人材定着に役立つパーソルグループHRニュース・調査結果サマリ~若手のメンタルヘルス、OJT、1on1他~【2025年6月号】

d’s JOURNAL編集部
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「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」より、特に20代のメンタルヘルス不調経験者の退職・休職が多い
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「OJTに関する定量調査」より、OJTにおいて、教える側は「学び合い」のマインドセットが重要な時代
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「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」より、部下の成長支援には、1on1導入時の上司側への研修だけでなく、部下にも学びの機会を提供することが重要
退職代行が話題になる中、採用のみならず人材の定着に悩む企業も多い状況。「doda」が2011年から続ける調査によると、新社会人の入社直後のdoda会員登録数は2011年比で30倍に増えています。配属先での仕事が望むものではなかったり、入社・配属という大きな環境変化が短期間に起こることでメンタルヘルス不調を感じる人が増えたりと、社員の定着に悩む人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」「OJTに関する定量調査」「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」「doda転職求人倍率」の4つをご紹介。人事・採用担当者が新年度以降の人材定着に活かすための情報をお届けします。
若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査/20代のメンタルヘルス不調による退職や休職の割合が高い
株式会社パーソル総合研究所は、若手従業員のメンタルヘルス不調(※)についての定量調査を行いました。調査内容では、近年増加が指摘されている若手従業員のメンタルヘルス不調の実態と要因、解決策を提示しています。
※「メンタルヘルス不調」について:メンタルヘルス不調のレベルは、(特に断りがない場合)治療なしでは日常生活が困難な状態を指す
・過去3年以内に、メンタルヘルス不調を経験した正規雇用者は14.6%。性年代別に見ると、20代男性の18.5%、20代女性の23.3%が経験。若年層ほどメンタルヘルス不調を経験している割合が高い
・過去3年以内のメンタルヘルス不調経験者(当時正規雇用者)のうち、勤務先を退職したのは25.3%。20代は35.9%と他の年代と比べて多く、退職しやすい。また、20代は休職率も他の年代に比べて高い
・メンタルヘルス不調による退職者(当時正規雇用者)について、組織が把握するメンタルヘルス不調による退職者数よりも、実際には約2倍の退職者が存在する
・メンタルヘルス不調者の約60%が、職場へ相談することに抵抗感を持つ
・メンタルヘルス不調になった部下の対応をした管理職の44.3~47.0%が、業務上や精神面の負担が大きかったと回答
・メンタルヘルス不調者が不調を職場に相談した後、76.8%は、「相談に乗る」「業務負担の軽減」「医療受診の勧奨」といった問題解決を支援する対応を受けている
出典:パーソル総合研究所「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」(2024/12/24)
OJTに関する定量調査/今の時代、教える側は「学び合う」マインドセットが重要
株式会社パーソル総合研究所は、OJTに関する定量調査を行いました。調査内容では、企業におけるOJTの実態と課題を把握、さらに効果的なOJTの方法と、教える側・新人側双方に求められる行動・意識を明らかにしています。
・OJTの課題で多いのは、教える側・新人側双方の「人によって教える/教わる内容が異なる」こと
・OJTの教え方で、新人のパフォーマンス発揮へとつながっているのは、「勇気付け」「位置付け」「跡付け」と、社内でさまざまな人と出会わせること
・パフォーマンスを発揮する新人のOJTの教わり方は、「訊く(きく)」「先を読む」「会う」「まねる」「記す」の5つの主体的な行動を実践すること
・OJTにおいて、教える側の学びの実感は「業務を客観的に見ることができた」「業務の改善ポイントに気が付いた」「自分のスキルや知識を棚卸しできた」など
・OJTで教える側のマインドセットは、「学び合い」「馴染ませ」「矯正」の3タイプに分類できる。中でも「学び合い」タイプが他の2タイプと比べて、OJTを通じた自らの変化を圧倒的に感じている
出典:パーソル総合研究所「OJTに関する定量調査」(2025/1/14)
部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査/1on1に関する研修受講や自己研鑽をする部下は成長度が高い
株式会社パーソル総合研究所は、部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査を行いました。この調査は、1on1ミーティングの効果や課題を明らかにする内容です。
※面談の中に以下の要素が含まれているものを、成長支援を目的とする1on1と見なす
・上司が、部下の仕事のモチベーションを上げようと励ます
・上司が、部下の悩みを丁寧に聴き、共感的に理解しようとする
・上司は、部下が自分で考えを深めることができるような質問や助言を行う
・上司は、部下が経験を基に自分なりのノウハウを見つけられるよう発問や助言を行う
・1on1を直近半年で経験した部下の割合は55.7%。以前は1on1を実施していたが直近半年では経験していない部下が26.9%、一度も1on1を経験したことのない部下は17.5%
・1on1に関する困りごとは、上司と部下ともに「学ぶ仕組みがない」が上位
・1on1に関する研修受講率は部下が上司より低い。傾聴スキル研修を受講した部下は、研修を受講していない部下よりも成長度が高く、自己研鑽を行った部下は、行っていない部下よりも成長度が高い
・上司のマネジメント行動と部下の成長について、上司が1on1のときに率直さを出したり、日ごろから部下に対して配慮したり助言したりすることが重要
出典:パーソル総合研究所「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」(2025/2/27)
doda転職求人倍率/2025年3月は2.51倍(前月差+0.05ポイント) ~求人数は、2025年度の人材拡充に向けて「コンサルティング」で特に増加~
パーソルキャリア株式会社が運営する「doda」(デューダ)は、2025年3月の転職求人倍率をまとめた「doda転職求人倍率」を発表しました。
・2025年3月の転職求人倍率は、前月から+0.05ポイントの2.51倍となった
・求人数は前月比101.3%、前年同月比101.8%となった
・転職希望者数は前月比99.3%、前年同月比112.6%との結果に
・求人数の業種別では前月比で12業種(「その他」は除外)のうち10業種で増加。最も増加率が大きかったのは「コンサルティング」(前月比124.9%)
・求人数の職種別では前月比で11職種(「その他」は除外)のうち7職種で増加。最も増加率が大きかったのは「エンジニア(IT・通信)」(前月比104.4%)
・4月以降の求人数は、2025年度に採用を計画しているポジションの求人が継続され、企業の採用意欲が高いことが見込まれる
・4月以降の転職希望者数は、部署異動などの環境の変化により、転職を検討する人がいること、また新社会人が4月の段階で転職サービスに登録する動きが見られるため増加の見込み
出典:doda転職求人倍率 2025年3月は2.51倍(前月差+0.05ポイント)~求人数は、2025年度の人材拡充に向けて「コンサルティング」で特に増加~(2025/4/17)
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企画・編集/海野奈央(d’s JOURNAL編集部)、文・編集/野村英之(プレスラボ)
若手社員受け入れ時に知っておくべき!若手の早期離職防止策
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