地で採用を行っていたり、BtoB向けサービスを取り扱っていたりする場合は、より効果的でしょう。

早期退職につながるミスマッチの低減

採用広報によって理念やビジョン、制度、待遇などの情報を発信することは、企業理解の促進につながります。オフィスの様子や業務風景、1日の過ごし方、社員が感じていることなど、パンフレットや募集要項だけでは伝わりづらい点もオープンにし、透明性のある情報を提供することで、求職者が入社後をイメージしやすくなるでしょう。

その結果、自社のカルチャーにマッチした人材を集めやすくなり、ミスマッチの削減による早期退職のリスク低減、定着率の向上が期待できます。

採用コストを抑えることができる

採用広報では、SNSや動画配信サービスなどの無料で配信できるツールを大いに活用できます。SNSの連携機能を利用すれば、あるチャネルから別のチャネルにも同様の情報を配信できるため、複数のチャネルを効率的に運用し、応募率や面接進行率の向上を図ることも可能です。

求人広告や人材紹介サービスの利用に比べ、採用コストを大幅に抑えられるでしょう。また、採用広報によって入社後の定着率が向上することで、退職者の穴埋め採用にかかるコストや、人事部のオペレーションコストも削減できます。

企業によっては、採用広報の効果を感じられるまで時間を要する可能性があるものの、中長期的に見るとメリットの方が大きいと言えます。採用に課題を抱えている企業は、採用広報に力を入れてはいかがでしょうか。

採用広報の5つの取り組み事例

各企業は、具体的にどのような採用広報を行っているのでしょう。5つの企業の取り組み事例と、得られた効果についてご紹介します。

株式会社ミラティブ:会社説明会資料のWeb公開

会社説明会用の資料を「採用候補者様への手紙」としてWeb上に公開。一般的にあまり開示されない給与などの情報も積極的に公開した結果、直接応募の増加につながっています。また、採用広報のタイミングも工夫しており、総額35億円の資金調達の報告と共に、社長が採用情報についてもTwitterに投稿したことで注目を浴びました。

その他にも、社員が自身のSNSでシェアしやすいようにコミュニケーションを取ったり、説明会で求職者の応募をサポートしたりと、社員を巻き込んだ採用を行っています。

株式会社ミラティブでは、社員全員がリクルーターとしての意識を持ち、応募者に対しオープンでフラットなコミュニケーションを取りながら採用につなげています。
(参考:『SNSで「採用候補者様への手紙」を公開した企業が目指す、理想の組織と採用のあり方ー株式会社ミラティブ』)

株式会社メルカリ:オウンドメディア『メルカン』を運用

優秀な人材が次々と入社しており、採用業界で「人材のブラックホール」と呼ばれているメルカリ。会社が掲げる「世界観」に、一人一人に共感してもらった上で、自分に何ができるかを考え、意識を高めてからの入社を促しているようです。

求人情報は出さず、人材紹介サービスやオウンドメディアの「メルカン」を使い、さまざまな職種の「メルカリではたらく人」の情報発信をすることで、求職者の目を引いています。

ターゲットが何に価値を求め、どこに引かれるのかをしっかりと捉え、全社員で積極的に企業が目指す姿を伝える姿勢を持っていることも、メルカリの採用広報がうまくいっているポイントと言えそうです。
(参考:『「読者は何を知りたいのか」を考え抜く。メルカリ採用ブランディングのメソッド』)

LINE株式会社:社員による自発的な情報発信

「世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めること」をミッションに、コミュニケーションアプリ「LINE」を展開するLINE株式会社。社員のアウトプット思考が高く、仕事に対する考え方や企画書の書き方といったノウハウを、noteなどのWebサービスを使って積極的に公開しているようです。また、LINEでは自社でのリアルイベントを積極的に行っており、その内容を会社ブログにまとめ発信しています。イベントは開催してしまったらそれで終わりですが、このように記録を残しておくことで、イベントに参加できなかった人でも情報を取得することが可能となります。
(参考:『「毎日が文化祭状態」。事業創出が続くLINEを“採用”で支える人事のホンネとは』)

株式会社ベーシック:社員のTwitter継続の仕組み作り

株式会社ベーシックでは、情報の拡散性が高いTwitterに注目し、積極的・継続的に情報を発信しています。2019年4月から全社的な取り組みとして運用をスタートさせ、役員を含めた社員の約3分の1が個人アカウントを取得。社員のフォロワー数を合算すると約6万人にも上ります。

投稿内容や頻度には制限を設けず、個々が自由に発信しながらも、目的や得られた成果、メリットについては定期的に共有する時間を設定しているそうです。社内の雰囲気や理念などを含めたカルチャーを発信することで、「知名度が上がり、会社名とサービス名がセットで認知されるようになった」「内定承諾率が大幅に改善した」「離職率が最高値の3分の1まで低下した」などの効果がありました。
(参考:『採用広報の決定版。社員のフォロワー数は合算6万人、内定承諾率と離職率を大幅改善するSNS活用法』)

ピクスタ株式会社:自社を”盛らない”情報配信

ピクスタ株式会社は、2017年に広報と人事部が共同運営するオウンドメディア『ピクスタ+』を立ち上げました。話題になることを狙うのではなく、「正々堂々」「公明正大」の姿勢を重視。自社にマッチした応募者を増やせるよう、データで表せない「カルチャー」や「社員の想い」などを自然体で表現する記事づくりを意識しています。

毎週編集会議を開き、求職者のニーズを踏まえたコンテンツを企画する一方で、イベント情報などの時事ネタは素早く発信するよう心がけているそうです。そうした取り組みは、採用力の向上に寄与しています。実際、応募者は『ピクスタ+』を読んだうえで面談に臨むことも多いため、「入社後のギャップがない」という声がよく聞かれるそうです。
(参考:『盛らずに、ありのままの自社を伝える。自律した個のつながりを生むピクスタの採用広報』)

採用広報で活用する4つのメディア-『PESOモデル』の特徴

採用広報に使われるメディアには「ペイドメディア(Paid Media)」「アーンドメディア(Earned Media)」「オウンドメディア(Owned Media)」があり、これらをまとめて「トリプルメディア」と呼んでいました。

しかし、Webマーケティングの手法も変化しており、新しく現れた「シェアドメディア(Shared Media)」を加え、「PESOモデル」と呼ばれています。それぞれのメディアの特徴と、アプローチしやすいターゲットについてご紹介します。

ペイドメディア(Paid Media)

ペイドメディアとは、求人広告など企業がお金を支払って広報するメディアのことです。求人広告によって、経験職種や年齢層など登録者のデータベースの特徴を開示していることが多いため、自社のターゲットに合わせてメディアを選定することができます。

「求人サイト」の場合には、就職や転職を視野に入れている人が登録しているため、求職者に情報を届けやすく、スピーディーに採用しやすいというメリットがあります。一方で、掲載費などの費用がかかることや、掲載期間が決まっているものなどもあるので、採用の予算やスケジュールも踏まえて使用する必要があります。

アーンドメディア(Earned Media)

アーンドメディアとは、ユーザーが情報の起点となるブログや口コミサイト、SNSといったメディアです。採用広報では主に、企業のファンを作ったり、1回つながったユーザーとより強固な関係性を築いたりすることを目的に使用されます。

また、実際に企業で働く社員が等身大の情報をリアルタイムで発信できるので、ユーザーとの信頼関係を強めやすいというメリットもあります。

一般的にアーンドメディアからの直接の採用はあまり多くありませんが、最近では、主にエンジニアを対象にしたTwitterを活用した転職サービスが生まれたり、Twitter上で社長と直接やりとりをして採用されたりするといったケースもあるようです。

オウンドメディア(Owned Media)

オウンドメディアとは、企業が運営する自社ホームページや採用ページなどのWebメディアのこと。検索やURLからの流入が基本となるので、流入を促すためにアーンドメディアやペイドメディアと組み合わせて活用します。

求職者だけでなく、自社の商品やサービスなどに興味を持ったユーザーに見られることもあるため、企業のミッションや魅力などを提示しておくことで、長期的な採用につながる可能性があります。また、オウンドメディアは立ち上げや運営に人件費や管理費がかかる反面、広告費は抑えられるというメリットもあります。

自社で情報をコントロールしやすいのも特徴の一つですが、運営する際は企業側の伝えたいことだけを主張するのではなく、ターゲットに合わせた情報提供を意識することも大切です。

シェアドメディア(Shared Media)

シェアドメディアとは、SNSを切り出したもので、共有することを目的としたメディアを指します。もともとシェアドメディアはアーンドメディアの一つと考えられていましたが、これだけSNSが発達している中、ブランディング・広報・PRを考える上では重要な手法であり、独立して考えることも増えてきました。

簡単にアカウントを開設でき、気軽に投稿しその内容が拡散され広がっていくことが利点です。また、転職候補者となり得る層と双方のコミュニケーションを取ることもできます。シェアドメディアの活用によって、より身近に接点を持つことが可能となりました。

(参照:『実名Twitterで共感を、採用PRのススメ-サイボウズ綱嶋氏×ガイアックス管氏』)

メディア 手法 特徴
ペイドメディア 求人広告(doda、an)やWeb広告 経験職種や年齢層など自社のターゲットに合わせて選択。即時性の高い求職者へのアプローチが可能
アーンドメディア ブログ、口コミサイト、SNSなど 企業のファンづくりや、自社に興味を持っているユーザーとの関係構築が可能
オウンドメディア 自社ホームページ、採用ページなど 受け皿的な立ち位置。企業のミッションや魅力などを提示しておくことで長期的な採用につながる可能性も
シェアドメディア SNS(Twitter、Facebook、Instagramなど) ブランディング・広報・PRを考える上で重要。自社に興味を持っているユーザーと双方向でコミュニケーションをとることができる

多くの企業では、それぞれを単体で使用するのではなく、組み合わせて採用広報を行っています。組み合わせ方は企業によりますが、「オウンドメディアである自社ホームページにアーンドメディアであるInstagramを組み込む」「採用説明会や特定の業種を対象とした勉強会といったリアルイベントをタイミングよく組み込む」などの事例も見られます。

採用計画やターゲットの特性に合わせて「PESOモデル」を活用し、求職者の「認知」「応募の動機形成」へとつなげていきましょう。

採用広報を実施する前の4つのステップ

実際に企業で採用広報を実施する前に取り組んでおきたい、4つのステップをご説明します。

採用広報を実施する前の4つのステップ

①採用人数・スケジュール・予算などの基本計画を立てる

「いつまでに、どのポジションに、何人必要なのか」といった採用の緊急度合いや頻度、採用業務に充てられる時間や費用などの基本計画を立てましょう。計画によって、採用広報の進め方が変わってきます。

②採用ターゲットを明確にし自社の強みを整理する

採用ターゲットの経験やスキル、年齢などを明確にし、「自社のどのような情報を発信すれば、その人が働きたいと思うか」という観点で自社の強みを整理してみましょう。「自社が打ち出したい言葉」ではなく「ターゲットに響きやすい言葉」で伝えることが大切です。すでに社内で活躍している社員の中でターゲットに近い人がいれば、その人が働きたいと思ったきっかけや仕事でのやりがいなどをヒアリングすることで、採用広報のヒントを得られるかもしれません。

③メディア(ツール)を選定する

①②が定まったら、採用広報で使用するメディアを検討します。(メディアの選び方に関する詳細は後述についてご確認ください)
採用広報を開始した後も、定期的に効果測定を行い、必要に応じてメディアの見直しや改善の検討をするようにしましょう。

④社内外に周知する

採用活動を円滑に進めるためには、社外はもちろん社内の協力が必要不可欠です。発信する情報が実情とずれていると、採用のミスマッチや既存の社員のモチベーション低下にもつながります。社員自らが人材に直接アプローチする採用手法であるダイレクト・ソーシングを活性化するためにも、社内を巻き込む取り組みを行っていきましょう。

採用広報を行うときの3つの注意事項

採用広報を成功させるためには、以下の3つのポイントに注意しましょう。

採用広報の目的やKPIを明確にする

まずは、採用課題を考え、「何のために」「誰を対象として」「どのようなコンテンツで」情報を発信するのかを明確にすることです。目的やターゲットをあいまいにしたまま情報を発信してしまうと、求職者の心にも届きにくく、採用広報の効果が得られない可能性があります。

また、採用広報は効果を実感できるまでに時間がかかります。効果の測定や検証のためにも、KPIを設定し、定期的に情報発信の方法やコンテンツを見直すようにしましょう。

採用広報の代表的なKPIは以下の通りです。採用広報戦略に基づき、自社に合う指標を設定しましょう。

KPIの例

◆採用広報全体のKPI(長期目標)
・応募者数
・選考通過率
・内定承諾率
・入社後の定着率、早期離職率 など

◆メディアのKPI(短期目標)
・採用広報記事のPV数
・採用広報動画の視聴数
・SNSの広告表示回数
・SNSのプロフィールアクセス数
・SNSのフォロワー数 など

企業広報だけに注力し過ぎない

自社の魅力をアピールする「企業広報」だけでは採用活動に結び付かない可能性があります。あくまで「応募者が求めている情報」「自社の採用課題を解決できるコンテンツ」を発信しましょう。

採用広報の目的は「自社で働くイメージを持ってもらうための情報発信」です。社員インタビューや福利厚生・研修制度の紹介などのリアルかつ詳細な情報を発信することで、求職者が自社への応募を検討する際、優位に作用する可能性が高まります。

一方で「認知度を高めたい」と考えている企業が、いきなり社員インタビューなどの踏み込んだ内容を発信しても、なかなか応募には至らないでしょう。認知度を高めるためには、まず企業のミッションや事業内容、競合他社と比較したときの強みを知ってもらうことの方が、優先度が高いと考えられます。

自社の認知度がどの程度かを把握した上で、まずは自社の特徴を伝えるのか、最初から自社やそこで働く社員のリアルを伝えるのかを検討してみるとよいでしょう。

会社を誇張してアピールしない

応募者を増やしたいがために実態と異なる情報を発信してしまうと、採用後のミスマッチや既存社員の不満が生じる可能性があるため、注意が必要です。

近年はスマホやSNSの普及により、多方面から情報を収集することができるため、誤った情報が流れていることがわかると企業への不信感につながります。

求職者と企業間、社員と企業間でギャップをつくらないためにも、透明性・信頼性の高い情報の発信を心がけましょう。最終的な目的である「入社後の定着」を意識し、自社の魅力だけでなく課題もオープンに伝えることで、ありのままの姿に共感・理解をしてもらうことが大切です。

まとめ

採用広報として、求職者が求めている情報を発信することで、「認知度の向上」「自社が求める人材からの応募」などが期待できます。採用広報によってミスマッチを防ぐことは「早期退職のリスクを抑える」ことにもつながるため、中長期的にも重要な施策だと言えるでしょう。

採用広報を成功させるためには、目的やKPIを明確にし、透明性のある情報を発信することが重要です。今回ご紹介した内容を参考に採用広報戦略を練り、自社にマッチした人材の獲得・定着につなげてみてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)