面接を受けて困ったことや知りたかったことは何?【20代・30代の本音を調査】

d's JOURNAL編集部

採用活動において面接は重要な場。人事・採用担当者や面接官が事前の準備をしているように、転職希望者・応募者も「質問にどう答えるか」「どのようなことを聞いてみようか」などあらかじめ考えた上で、面接に臨んでいます。しかし、そのような準備をしていても、面接では「疑問点について聞きたいけれど、聞ける雰囲気ではない」「返答しにくい質問をされる」といったことに困っている人もいるようです。面接辞退を防ぐためにも、転職希望者が面接の際に「何に困っているのか」「本当に知りたいのは何か」を知っておくことが重要でしょう。

そこでd’s JOURNAL編集部では面接を受けたことのある20代・30代の会社員298名にアンケートを実施。面接で「困ったこと」や「聞きたくても聞けなかったこと」、面接を通じて「知りたかったこと」など、面接での困りごとに関する本音を調査しました。

面接を受ける中で、困ったことは?

応募者にとって、面接は「自分をアピールする場」であり、「企業や仕事について知る場」でもあります。希望や不安を感じながら、面接を訪れる転職希望者も多いでしょう。事前にしっかり準備をして向かったものの、面接の場で困ったことに直面したことがある人もいるようです。

困ったことの上位は「聞きたいのに聞けない」「答えにくい質問」「想定外の面接」の3つ

今回のアンケートではまず、「面接中に困ったこと」について質問をしました。複数の選択肢から選んでもらったところ、「どこまで質問して良いのか、分からない」「答えられない質問をされる」「面接官が想定より多い」といった選択肢に回答が集中しました。

面接を受ける中で、困ったことは?

回答が多かった選択肢を整理したところ、「①聞きたいことを聞けない(どこまで質問したら良いか分からない)」「②想定外の質問・返答に困る質問(プライベートなことなど)をされた」「③想定したものとは違う面接(面接官の人数や面接内容など)」の3つに分類できることが分かります。どのようなことに困ったのか、具体的に見ていきましょう。

面接で質問したくてもできなかった経験は?

面接での困りごと第1位は、「どこまで質問して良いのか、分からない」でした。実際にどのくらいの人が「聞きたいことがあるのに、全部は聞くことができなかった」経験があるのか、本当は聞きたかった質問内容と併せて見ていきましょう。

約半数が「本当は聞きたくても、聞けなかった(聞きづらかった)」経験あり

「面接で、本当は聞きたくても、聞けなかったこと(聞きづらかった)」があったかを聞いてみたところ、約半数にあたる55.7%が「聞けなかったことがある」と回答しました。

本当は聞きたくても、聞けなかった

また男女年代別に見ると、「聞きたいことを聞けなかったことがある」と回答した人が最も多かったのは30代女性で、65.6%でした。他の年代・性別よりも10~15%ほど高いことが分かります。

男女年代別

具体的にどのようなことを聞くことができなかったのか、理由と共に紹介します。

「給与」について詳しく知りたかったが、聞きづらかった人が多数

<「給与」について聞くことができなかった人の声(一部抜粋)>
●年収。聞くとマイナス評価になるかと思ったので【建設・プラント・不動産/企画・管理/35歳男性】 
●給料の具体的な金額を知りたかったが、採用まで聞くべきじゃないと思っていたため【医薬品・医療機器・ライフサイエンス・医療系サービス/翻訳/27歳女性】
●給与やボーナスなど。金銭面については、気になるけれどやはり聞きにくい【旅行・宿泊・レジャー/販売・サービス職/28歳男性】

選考に与える悪影響やマナー面を考慮し、「給与」に関することを面接の場で質問できなかったという意見が目立ちました。以前、d’s JOURNAL編集部が行った調査によると、「給与」は転職希望者が求人票を見るときに最重視している項目のため、「できるだけ早い段階で知っておきたいこと」であるものの、「聞きづらい」という現状があることが分かります。
(参考:『転職希望者は、求人サイトのどこを見ている?【20代・30代が重要視する項目を調査】』)

「福利厚生」や「休日・休暇」は、印象や意欲を気にして聞けなかった人が多い

<「福利厚生」や「休日・休暇」について聞くことができなかった人の声(一部抜粋)>
●福利厚生や有給について聞くと、「意欲が足りない」と受け取られることもあると思ったから【IT・通信/事務・アシスタント/27歳女性】 
●福利厚生やワークライフバランスについて。 重要視している項目だけれど、掘り下げた質問をすることで、自分の印象が悪くなるリスクを考えると聞けなかった【小売/企画・管理/37歳女性】 
●子どもがまだ小さいこともあり、休みの取りやすさについて聞きたかった。ただ面接でそれを聞くと、「これから働くのに休みとお金がほしい人」と思われないか不安で聞けなかった【メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)/クリエイター・クリエイティブ職/38歳女性】 

「給与」についてと同様、「福利厚生」や「休日・休暇」についても、選考に与える悪影響を考慮して質問できなかった人が多いことが分かります。この他、「有給休暇や福利厚生などについて聞くのは、タブーとされていると聞いたから」といった意見もありました。

「残業」や「前任者の退職理由」「離職率」など、企業の「本当の姿」について聞きたかった人も

<「残業」や「福利厚生」について聞くことができなかった人の声(一部抜粋)>
●質問したら「やる気がないと思われる」と思い、残業時間を聞かなかった【建設・プラント・不動産/営業職/28歳女性】
●前任者の退職理由や離職率の高さの理由など。面接官としては説明しにくいだろうし、本音を聞き出すのは難しい内容だと思ったため【IT・通信/企画・管理/36歳女性】 

「残業」「前任者の退職理由」「離職率」などについては、企業として本音を言いづらいこともあるでしょう。そうしたことや選考に与える悪影響を考慮し、マイナスな印象の残る質問ができなかった人が多いことが伺えます。

この他、職場環境やチームメンバーの性格など「当たり障りない回答しか期待できなさそうなこと」や、キャリアパスといった「面接官が詳しく知っていないかもしれないこと」について、聞きたかったけれど聞けなかったという声も聞かれました。

こうしたことに疑問を感じたまま入社すると、早期離職につながる可能性があります。面接の際には、聞きにくいことも質問できるような雰囲気作りを意識すると良いでしょう。

面接で返答に困った質問をされた経験は?

面接での困りごとで次に多いのは、「面接時に受けた質問」に関することです。「面接の時に困ったこと」の回答では「答えられない質問をされる」が2番目に、「仕事とは関係ないプライベートなことを聞かれる」が5番目に多い結果となっています。実際にどのくらいの人が「想定外で返答に困る質問をされた」経験があるのか、具体的な質問内容と一緒に確認していきましょう。

約半数が、「想定外・返答に困る質問をされた」経験あり

「面接で、想定外の質問、返答に困る質問をされた」ことがあったかを聞いてみたところ、52.3%が「ある」と回答しました。転職希望者の約半数が、「想定外で返答に困る質問をされた」経験があることが分かります。

約半数が、「想定外・返答に困る質問をされた」経験あり<

また「ある」と回答した人を男女年代別に見ると、30代女性は59.0%、20代男性は57.1%と6割弱が返答に困った経験をしていることが分かりました。一方、20代女性と30代男性はそれぞれ50%にとどまっています。

男女年代別②

具体的にどのような質問に対して「困った」と感じたのでしょうか。

「プライベートに関する質問」に困ったという人が多い

<「プライベートに関する質問」に困った人の声(一部抜粋)>
●「結婚」「彼氏」「子ども」など、仕事とは関係無いプライベートの質問をされた【コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ/事務・アシスタント/26歳女性】 
●特に結婚したばかりの女性だと、子どもの予定や夫の仕事などについて聞かれがち。聞かれると、良い気持ちはししない【医薬品・医療機器・ライフサイエンス・医療系サービス/翻訳/27歳女性】
●「家族」や「趣味」などのプライベートなことを、採用されるかどうか全く分からない段階でどの程度話せば良いか分からなかった【コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ/専門職/32歳女性】

プライベートに関する質問について、「どう答えれば良いか分からなかった」といった声が、特に女性を中心に多く寄せられました。「できるだけ長く働いてもらえるよう、『結婚』『出産』などの予定を聞きたい」という人事担当者の気持ちも理解はできますが、仕事とは直接関係ないことを面接で聞くのは望ましくないとされています。プライベートに関することは質問しないようにしましょう。
(参考:『【弁護士監修】意図せず法律違反に…。面接で聞いてはいけないこと』)

「残業に関する質問」の返答に困った人も多い

<「残業に関する質問」に困った人の声(一部抜粋)>
●「基本的に深夜まで残業がありますが、大丈夫ですか?」という、残業ありきの質問をされた【理容・美容・エステ/販売・サービス職/29歳女性】 
●「定時で帰ってもらったら困る」「夜10時くらいまでは働いてもらうけれど、大丈夫ですか?」と聞かれて、困った【IT・通信/技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)/29歳男性】 

「残業ありきの質問をされて困った」といった回答も目立ちました。以前、d’s JOURNAL編集部が行った調査によると、退職理由の第2位が「業務過多・労働環境に不満」となっていることから、残業が多くて転職を考えた人が多いことが見て取れます。残業が少ない働き方を希望する人は少なくないため、「残業ありきの質問をする」のではなく、「業務効率化により残業を減らし、残業に関する質問をしなくて良い状態にする」ことが、企業には求められるでしょう。
(参考:『退職を決意した人は、本当の理由を言わない?【退職理由・交渉のホンネ調査2019】』『長時間労働の目安は月平均80時間超の時間外労働。すぐ導入できる対策アイデア9選』『業務効率化を検討したい!企業がすぐに取り組めるアイデア18選【チェックリスト付】』)

「転職理由に関する質問」が答えにくいと感じた人も

<「転職理由に関する質問」に困った人の声(一部抜粋)>
●「何で前職を辞めたのですか」という質問は、どう答えたら良いのか難しいと思った。正直に話した方が良いのか、当たり障りのない理由で良いのか、いつも迷う【IT・通信/技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)/31歳男性】
●転職理由に関する質問に回答したところ、「もっと他にあるんじゃないですか?」と深掘りされた。前の会社を悪く言うように誘導された気がしてしまった【小売/企画・管理/27歳女性】 

転職理由に関する質問については、「どこまで正直に伝えるべきか分からない」「深堀りされると、気分が良くない」といった声が聞かれました。以前、行った調査によると、退職理由は「給与の不満」「業務過多」といったネガティブなものから、「新しい職種に挑戦したい」「別の業界に挑戦したい」といったポジティブなものまで、多岐に渡ります。そうした点を考慮すると、「転職理由について深堀りする」よりも「入社したら、どのように活躍したいか」といった今後の働き方をイメージできるような質問をする方が望ましいでしょう。
(参考:『退職を決意した人は、本当の理由を言わない?【退職理由・交渉のホンネ調査2019】』)

「会社の機密に関する質問」を聞かれたことも…

<「会社の機密に関する質問」の困った人の声(一部抜粋)>
●前職の機密に触れる質問をされても、答えられないので困る【インターネット・広告・メディア/企画・管理/37歳男性】 
●在籍している企業の機密情報に関する事柄について、興味本位で根掘り葉掘り聞こうとされたことが何回もあった。「機密情報なので説明できない」と断っても、「他社のノウハウが聞きたいから」と質問を続ける面接官も多く、悩ましい【IT・通信/企画・管理/36歳女性】

「会社の機密に関する質問をされても、答えられないから困る」といった意見もありましたが、機密情報の漏洩は「コンプライアンス違反」に該当する行為のため、会社の機密に関する質問はさけましょう。
(参考:『【弁護士監修】コンプライアンスの意味と違反事例。企業が取り組むべきことを簡単解説』)

こうした返答に困る質問を何度もすると、転職希望者の志望度が下がる可能性があります。面接の際には、「本当に聞く必要があるか」「コンプライアンス違反につながる可能性はないか」などを考えながら、質問するようにすると良いでしょう。

想定していた面接と違う!面接を受ける前に知っておきたいことは?

「面接の時に困ったこと」の質問では、「面接官が想定より多い」が3番目に、「連絡を受けていた面接内容と異なる」が4番目に多い結果となっています。「想定外の面接」に戸惑った人も多いようですが、面接の前にさまざまなことを知っていれば「想定していたことと違う」という状況は避けられたかもしれません。転職希望者が面接を受ける前に知っておきたいこととは、どのようなことでしょうか。

「面接や試験の内容・回数」「社内・職場の雰囲気」「求められる人材」についての情報発信が重要

「面接について、事前に知っておきたいこと」について複数の選択肢から選んでもらったところ、最も多かった回答は「筆記試験や課題の有無」でした。次いで、「面接の回数」「社内や職場の雰囲気」「求められる人材」と続きます。

「面接や試験の内容・回数」「社内・職場の雰囲気」「求められる人材」についての情報発信が重要

面接や試験についての疑問を解決したり、内定辞退や入社後のミスマッチを防いだりするためには、そうした情報を面接の前に伝えておくことが重要です。転職希望者が面接前に事前に確認できるよう、求人媒体に掲載する求人票や会社のホームページなどに情報を掲載しておくと良いでしょう。以前、d‘s JOURNAL編集部が行った調査によると、「職場の雰囲気」や「上司・同僚のリアルな姿」「求められる人物像」などの情報が不足していると感じる人が多いようなので、そうした情報を特に意識的に伝えると良さそうです。
(参考:『転職希望者は、求人サイトのどこを見ている?【20代・30代が重要視する項目を調査】』)

内定につなげるためにー。転職希望者が面接を通して知りたいことは?

面接で自社にマッチした人材と出会えたとしても、面接での内容に満足できなければ「面接辞退」をされてしまう可能性もあります。転職希望者は面接を通してどのようなことを知りたいと考えているのでしょうか。

「会社のリアルな姿」を面接で伝えることが、転職希望者の不安軽減につながる

「面接を通して知りたいこと」について複数の選択肢から選んでもらったところ、最も多かった回答は「社風や職場の雰囲気」でした。次いで、「働く環境」「上司がどのような人か」「実際の給与やボーナス」と続きます。

「会社のリアルな姿」を面接で伝えること

転職希望者は「この会社は、自分に合う会社だろうか」「入社したら、自分は活躍できるだろうか」といった不安を感じながら、面接に臨んでいることでしょう。以前実施した調査によると、入社前に感じる不安の多くは「人間関係」や「カルチャーフィット」「スキルマッチ」に関するものでした。そうした不安を軽減するためには、「会社の雰囲気」や「上司・同僚社員」など自社のリアルな姿を、面接の際に伝えるようにすると良いでしょう。
(参考:『内定承諾後も不安だらけ? 転職者が入社前後に感じる不安と企業への要望を大調査』)

【まとめ】

面接で「本当は聞きたいことがあったけれど、聞けなかった」「返答に困る質問をされた」経験のある人が多いことが分かりました。こうした面接での困りごとを解決するためには、「転職希望者が質問しやすい雰囲気作り」や「転職希望者に聞くべき質問の精査」などが重要でしょう。

また、面接前に「面接や試験の内容・回数」「社内・職場の雰囲気」「求められる人材」などについて情報発信した上で、面接を通じて「会社のリアルな姿」を伝えることができると、転職希望者の不安が軽減するようです。
面接前の「情報発信」や、面接時の「対応」「質疑応答」に配慮し、面接を通じて「会社のリアルな姿」を伝えることで、自社にマッチした人材の入社につなげてみてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、企画/d’s JOURNAL編集部)