【弁護士監修】短時間勤務制度を育児や介護、通院等で正しく運用するための基礎知識

東京弁護士会所属 弁護士法人すずたか総合法律事務所 東京事務所

山埼由紀子(やまざき ゆきこ)弁護士 【監修】

プロフィール

改正育児・介護休業法の施行により、3歳未満の子を持つ労働者や要介護の家族を持つ労働者について、短時間勤務等の措置を講じることが企業に義務付けられました。労働力が減少している現代では、短時間勤務の労働者も貴重な戦力と考える企業が増えてきています。制度の特徴や導入に向けた手続きといった基礎知識、Q&Aなどをご紹介します。

短時間勤務制度とは、どんな制度?

短時間勤務制度とは、どんな制度?
今回の改正の目的は、育児や家族の介護を行う労働者の仕事と家庭との両立させることにあります。この目的を実現するために、改正育児・介護休業法では、事業者に対し、育児休業や介護休業制度に加えて3歳に未満の子供や要介護状態にある家族を介護する労働者に対して、所定労働時間の短縮を可能とする短時間勤務等の制度を設けることを義務化しました。

平成28年の法改正では育児や介護を理由としたハラスメントの防止が義務付けられ、平成29年の法改正では待機児童問題解消のため、育児休業期間の延長が可能になる等、時代の流れに従って法律も変化しています。

短時間勤務制度の対象となるのは、次の5つの条件を「全て」満たす方です。

①3歳未満の子どもを養育していること。
②1日の労働時間が6時間以下でないこと。(変形労働時間制の場合、全ての労働時間が6時間以下でないこと)
③日々、雇用される者でないこと
④短時間勤務制度導入前から、育児休業をしていないこと
⑤労使協定により、適用除外とされていないこと※

ただし上記5つの条件を満たしていても、労使協定により次の条件のいずれかに該当する場合は、この制度の対象外とすることができます。

・雇用期間が1年未満の場合
・1週間で2日以下しか働いていない場合
・既に1日6時間の短時間勤務制度が導入されているなど、業務の性質または
業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度の導入が難しいと考えられる場合

3歳に満たない子や要介護の家族を持つ労働者の短時間勤務制度が義務になる?

短時間勤務制度の具体的な取得方法を紹介します。

育児による短時間勤務は、法律では3歳に満たない子供がいる場合、労働時間を6時間に短縮可能

育児による短時間勤務は、法律では3歳に満たない子供がいる場合、労働時間を6時間に短縮可能

育児による短時間勤務制度では、3歳未満の子供がいる労働者の1日の所定労働時間を原則として6時間とすることが企業に義務付けられています。業務の性質上、短時間勤務制度の適用が難しい労働者に対しては、フレックスタイム制度の導入、始業・終業時刻の繰上げや繰下げ、事業所内保育施設の設置運営等の措置を講じる必要があります(短時間勤務制度の適用が困難と認められる場合の例を厚生労働省が指針として示しています。P7下部参照)。

3歳未満の子供とは、3歳の誕生日の前日までの子供を指します。以前は、法律上の親子関係がある子供(実子、養子)に限定されていましたが、平成28年の法改正で、特別養子縁組の監護期間中の子供や養子縁組里親に委託されている子供も対象になりました。短時間勤務制度に関しては男性女性いずれの労働者でも利用することができます。

また、未就学児がいる労働者が子育てしやすいよう、育児目的休暇を設ける努力義務が創設されました。短時間勤務制度において、1日の所定労働時間は原則6時間とされています。(厚労省の通達によれば、短時間勤務制度における所定労働時間の「原則として6時間」とは、5時間45分から6時間の範囲とされています。)
なお、所定労働時間を6時間に短縮するにあたりどのような規定を設けるかは、企業に委ねられています。所定労働時間が8時間の場合、

・退勤時間を2時間早める
・出勤時間を1時間遅らせて退勤時間を1時間早める
・1日の所定労働時間を原則6時間と規定し、週3回の隔日勤務にして週の労働時間を減らす

上記のようなパターンが考えられます。各自の置かれた状況がさまざまです。労働者が自分に合った勤務パターンを選べるよう、複数の選択肢を用意するとよいでしょう。

介護による短時間勤務は様々な取得方法がある

介護による短時間勤務は様々な取得方法がある
要介護状態(負傷、疾病または身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態をいいます)にある家族(労働者の配偶者《事実婚を含む》、父母、子、(これらに準ずるものとして労働者が同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫を含む)、配偶者の父母)を介護する労働者に対しては、仕事と介護を両立しやすくするため、連続する3年間以上の期間における所定労働時間の短縮等の制度を設けることが企業に義務付けられています。具体的には、下記4つのほか、これに準ずる制度のいずれかを、原則として2回以上(ただし、介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度を除く)利用できるようにしなければなりません。

・短時間勤務制度
・フレックスタイム制度
・時差出勤制度
・介護サービスの費用の助成

また介護による短時間勤務制度には、さまざまな取得方法があります。下記4つです。

・1日の所定労働時間を短縮する方法
・週又は月の所定労働時間を短縮する方法
・隔日勤務や特定の曜日のみの勤務にすることで週又は月の所定労働日数を短縮する方法
・労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める方法

短時間勤務を2つの期間に分けて取得し、その間に介護休業を挟むといった形で取得することも認められています。労働者が仕事と介護がうまく両立できる制度となるよう配慮をすることが大切です。

介護による短時間勤務の内容

病気による短時間勤務について

育児や介護を理由とした短時間勤務制度は法律で規定されていますが、労働者自身の病気や怪我を理由とした短時間勤務制度は現状の法律では規定されていません。

長期の治療が必要な労働者や、うつ等メンタルヘルスの問題を抱えながら職場復帰を目指す労働者も育児や介護を抱える労働者と同様に配慮が必要です。法律上の義務はないものの、短時間勤務制度や時間単位・半日単位での有給取得等の制度を使うことができるようにしておくことが望ましいでしょう。こうすることで、企業の貴重な人材を、退職という形で失うことを回避することにつながります。

短時間勤務制度を導入するために必要なこと

育児や介護による短期間勤務制度を導入するために必要な措置について、紹介します。

就業規則の整え方

育児や介護による短時間勤務制度は、企業で単に制度を運用するのみならず、就業規則に明記して労働者に周知する必要があります。就業規則を整える際のポイントは、以下の4点です。

①労働時間の明記:
短時間勤務制度を適用した場合、労働時間は6時間となることが多くなると思いますが、企業によって具体的に何時から何時まで勤務してもらいたいかが変わってきます。具体的に何時から何時までを労働時間とするのかを、就業規則に明記しましょう。また、業務内容により短時間勤務制度の適用が難しい労働者を対象とした時差出勤の労働時間や、3歳以上の子供を持つ労働者についても短時間勤務制度を認める場合の労働時間等、必要に応じて就業規則に明記することも重要です。

②適応外となる労働者の明記:
短時間勤務制度は全ての労働者を対象にしているものではありません。労働時間や日数がもともと短い労働者や勤続年数が短い労働者等、短時間勤務制度の適応外となる労働者について、就業規則に明記しましょう。

③給与や賞与等の算定について:
育児や介護による短時間勤務制度を使いたい労働者にとって、特に気になるのが給与や賞与等の算定についてです。トラブルを未然に防ぐため、毎月の基本給や諸手当、賞与の算定方法について明記し、労働者に周知しましょう。

④ハラスメント防止措置の明記:
改正育児・介護休業法において、育児休業・介護休業等(短時間勤務制度を含む)に関するハラスメント防止措置を講じることが企業に義務付けられています。短時間勤務制度の利用を申し出たときや実際に利用しているときに、上司や同僚から嫌がらせを受けた場合等も、ハラスメントとして認定されます。ハラスメントに該当する事項を明記し、防止措置や対処法等について、就業規則に明記しましょう。

(参考:厚生労働省『育児・介護休業等に関する規則の規定例』)

 

なお、就業規則の記載事項を変更した場合、常時10人以上の労働者を使用している事業場など一定の条件を満たす場合、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があるケースがありますので、忘れずに対応しましょう(労働基準法第89条)。

契約書の結び方

労働者と結んでいる契約書についてはどんな対応が必要なのでしょうか。
就業規則に短時間勤務制度を記載しているのであれば、就業規則に則った利用であれば契約書を締結し直す必要はありません。念のため、就業規則の規定を確認しておきましょう。

申請書の出し方

短時間勤務制度による労働時間の変更は企業と労働者の双方にとって非常に重要な事柄のため、労働者は利用する前に、就業規則に基づき必要な申請書等を企業に提出する必要があります。申請書を提出する期限や具体的な申請手順は企業の裁量で決めることができますが、労働者が利用しにくい手続では意味がありません。「短時間勤務制度の利用開始希望日の1ヶ月前までに人事部に提出する」等、企業と労働者の双方にとって負担の少ない方法を定めましょう。

(参考:厚生労働省『育児・介護休業等に関する規則の規定例』)

短時間勤務制度を導入するメリット・デメリット

短時間勤務制度を導入することで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。労働者と企業にとってのメリット・デメリットを、それぞれ紹介します。

短時間勤務のメリット・デメリット

労働者にとってのメリット・デメリット

仕事と家庭の両立がしやすくなり、時間や気持ちの余裕が生まれるということが、短時間勤務制度を利用する一番のメリットです。労働時間や勤務日数を減らすことにより、仕事を続けながら、子供の成長を見守ったり家事をしたりすることが可能になります。これまでは難しかった出産後の継続的なキャリア形成も、短時間勤務制度があれば視野に入れることができ、就業継続に対する意欲を高めることにもつながります。

一方で、フルタイム勤務からの転換の場合、労働時間の減少により給与や賞与が減るというデメリットが想定されます。また、労働時間が短くなることで、必ずしもこれまでやっていた全ての業務を担当できるわけではありません。一部の業務はフルタイム勤務の労働者に引き継ぐため、同僚の負担を増大させてしまうことが想定されます。このため、短時間勤務制度を利用する際には、周囲への配慮も必要と言えます。

企業にとってのメリット・デメリット

労働意欲の高い優秀な人材を、継続して雇用しやすくなる点が、短時間勤務制度を導入する一番のメリットです。「仕事と家庭を両立したい」という労働者のニーズに応えることができるため、労働者の満足度が上がり、人材の定着が期待できます。また優秀な人材を引き続き確保できることで、業務効率化や生産性の向上にもつながります。

一方で、時短勤務制度を利用する労働者の比率が増えすぎると、管理者の負担が増えたり、フルタイム勤務の労働者に負担が集中したりと、社内に不公平感が生まれる可能性もあります。フルタイム勤務からから短時間勤務への転換に伴う業務内容や業務量の変化を把握し、過度の負担が偏らないように対応を考えることが重要です。

短時間勤務制度を導入した場合、給料はどうなる?

改正育児・介護休業法では、短時間勤務制度等の措置の実行は企業に義務付けられているものの、短縮された労働時間に該当する賃金の保障は定められていません。「ノーワークノーペイ」の原則に則り、働いていない時間分の賃金を支払う必要はないと考えられます。このため、短時間勤務制度を利用している労働者の給与は減少します。

短時間勤務制度を利用する労働者の賃金が下がることで、上司や同僚等の不公平感を和らげることが期待できます。一方で、制度を利用したい労働者にとっては、給与の減額は大きな問題です。就業規則等で明文化して社内に周知する他、制度の利用を労働者が申し出た際にはきちんと減額の根拠について説明し、理解を得ましょう。

保険や年金の手続き方法

もともと正社員等で常時雇用されていた労働者であれば、短時間勤務制度の利用開始後も引き続き健康保険や厚生年金に加入し続けることができます。社会保険料は、月々の標準報酬月額を基準に金額が変わり、月給が減った場合に月々の社会保険料も若干下がりますが、給料の減額に対して社会保険料の減額はごくわずかなので、手取りの給与が予想以上に低いという印象を抱きがちです。そのため、短時間勤務に転換した労働者は企業が考える以上に待遇が下がったと感じる可能性があります。

育児休業等終了時報酬月額変更届の提出

「育児休業等終了時報酬月額変更届」という書類を提出することで、労働者が感じる短時間勤務中の手取り給与と社会保険料のアンバランスを軽減することができます。育児休業後すぐに短時間勤務を始めて給与が減った場合、改定前と改定後の標準報酬月額に1等級以上の差が生じるなど一定の要件を満たしていれば、月々の社会保険料を下げることができるというものです。
「育児休業等終了時報酬月額変更届」は、労働者からの申し出を受けた企業が、事業所の所在地を管轄する年金事務所に郵送又は持参して提出する必要があります。

(参考:日本年金機構ホームページ『育児休業等終了時報酬月額変更届の提出』)

 

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

3歳未満の子供を持つ労働者が、育児を理由に短時間勤務制度等を利用することで標準報酬月額が下がった場合、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という特例を受けることができます。この特例は、次世代育成支援の拡充を目的に、出産前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができるというものです。これにより、労働者は将来の年金額が減ることを回避できます。

「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を受けるためには、労働者からの申し出を受けた企業が、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」という書類を事業所の所在地を管轄する年金事務所に郵送又は持参する必要があります。

(参考:日本年金機構ホームページ『育児休業等終了時報酬月額変更届の提出』)

こんなときどうするの?ーフレックスや残業、退職・休職の場合ー

いざ短時間勤務制度を導入すると、企業はさまざまな場面で対応の仕方に苦慮するケースも考えられます。多くの企業で該当する可能性があるケースについて、どのように対応するかをご紹介します。

こんなときどうするの?ーフレックスや残業、退職・休職の場合ー

フレックスタイム制度との併用は可能?

近年では、フレックスタイム制度を導入する企業が増えてきました。フレックスタイム制度とは、1ヶ月間等一定期間の総労働時間は定めるものの、1日の労働時間は固定せず、労働者が出勤日ごとに労働時間を自由に決定できる制度のことです。必ず働かないといけない「コアタイム」とその時間内であればいつでも出勤・退勤できる「フレキシブルタイム」を組み合わせるのが一般的な運用方法です。
短時間勤務制度とフレックスタイム制度は異なる制度ですが、基本的にフレックスタイム制度には労働時間の下限がないことから、両者の併用は可能です。一方で、育児による短時間勤務制度においては、あくまでフレックス制度は業務の関係で短時間勤務制度の適用が難しい労働者への代替措置という位置付けであるため、短時間勤務制度をフレックスタイム制度で代用することはできません。

残業をさせてもいいの?

突発的な事態が発生したとき等、育児や介護による短時間勤務制度を利用している労働者に残業をさせても良いのでしょうか。改正育児・介護休業法には所定外労働を全面的に禁止する規定はないため、残業をさせることは可能ですが、仕事と家庭の両立を目指すという法律の趣旨から考えると、頻繁に残業させるのは望ましくないと言えます。
一方で、育児や介護による短時間勤務制度と併せて、所定労働時間の制限措置を申請していた場合は、残業させることはできません。所定労働時間の制限措置とは、3歳に満たない子供を養育する労働者や要介護の家族をもつ労働者が請求した場合、所定労働時間を超えて労働させてはならないという措置のことです。この措置を労働者が請求していた場合、残業を命じることはできませんので、違法にならないように注意しましょう。

短時間勤務中に退職するとどうなる?

短時間勤務制度を利用している労働者が退職した場合、離職票の記載や退職金の算定について考える必要があります。
離職票を書く際のポイントは、直近の賃金の支払状況に関する欄の記載についてです。短時間勤務制度の利用中に自己都合で退職となった場合、実際に支払われていた賃金に基づき、雇用保険の基本手当の金額が決定されます。このため、自己都合で退職した労働者の離職票には、フルタイム勤務をしていたときの賃金ではなく、実際に支払った賃金を記載しましょう。一方で、倒産・解雇等による退職(特定受給資格者)の場合には、特例により、休業開始前又は勤務時間短縮措置前の賃金日額により基本手当の日額が算定されます。
退職金を算定する際のポイントは、改正育児・介護休業法上の「不利益取扱い」に該当しないようにすることです。「育児・介護休業や子の看護休暇の期間中に賃金を支払わないこと、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に休業した期間分は日割りで算定対象期間から控除することなど、専ら休業期間は働かなかったものとして取り扱うことは、不利益な取扱いに該当しませんが、休業期間を超えて働かなかったものとして取り扱うことは、「不利益な取扱い」に該当するため、注意が必要です。

有給休暇はどうなる?

有給休暇の扱いについては、有給として支給する賃金と付与日数について考える必要があります。
有給として支給する賃金については、実際の勤務時間に基づいた金額を支給しましょう。1日の所定労働時間がもともと8時間だった労働者が、短時間勤務制度の利用で1日6時間勤務となった場合、6時間分の賃金を払うようにすれば問題ありません。
付与日数については、1日の所定労働時間が短くなった場合でも、従来通りの日数を付与する必要があります。一方で、所定労働日数を短縮した場合については、短時間勤務制度の利用開始以前に付与した日数の繰越分はそのままですが、新たに付与する分については所定労働日数に応じた比例付与をすることができます(1時間未満の端数は切り上げ)。

短時間勤務中に起こりがちなトラブル例

短時間勤務制度を運用するためには、短時間勤務中に起こりがちなトラブルについて知っておく必要があります。トラブル例とその対処法について知っておく必要があります。

企業が「前例がない」と断る

企業によっては、これまで短時間勤務制度を利用した労働者が一人もいないということが考えられます。この場合、起こりがちなのが、「前例がない」と短時間勤務制度の利用を企業が断るトラブルです。短時間勤務制度の利用は労働者の権利であるとともに企業の義務でもあるため、まもなく育児休業から復帰する労働者がいる場合等は、早急に就業規則を見直す等制度を整えましょう。

給与等が減ることへの労働者の不満

給与の減額など待遇が変わることに対して、労働者が不満を感じるというのも、起こりがちなトラブルです。所定労働時間が減った分、給与を減らすこと自体は問題ではありませんが、労働者に納得してもらうために、就業規則等で定める以外にも十分な説明をするように意識しましょう。

労働者が企業内で孤立する

短時間勤務制度を利用している労働者が、企業内で孤立してしまうというトラブルにも注意が必要です。一人の労働者の所定労働時間が減った分、上司や同僚等、他の労働者の負担が増えてしまい、結果として孤立を生む可能性があります。ハラスメント防止措置を規定するのみならず、他の労働者に理解をしてもらうような対策を講じるようにしましょう。

【まとめ】

仕事と育児・介護の両立を図りたい労働者を抱える企業にとって、短時間勤務制度は優秀な人材を雇用し続けるために効果的なものです。導入の際の準備、給与や賞与、退職金、有給休暇等の取り扱いについては、人事担当がきちんと把握しておくことが重要です。多くの労働者にとってより働きやすい企業となるように、改正育児・介護休業法の規定だけにとどまらず、労働者への周知徹底等の措置を検討していきましょう。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、unite株式会社、編集/d’s JOURNAL編集部)

 

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