エンゲージメントサーベイとは?実施する目的や方法、質問項目を解説

エンゲージメントサーベイとは?目的や質問項目、実施方法を解説

doda人事ジャーナル編集部

エンゲージメントサーベイとは、従業員エンゲージメント、つまり従業員の企業に対する貢献意欲を可視化するための調査施策です。近年では多くの企業がエンゲージメントサーベイを行い、組織改善を進めているため、「自社でも実施したい」と考えている人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、エンゲージメントサーベイの概要をお伝えしたのち、実施する際の具体的な手順や注意点などを詳しく解説します。

エンゲージメントサーベイを実施する際は、調査の目的や質問項目をあらかじめ整理しておくことが大切です。自社の状況に合わせて活用できるサーベイシートのテンプレートは、以下から資料ダウンロードできます。

エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイとは、さまざまな質問を通して従業員エンゲージメントを可視化するための調査施策です。この取り組みにより組織の現状を把握できるため、生産性の向上や離職率の低下といった課題への具体的な対策を検討しやすくなります。

実施頻度は企業ごとに異なりますが、「数カ月に1回」「年に1回」など、社内の状況に応じて決めることが一般的です。

なお、以下の記事では従業員エンゲージメントについてより詳しく解説していますので、併せて確認してください。

(参考:『従業員エンゲージメントとは|効果的な取り組みと事例・向上のメリットを解説』)

エンゲージメントサーベイの種類

エンゲージメントサーベイは、「パルスサーベイ」「センサス」の2種類に分けられます。それぞれの違いは以下の通りです。

パルスサーベイ

パルスサーベイは、月に1回や隔週など、比較的高い頻度で実施する取り組みです。質問数は5~10問程度であるケースが多く、従業員エンゲージメントの変化を継続的にモニタリングすることを目的としています。

新制度の導入後や人員調整を行ったタイミングなどの、環境の変化による影響を調査することに向いています。

センサス

センサスは、年に1~2回程度の低頻度で実施する、大規模な取り組みです。質問数は30~50問を超えることもあり、組織全体、または部署ごとの課題の把握に適しています。

経営陣が組織課題を分析する際や、中長期的な改善計画を立案する際などに活用されることが一般的です。

従業員満足度調査・モラールサーベイ・ストレスチェックとの違い

エンゲージメントサーベイと混同されがちな調査として、「従業員満足度調査」「モラールサーベイ」「ストレスチェック」が挙げられますが、それぞれには次のような違いがあります。

【従業員満足度調査・モラールサーベイ・ストレスチェックとの違い】

エンゲージメントサーベイ 従業員満足度調査 モラールサーベイ ストレスチェック
目的 従業員エンゲージメントの可視化 労働環境や福利厚生などに対する満足度の可視化 モラール(士気・労働意欲)の可視化 ストレス状況の可視化
実施頻度 月1回~隔週、年1~2回程度 年に1回程度 年に1回程度 年に1回 (労働安全衛生法による義務)
向いている場面 組織の現状の把握、離職抑止 労働環境の整備、離職抑止 企業風土の改善 メンタルヘルスケア

このように、それぞれの取り組みには目的や実施する場面などの違いがあります。各取り組みの詳細は、以下の記事で確認してください。

(参考:『従業員満足度(ES)とは?要素と向上するメリットと施策を解説』、『パルスサーベイとは?目的や質問項目、具体的な手順を解説』、『ストレスチェックの義務化の概要と企業における実施手順や注意点を解説』)

エンゲージメントサーベイが注目される背景

エンゲージメントサーベイに注目が集まっている背景には、「人的資本経営」の浸透があります。

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、従業員一人ひとりの個性を最大限に引き出すことで、中長期的に企業価値の向上を図る経営手法です。少子化に伴う労働人口の減少が続く昨今、組織力を強化して経営を安定させる手段として、多くの企業が注目しています。

この経営手法では、組織の現状を正確に把握した上で、生産性の向上や離職率の低下といった課題の改善に取り組むことが欠かせません。そのため、組織の現状把握や課題解決を円滑に行えるエンゲージメントサーベイに注目が集まっているのです。

なお、人的資本経営については以下の記事でも詳しく解説しています。

(参考:『人的資本経営とは?開示すべき情報や実現の手順・ポイントを解説』、『人的資本の情報開示とは?取り組み方や実現に向けたポイントを解説』)

エンゲージメントサーベイを実施する目的

エンゲージメントサーベイを実施する主な目的は下記です。

●企業の組織課題を把握する
●従業員が企業に期待していることを把握する
●人事施策の検討や見直しに活用する

それぞれについて見ていきましょう。

企業の組織課題を把握する

エンゲージメントサーベイは、企業の組織課題を把握するために行います。ビジョンの浸透度合いや上司と部下、従業員同士の関係性などを数値やグラフで可視化することで、本来は見えづらい組織課題の早期発見につながります。

例えば、売上や利益率などの指標では組織の状態が良好に見えていても、実際は「中堅・若手社員の愛社精神が低い」ということが明らかになるケースもあるでしょう。

なお、エンゲージメントサーベイで適切にデータを収集するには、従業員に対して十分な説明を行い、回答しやすい環境を整えることが重要です。従業員の率直な意見を集められるよう、場合によっては匿名での調査を実施しても良いでしょう。

従業員が企業に期待していることを把握する

従業員が企業に求めていることを把握することも、エンゲージメントサーベイの目的の一つです。定期的に実施することで、数値の変化を確認できます。

従業員のモチベーションや企業に対する印象などの推移を注意深く見守ることで、従業員が組織に抱いている期待と現状のギャップに気付きやすくなるでしょう。

モチベーションの低下や職場での人間関係の悪化などの兆しに対して、早い段階で対策を打つこともできます。

なお、「成長実感を得られているか」といった自己成長に関する問いへのモチベーションが低下している場合、離職につながる恐れがあるため、注意が必要です。

人事施策の検討や見直しに活用する

人事施策の検討・見直しに活用することも、エンゲージメントサーベイの目的です。

例えば、職場でのコミュニケーションに関して課題がある場合、「1on1ミーティングの実施」「社内イベントの開催」などの人事施策を講じることができます。

また、従業員のワーク・ライフ・バランスに関して課題があれば、「在宅勤務制度やフレックスタイム制度の導入」「有給休暇の取得推進」などを検討すると良いでしょう。

人事施策の見直しによって新設された制度などを転職希望者にアピールすることで、人材が集まりやすくなると期待できます。求人への応募者が増えることにより、自社の理念に共感し、熱意を持った人材を採用できる可能性も高まるでしょう。

人事施策の見直しでは、職場のコミュニケーション改善や働き方の整備など、サーベイ結果から見えた課題に応じて具体的な施策を検討することが重要です。1on1ミーティングの進め方や、ワークライフバランスを高める取り組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

(参考:『1on1ミーティングとは?目的や効果、導入する方法と進め方を解説』、『ワークライフバランスの取り組みとは?基本的な捉え方とポイントを解説』)

エンゲージメントサーベイで把握できる組織課題

では、エンゲージメントサーベイを実施することで、具体的にどのような組織課題が浮き彫りになるのでしょうか。ここでは、取り組みを通して把握できる課題を紹介します。

【エンゲージメントサーベイで把握できる組織課題】
●部署や役職ごとの課題傾向
●離職リスクやモチベーション低下の兆候
●マネジメント・評価・職場環境の課題
●施策後の変化から見える新たな課題

部署や役職ごとの課題傾向

エンゲージメントサーベイを実施することで、部署や役職ごとの課題を把握できます。具体的には「営業部の従業員が労働条件に不満を持っている」「中間管理職の業務に対する意欲が低下している」といった課題が明確になり、適切な対策を打てるようになります。

離職リスクやモチベーション低下の兆候

エンゲージメントサーベイの回答結果を分析することで、離職を考えている従業員や業務に対するモチベーションが低い従業員を早期に発見できる可能性があります。

また、従業員が抱える具体的な不満が明らかになった場合、企業側はそれを基にした適切なフォローを行えるようになります。

マネジメント・評価・職場環境の課題

マネジメント体制や評価制度、職場環境に関する課題も、エンゲージメントサーベイによって把握できます。

例えば、従業員の上司に対する評価が低い場合は、コミュニケーションの頻度や職場環境などに問題がある可能性が考えられます。

施策後の変化から見える新たな課題

エンゲージメントサーベイは、施策を実行したあとの環境の変化について、従業員がどのように感じているのかを調査する際にも活用されています。

施策に対する不満の声を集計・分析することで新たな課題が浮き彫りになれば、改善施策を円滑に行えるようになるでしょう。

エンゲージメントサーベイの質問項目と質問例

続いて、エンゲージメントサーベイの主な質問項目と、質問の具体例を紹介します。

【本項で紹介する質問例】
●会社への信頼・理念浸透に関する質問例
●上司・チームとの関係性に関する質問例
●仕事のやりがい・貢献実感に関する質問例
●評価・成長機会に関する質問例
●労働条件・待遇に関する質問例

会社への信頼・理念浸透に関する質問例

【会社への信頼・理念浸透に関する質問例】
●今の会社で、今後も長くはたらき続けたいと考えていますか?
●この会社ではたらくことに誇りを持っていますか?
●この会社ではたらき続けることに、不安はありませんか?
●経営陣は適切な意思決定を行っていると思いますか?
●経営陣からの情報開示は、適切に行われていると感じますか?
●会社が掲げている理念やビジョンに共感していますか?

上記の質問では、従業員の企業に対する信頼度や、組織の目標に対する共感度を把握できます。従業員の帰属意識や貢献意欲などを可視化したい場合は、こうした質問を設けると良いでしょう。

上司・チームとの関係性に関する質問例

【上司・チームとの関係性に関する質問例】
●上司に対して、自身の意見を自由に伝えられていますか?
●上司や同僚との関係に満足していますか?
●チーム内のコミュニケーションは活発に行われていると思いますか?
●チーム内のコミュニケーションを促すような工夫がされていると思いますか?
●チームで協力するプロジェクトへの参加機会がありますか?
●困ったときに気軽に相談できる環境は整っていますか?

これらの質問は、上司のマネジメント能力や職場内の人間関係に関する問題を早期発見することに役立ちます。こうした問題を解決することで、チーム内のコミュニケーションが活発になり、プロジェクトを円滑に進められるようになる可能性があります。

上司やチームとの関係性を改善するうえで重要な心理的安全性について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『心理的安全性とは|組織を活性化させるポイントを解説』)

仕事のやりがい・貢献実感に関する質問例

【仕事のやりがい・貢献実感に関する質問例】
●日々の業務にやりがいを感じていますか?
●現在の業務では、どのようなときにやりがいを感じますか?
●担当業務で成果を上げることに対して、誇りを感じますか?
●自身のはたらきが、会社の成長につながっていると感じますか?
●仕事に対する意欲を高めるためのサポート体制が整っていると思いますか?
●この会社を友人や知人に薦めたいと思いますか?

仕事に対するやりがいや組織への貢献を実感している従業員は、主体的に業務改善や提案を行うなど、高いモチベーションを持って業務に当たる傾向にあります。上記のような質問を通して従業員の情熱を推し量り、結果に応じて適切なフォローを行いましょう。

評価・成長機会に関する質問例

【評価・成長機会に関する質問例】
●上司や同僚に、自身の仕事ぶりが認められていると感じますか?
●今期の業務で、「成長できた」と感じたことはありましたか?
●仕事の成果に対して、正当な報酬を得ていると感じますか?
●昇進や昇給の基準についての透明性に満足していますか?
●上司は自身のキャリア形成をサポートしてくれていると感じますか?
●日々の業務を通じて、新たなスキルや知識が身に付いている実感はありますか?

こうした質問は、人事評価やキャリア形成についての満足度を調査する際に活用されます。人事戦略の改善や従業員のモチベーションの向上につなげられるため、非常に重要な質問だといえます。

エンゲージメント向上につながる評価制度の設計について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『人事評価制度とは?導入の5つのステップと注意点を解説』)

労働条件・待遇に関する質問例

【労働条件・待遇に関する質問例】
●労働時間を柔軟に調整できる環境が整っていますか?
●現状の福利厚生に満足していますか?
●新たに導入してほしい福利厚生はありますか?
●労働条件の透明性について、不満はありませんか?
●現在の労働環境は快適だと思いますか?
●会社の改善活動に向けた取り組みは適切だと思いますか?

上記は、労働条件や待遇に対する満足度を把握できる質問です。満足度が低いと従業員のモチベーションも下がってしまうため、こうした質問への回答を分析し、改善施策を行うことは非常に重要です。

エンゲージメントサーベイでは、目的に合った質問項目を設計することで、組織課題や従業員の期待を把握しやすくなります。質問項目の検討や社内共有に使えるサーベイシートのテンプレートは、以下から資料ダウンロードできます。

エンゲージメントサーベイの手法

エンゲージメントサーベイの具体的な手法は3つあります。

● Q12(キュートゥエルブ)
●ワーク・エンゲイジメント尺度
●一般性セルフ・エフィカシー(自己効力感)尺度

それぞれについて、特徴や具体的な質問例を見ていきましょう。

Q12(キュートゥエルブ)

Q12とは、アメリカのギャラップ社が開発したエンゲージメント測定指標です。12問の質問に回答することで、「はたらきがい」の度合いを把握する際の参考にできます。

「はたらきがい」とは、前向きな気持ちで業務に向き合い、自身が役立っていることを実感できている状態を指します。下記の12問について、1~5点の5段階で回答します。

【Q12によるエンゲージメント調査項目】
1.私は仕事上で、自身が何を期待されているかがわかっている
2.私は自身がきちんと仕事をするために必要なリソースや設備を持っている
3.私は仕事上で、自身の最も得意なことをする機会が毎日ある
4.この1週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした
5.上司あるいは職場の誰かが、自身を一人の人間として気遣ってくれていると感じる
6.仕事上で、自身の成長をあと押ししてくれる人がいる
7.仕事上で、自身の意見が取り入れられているように思われる
8.会社が掲げているミッションや目的は、自身の仕事が重要なものであると感じさせてくれる
9.私の同僚は、質の高い仕事をするよう真剣に取り組んでいる
10.仕事上で最高の友人と呼べる人がいる
11.この半年の間に、職場の誰かが私の仕事の成長度合いについて話してくれたことがある
12.私はこの1年の間に、仕事上で学び、成長する機会を持った

ワーク・エンゲイジメント尺度

ワーク・エンゲイジメント尺度とは、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ(Schaufeli)教授らが提唱した概念です。

ワーク・エンゲイジメントが高いとは、「仕事から活力を得ていきいきとしている(活力)」「仕事に誇りとやりがいを感じている(熱意)」「仕事に熱心に取り組んでいる(没頭)」の3つがそろった状態として定義されています。

「活力」「熱意」「没頭」に関する17項目の質問を用いて、「0=まったくない」から「6=いつも感じる」の中から回答することで測定します。

【ワーク・エンゲイジメント尺度の質問項目の例】
活力:仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる
熱意:自身の仕事に誇りを感じる
没頭:仕事をしていると、つい夢中になってしまう など

一般性セルフ・エフィカシー(自己効力感)尺度

一般性セルフ・エフィカシー(自己効力感)尺度とは、何らかの行動をきちんと遂行できるかどうかという予期について、一般的な傾向を測定するために開発された質問のことです。セルフ・エフィカシーという概念は、アメリカ・スタンフォード大学教授のバンデューラ(Bandura)博士によって提唱されました。

一般性セルフ・エフィカシー(自己効力感)尺度のスコアが高いほど「自己効力感が高く、活動的」であり、スコアが低いほど「自己効力感が低く、パフォーマンスが低下」している可能性があります。

臨床のみならず、教育や産業、予防医学などの幅広いシーンで認識され、利用されるようになってきている質問です。一般性セルフ・エフィカシーが高い人は、ストレスフルな状況に遭遇しても身体的・精神的な健康を損なわず、適切な対処行動や問題解決行動を取れると考えられています。(参照:日本地域看護学会『自己効力感』)

具体的な質問項目について知りたい人事・採用担当者は、調査実施機関のホームページを確認してください。

エンゲージメントサーベイのやり方と手順

エンゲージメントサーベイを円滑に行うには、取り組みの流れをあらかじめ把握しておくことが重要です。

ここでは、エンゲージメントサーベイの具体的な進め方と、各ステップで意識したいポイントをお伝えします。

【エンゲージメントサーベイの手順】
1.実施目的を明確にする
2.実施方法・頻度・対象者を決める
3.サーベイの質問項目を設計する
4.実施目的を社内に共有してサーベイを実施する
5.結果を分析し改善施策に落とし込む
6.改善施策を実施する
7.フィードバックとサーベイの再測定でPDCAを回す

1.実施目的を明確にする

まずは、エンゲージメントサーベイの実施目的を明確にします。目的があいまいなまま進めると、有効なデータを集められず、エンゲージメントサーベイが失敗に終わってしまうリスクが高まります。

「離職率の増加」「生産性の低下」など、具体的な組織課題を明らかにした上で、経営陣との合意形成を図りながら実施目的を設定しましょう。

2.実施方法・頻度・対象者を決める

エンゲージメントサーベイの準備段階では、実施目的だけでなく、実施方法や頻度、対象者なども決めておく必要があります。自社の状況を基に「パルスサーベイかセンサスか」「対象者を誰にするか」などを適切に定めることで、有効な意見を集められる可能性が高まります。

3.サーベイの質問項目を設計する

続いて、質問項目を設計します。その際は、実施目的や従業員の負担などを考慮することが大切です。組織課題を把握できる項目を設計することに加えて、従業員の負担にならない程度の質問数に絞りましょう。

4.実施目的を社内に共有してサーベイを実施する

質問項目の設計を終えたあとは、実施目的を社内に周知し、サーベイを実施します。実施目的をしっかりと共有しておくことで、従業員が当事者意識を持ってエンゲージメントサーベイに協力してくれる可能性が高まります。

なお実施前には、目的だけでなく、回答の匿名性やプライバシーへの配慮などについても従業員に伝えておくことが重要です。「この取り組みでは個人を特定しない」と事前に伝えることで、回答に対する心理的なハードルが下がり、率直な意見を集めやすくなるでしょう。

5.結果を分析し改善施策に落とし込む

エンゲージメントサーベイは、実施したら終わりというわけではありません。回答結果を分析し、改善施策につなげることにこそ意味があります。

改善施策を立案する際は、組織課題の根本的な原因を見極めることが不可欠です。集まったデータを多面的に分析し、従業員エンゲージメントが下がっている原因を的確に捉えた上で対策を練る必要があります。

6.改善施策を実施する

分析結果を基に改善施策を定めたら、実行に移します。改善施策を行ったからといって、課題をすぐに解決できるとは限らないため、進捗状況は継続的に確認しましょう。

7.フィードバックとサーベイの再測定でPDCAを回す

エンゲージメントサーベイによる組織改善を進めるには、PDCAを回しながら取り組みを継続することが欠かせません。サーベイと改善施策を繰り返すことで、組織力が徐々に高まっていくことが期待できます。

エンゲージメントサーベイを定期的に行う場合は、毎回、従業員へのフィードバックを必ず実施しましょう。従業員が「サーベイに協力したけれど、何も変化がない」と感じれば、協力を得られなくなってしまう恐れがあるためです。

従業員が取り組みに積極的に参加できる環境を整えつつ、PDCAを回して、理想の組織を目指してください。

エンゲージメントサーベイの実施で期待できる効果

次に、エンゲージメントサーベイを実施することで得られる効果を紹介します。

【エンゲージメントサーベイの実施で期待できる効果】
●従業員エンゲージメントの向上または維持が期待できる
●生産性の向上につながる
●離職を防ぎ定着率を向上させる
●採用ブランディングの強化につながる
●職場環境の改善やカルチャーの改革につながる

従業員エンゲージメントの向上または維持が期待できる

エンゲージメントサーベイを実施することで、従業員エンゲージメントの向上や維持が期待できます。定期的なエンゲージメントサーベイにより従業員の回答の変化を可視化すれば、低下傾向が見られた際にすぐに適切な対応ができるでしょう。

特に近年は、はたらき方の多様化やテレワークの普及によって、対面でのコミュニケーションが減っています。管理する側にとっては従業員一人ひとりの特性や業務状況が見えづらく、従業員にとってはコミュニケーション不足によって不安や孤独感を抱えやすい状況といえるでしょう。

こうした状況を解消するための第一歩として、エンゲージメントサーベイは有効な手段の一つです。

生産性の向上につながる

エンゲージメントサーベイのデータを人事施策に活用することで、従業員エンゲージメントの向上が期待できます。エンゲージメントが高まると、従業員が意欲的にはたらけるようになると考えられています。

また、「はたらきがい」を感じている従業員は自主性が高く、自身の役割以外の業務も積極的に行う傾向にあります。従業員の仕事への意欲が高まったり、同僚のサポートに回る従業員が増えたりすることにより、組織全体の生産性の向上が期待できるでしょう。

離職を防ぎ定着率を向上させる

離職の予兆に気付かず、ある日突然従業員が退職してしまったという苦い経験を持つ人事・採用担当者も少なくないでしょう。

エンゲージメントサーベイを実施すれば従業員のモチベーションや職場環境への不満が数値化されるため、離職する可能性がある従業員を早期に把握できる可能性があります。サーベイの結果を基に対話の機会を設けたり、職場環境を改善したりすることで、離職を防げる可能性が高まるのです。

また、エンゲージメントが高まると、一緒にはたらく同僚への愛着も育まれるため、意欲的に仕事に取り組めるようになると考えられます。その結果、定着率の向上も期待できます。

エンゲージメント低下による離職リスクへの対策について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『離職防止の効果的な13の対策|離職率を下げた企業の成功事例も解説』)

採用ブランディングの強化につながる

エンゲージメントサーベイをきっかけに従業員エンゲージメントや生産性、定着率が向上すれば、採用ブランディングにも良い影響を及ぼします。

また、従業員エンゲージメントが高まると、従業員に友人や知人を紹介してもらう採用手法、つまり「リファラル採用」が活発化する傾向にあります。

このように、エンゲージメントサーベイには採用力の強化という面でも複数のメリットがあるのです。

採用ブランディングやリファラル採用については、以下の記事でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

(参考:『採用ブランディングとは?目的や方法、ポイントと成功事例を紹介』、『リファラル採用とは?導入のメリット・デメリットやインセンティブの金額、注意点を解説』)

職場環境の改善やカルチャーの改革につながる

職場環境の改善や企業風土の改革につながることも、エンゲージメントサーベイの実施によって期待できる効果の一つです。

エンゲージメントサーベイでは、職場の雰囲気や従業員間のコミュニケーションに関する課題を明確にできます。こうした課題の改善活動を継続的に行うことで、従業員が快適にはたらける職場環境や企業風土が徐々に醸成されていくでしょう。

エンゲージメントサーベイが「意味がない」「無駄」といわれる理由

エンゲージメントサーベイは、「実施する意味がない」「実施しても無駄だ」といわれることがあります。本項では、そのようにいわれる3つの理由を紹介します。

【エンゲージメントサーベイが「意味がない」「無駄」といわれる理由】
●実施する目的が社内に浸透していない
●結果を改善に活かせていない
●回答しにくい設計で正確なデータを取得できていない

実施する目的が社内に浸透していない

実施する目的を従業員が把握できていない場合は、エンゲージメントサーベイを実施しても十分な効果が得られないと考えられます。エンゲージメントサーベイを行う際は、組織課題の把握・改善につながる意見を多く集められるよう、従業員の協力を得ることが重要です。

しかし、取り組みの目的が不透明だと従業員は当事者意識を持てないため、有効な意見を集めることが困難となります。こうした事態を回避するためにも、取り組みを始める前にはサーベイの目的を全従業員に周知しましょう。

結果を改善に活かせていない

エンゲージメントサーベイが無駄だと感じる原因としては、回答結果を改善施策に活かせていないことも考えられます。

エンゲージメントサーベイを行う上で重要なポイントは、結果を基に具体的な改善施策を実行することです。サーベイによって課題が明らかになったにもかかわらず、「誰が」「いつまでに」「何を行うか」というプランを立てられなければ、組織改善は進められません。

取り組みの効果を最大化するには、回答結果を分析し、具体的なアクションプランの策定につなげることが大切です。

回答しにくい設計で正確なデータを取得できていない

質問が回答しにくい内容になっており、正確なデータが集まらないことも、「エンゲージメントサーベイは意味がない」と感じる要因として挙げられます。

例えば、個人情報の取り扱いに関する説明を事前に行わなければ、従業員は「回答の内容次第で不利益を被るのではないか」と不安になってしまうかもしれません。その場合、組織の現状に対する率直な意見を集めることは難しいでしょう。

不安要素を取り除いて有効なデータを集められるよう、エンゲージメントサーベイを行う前には、回答の匿名性が守られていることを従業員にしっかりと伝えましょう。

エンゲージメントサーベイを実施する際の注意点

続いて、エンゲージメントサーベイを実施する際に意識したい注意点をお伝えします。

【エンゲージメントサーベイを実施する際の注意点】
●質問数を増やし過ぎず回答負荷を下げる
●繁忙期を避け適切なタイミングで実施する
●自由記述欄の活用と調査後の守秘義務を徹底する

質問数を増やし過ぎず回答負荷を下げる

質問数を増やし過ぎると、従業員の回答負荷が上がってしまう点には注意してください。質問数を増やすことで得られる情報量は増える一方で、従業員の負担が大きくなり、日々の業務に支障を来す恐れがあります。

パルスサーベイであれば5問程度、センサスであれば30問程度といった具合に、目的や頻度に応じて適切な質問数を設定しましょう。

繁忙期を避け適切なタイミングで実施する

エンゲージメントサーベイは、繁忙期を避けて実施することをお勧めします。日々の業務が立て込んでいるタイミングで行うと、従業員の負担が増え、かえって従業員エンゲージメントを下げることにもつながりかねません。

自由記述欄の活用と調査後の守秘義務を徹底する

エンゲージメントサーベイでは、自由記述欄を設けることも少なくありません。あらかじめ用意した質問への回答だけでは、組織の状況を正確に把握できない可能性があるためです。

自由記述欄を設けるのであれば、回答の匿名性について従業員にあらかじめ周知しましょう。こうした配慮を行えば、「筆跡や言い回しから回答者が特定されて、人事評価に悪影響を及ぼすのではないか」という従業員の不安をある程度解消できます。

また、調査後の守秘義務を徹底することも重要です。回答内容の閲覧権限を必要最小限の担当者に限定し、個人が特定される恐れのある情報を含んだまま共有しないようにしましょう。

自由記述欄の内容を社内で取り扱う際は、集計結果として扱う、個人名や所属が推測される記述を伏せるなどの配慮が欠かせません。調査後の情報管理が不十分だと、従業員の不信感を招き、次回以降のサーベイで率直な回答を得にくくなる恐れがあります。

エンゲージメントサーベイに関するよくある質問

最後に、エンゲージメントサーベイに関する疑問にお答えします。

【エンゲージメントサーベイに関するよくある質問】
●エンゲージメントサーベイはどの程度の頻度で実施すれば良いですか
●パルスサーベイとセンサスはどう使い分けますか
●エンゲージメントサーベイの質問数はどの程度が適切ですか

Q1:エンゲージメントサーベイはどの程度の頻度で実施すれば良いですか

エンゲージメントサーベイは、数カ月に1回、または年に1回程度のペースで行うことが一般的です。ただし、組織の状況や実施目的によって適切な頻度は異なります。

Q2:パルスサーベイとセンサスはどう使い分けますか

パルスサーベイとセンサスには、以下のような違いがあります。

【パルスサーベイとセンサスの違い】

パルスサーベイ センサス
目的 施策の効果測定、組織課題の早期発見 従業員エンゲージメントの可視化
実施頻度 月1回~隔週 年1~2回
向いている場面 改善活動の効果測定、現場の状況確認(短期間) 組織全体の現状把握、離職抑止

パルスサーベイは新制度の実施後に、センサスは年度初めや上期・下期の切り替えのタイミングなどで使い分けると良いでしょう。

Q3:エンゲージメントサーベイの質問数はどの程度が適切ですか

エンゲージメントサーベイの適切な質問数は、目的や頻度によって異なります。目安としては、月次や隔週などの高頻度で実施する場合は5~10問程度、年に1~2回程度の低頻度で実施する場合は30~50問程度に設定されることが一般的です。

まとめ

エンゲージメントサーベイは、組織課題や従業員が企業に求めている期待などを把握するための取り組みです。

結果を基に人事施策の検討や見直しを行うことで、「従業員エンゲージメントや生産性の向上」「定着率の向上」「採用ブランディングの強化」といった効果が期待できます。

エンゲージメントサーベイを成功させるには、従業員へのフィードバックをしっかりと行いつつ、PDCAを回すことが重要です。本記事の内容を参考にして、取り組みの効果を最大化してください。

エンゲージメントサーベイを実施する際は、質問項目を整理し、自社の課題に合わせて活用できる形にしておくことが大切です。従業員の体験、エンゲージメント、生産性向上のヒントを見出せるサーベイシートは、以下から資料ダウンロードできます。

(制作協力/株式会社eclore、編集/doda人事ジャーナル編集部)

従業員エンゲージメントサーベイシート ~従業員のパフォーマンス向上のヒントがここに~

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