「戻りたくなる職場」が10期以上増収増益の源泉!?産休・育休復帰率100%の会社が取り組んできた、女性の働き方と理念経営

2022.07.15
株式会社プロラボ ホールディングス

山浦 健太(やまうら・けんた)

株式会社プロラボソリューション 執行役員
営業本部 コンサルティング事業部 部長代理
麻布 黒しゃり 理事

大学卒業後広告代理店を経て、2011年株式会社エステプロラボ(現プロラボホールディングス)に入社。販売戦略や経営企画など、サロン経営に対して多角的なコンサルティングを行い、プロラボホールディングスの歴代トップセールスを樹立。2018年、2019年には2年連続で担当顧客の上代売上が10億円を突破し、課題を解決しながら結果に結びつけるコンサルティングで各方面から圧倒的に高い評価を得ている。
現在はプロラボホールディングスのみならず、100%子会社である株式会社プロラボソリューション執行役員、麻布黒しゃり 理事にも就任し、幅広く活躍の場を広げている。

株式会社プロラボ ホールディングス

鈴木 良子(すずき・よしこ)
営業本部 営業推進事業部
商品開発グループ
課長代理

2011年株式会社エステプロラボ(現プロラボホールディングス)に新卒社員として入社。入社2年目で妊娠し、社内で初めての産休を取得。現在は2児の母として家事・育児を行う傍ら、商品開発グループのトップとしてチームを率いており、数多くのインナービューティ商品の開発・販売に携わる。

出産後も復帰しやすく、働きやすいプロラボ ホールディングス
家庭で「何か」があったときに、「相談しやすく、理解されやすい」という安心感
「一人一人の働きやすさ・暮らしやすさ」を叶える職場に
生活環境が変わっても「働く意義」を持ち続けるための取り組み
多様な人材の活躍と事業収益の両立をどうかなえるか

株式会社プロラボ ホールディングス(本社:東京都港区、代表取締役CEO:佐々木広行)は、インナービューティプロダクツのメーカー。創業から20年でグループ全体の売上高は68億円。健康意識の高まりにより、コロナ禍でも好調な業績を維持している。

新しい事業に果敢にチャレンジを続ける同社では、女性社員の産休・育休からの復帰率100%を実現するなど、女性が活躍しやすい会社づくりを実践。さらに理念経営、事業構造の変革を経て高い収益性も実現しているという。

今回は営業本部 兼 人財戦略室部長代理の山浦健太氏(以下、山浦氏)と、2度の産休・育休を取得し、現在は商品開発グループの課長代理 鈴木良子氏(以下、鈴木氏)に取材を行った。


出産後も復帰しやすく、働きやすいプロラボ ホールディングス

株式会社プロラボホールディングスは、インナービューティ商品と、エステティックサロン向けのマシンなど、美やインナービューティに関する商品を多角的に展開する。グループ全体で200名以上の社員が在籍し、2022年5月の時点で女性社員は154人と、7割を占めている。

設立当初は、ハーブティーをはじめとしたインナービューティ商品のメーカーとして全国のエステティックサロンへの導入にとどまっていたが、「健康寿命」など社会的課題への取り組みとともに、さまざまな関連美容・健康商品やマシン、サービスなどを展開。いわゆるモノビジネスからコトビジネスへ事業スタイルをシフトすることによって、10期以上連続増収増益を達成するに至った。

現在は、2021年末から参入したフェムテック(*1)事業にも注力して、腟内を洗浄する管理医療機器「フェムクリア」の開発や、女性の課題を解決するための栄養学・カラダの機能、専門知識を学ぶ「公認フェムテックマイスター(TM)」の資格を立ち上げるなど、会社としての成長をし続けている。

そうした成長の裏には、全体の7割を占める多くの女性社員の活躍がある。同社の働く環境を以下のように説明してくれたのは、商品開発グループの課長代理で、2度の産休・育休からの復帰を経験した鈴木氏である。

「女性の人生を豊かにするさまざまな事業を展開しているため、仕事を通して、生理や妊活、出産、健康、美容など専門的な知識を得 られ、自分のライフスタイルに取り入れやすい職場であることが特徴的です。出産前の準備、育児と両立しながら仕事をするための準備を行うなど、自らの人生設計(ライフプラン)を描ける自律的な女性社員が多く在籍している点も、魅力に感じています」(鈴木氏)

つまり同社は、「女性活躍」という視点で特筆すべきポイントがあるというわけだ。それが「産休・育休制度を利用した女性社員の復帰率が100%」といった、女性が働きやすい会社・職場づくりにつながっていく。

また、女性管理職の割合も多く、子育てと仕事の両立を可能にしたワークスタイルは、ニューヨークタイムズが選ぶ女性活躍推進の取り組みとしても認められているという。

(*1)フェムテック…女性(Female)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語。生理、妊娠といった女性特有の健康上の問題をテクノロジーの力で解決する製品やサービスのこと。テクノロジーの発達や女性起業家の増加などが後押しとなり、国や大手企業も注目するなど今後のさらなる発展が期待されている。

さて近年、多くの企業が女性活躍の取り組みを推進しているが、実際には、第1子出産を機に、約2人に1人の女性が退職している。

「共働き家庭が増加」と報じられることが多いが、同じ対象を長年にわたって追跡する『第11回 21世紀出生児縦断調査』を参照すると、出産後に女性の就業率が半減した後は、子どもの成長とともに非正規の職に就く女性の割合が増加する傾向が顕著に表れている。

つまり、日本では「出産前後の女性が仕事を辞めやすく、元の働き方に戻りにくい」状況にある。

その点を踏まえると、産休・育休を取得した全ての女性が復帰するというプロラボホールディングスは、出産後の女性が働き続けやすく、元の働き方に戻りやすい、あるいは戻りたくなる職場を実現しているという点が大きな特徴だと言えるだろう。


(参考:厚生労働省『第11回 21世紀出生児縦断調査』母の就業状況の変化・世代間比較』)

家庭で「何か」があったときに、「相談しやすく、理解されやすい」という安心感

産休・育休後の復帰率100%の同社において、「社員の中で初めて産休制度を取得した」と語るのは、先の鈴木氏だ。2011年に入社し、2度の産休・育休を取得。現在は小学生と園児の育児と仕事を両立している。

鈴木氏は社内で初めての産休を取得した当時を、以下のように振り返る。

「2011年に入社し、入社2年目に妊娠がわかりました。当時の社員数は約20人と現在の10分の1。平均年齢が若い新しい会社だったので、産休・育休制度を活用した社員がまだいませんでした。

緊張しながらも会社側に『今後も働き続けたい』という意志を伝えたところ、働きやすいように制度を整えていこうという話になり、約1年の産休・育休を取得した後に2014年に職場に復帰したのです。育休中にも定期的に連絡をもらえて、折に触れて会社から『早く戻ってきてね』と言われていたので、嬉しかったですね」(鈴木氏)


(参考:平成30年11月 内閣府男女共同参画局『「第1子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について』)

内閣府が作成した資料によれば、第1子の妊娠・出産を機に仕事を辞める理由として最も多いのが、「育児と仕事の両立が大変」という理由だ。このデータを見てみると、「両立が難しいかもしれない」という心理的な不安が、女性の退職の大きな原因となっている。

復帰後の「両立のしやすさ」という点について、鈴木氏は以下のように語る。

「子どもの体調不良や小学校進学など、家庭内では何かとイレギュラーなことが起こります。そういうとき臨機応変に対応してもらえることは、働きやすさの面で重要なポイントです。困りごとがあったときに上司に相談しやすいこと、相談した後も理解してもらえるという安心感は精神的にも助かります。

私が所属している商品開発グループの現場は、個人で何かを達成するというよりも、チームで1つのものをつくり上げるという部署です。育児中の社員に限らず、誰かに何かがあれば、お互いにサポートし合うのが当たり前。限られた時間ではありますが、業務の進展や情報を共有することで、育児と仕事を両立させる環境を整えています」(鈴木氏)

業務が特定のメンバーに偏ることがなく、誰かが急に休んだとしても、グループの目標達成のためにサポートし合うというカルチャーが形成されているようだ。


「一人一人の働きやすさ・暮らしやすさ」を叶える職場に

鈴木氏の産休・育休取得後、妊娠・出産を経験した女性が働き続ける社風が定着していったプロラボホールディングス。徐々に制度を整えていったが、人事担当者が大切にしているのは「“紋切型”の制度運用ではなく、臨機応変に対応する」という点だ。

社内の人財開発に携わる営業本部 兼 人財戦略室の部長代理、山浦氏は、以下のように語る。

「復帰後は、『時短の人用の仕事』ではなく、『どんな仕事をしたいか』という本人の希望を念入りにヒアリングして、できるだけ寄り添う姿勢を大切にしています。

希望の働き方や育児の負担感は、一人一人異なります。復帰後は、時短勤務を想定しながら本人の希望と擦り合わせ、『できそうならやってみて、やって駄目ならやり方を変える』というスタンスを取っています。復帰後、役職に就く女性も多くいるんですよ。

大手企業のようにきめ細やかな福利厚生が整っているか、と言われたらまだまだ改善の余地があります。しかし、都度話し合って柔軟に改善したことが、復職率100%という結果につながったのではないかと思います」(山浦氏)

ひと口に「育児中」と言っても、配偶者の協力度、親のサポートの有無、子どもの数、家事の得意・不得意などによって育児の負担感は異なる。役職への想いも人それぞれだ。さらに、子どもの成長とともに負担感は時々刻々と変化していく。

四半期に一度行われる面談では、キャリアプランとライフプランを上司と個別に話す機会があるそうだ。鈴木氏は「その都度ざっくばらんに話しているし、とても話しやすい」と語る。

一人一人のキャリアプランを入念にヒアリングした上で、会社側と働き方を擦り合わせられる点も、復帰後のキャリアプランの描きやすさにつながっているのだろう。


生活環境が変わっても「働く意義」を持ち続けるための取り組み

育児と仕事を両立するためにフレキシブルに対応している同社だが、山浦氏は育児中の社員も含め、全社員の「仕事のやりがい」という点にも着目している。

 「プロラボホールディングスは、“健康寿命”という社会課題に貢献するという理念の下、『全従業員とその家族が、物心両面の豊かさを実現する』という目的を共有しています。

現場で慌ただしい日々を過ごしていると、目先の業務にとらわれがち。3カ月に1度は組織の中長期的な理念や目標を共有する機会を設けていますし、先述の産休・育休からの復帰に対してのヒアリングの中でもこの理念をベースに『自分はどうしていきたいか』を、特に確認するようにしています」(山浦氏)

山浦氏によれば、こうした理念経営を行っていく上で、人事評価制度の中にも、組織の目標や目的を落とし込んだ評価軸を設けているという。

会社の目指すべき方向性と個人の価値観を擦り合わせる機会を定期的に設けることで、社員が働き続ける意義を見いだしているようだ。それが会社や組織を推進する源泉となり得るし、何よりも「職場に戻りたい」というモチベーションが会社の雰囲気を良くしてくれる。これらは理念経営と人事評価制度が後押ししている面もあるだろう。


多様な人材の活躍と事業収益の両立をどうかなえるか

最後に「多様な社員の活躍」「事業収益」を両立させるための今後の展望について、話を伺った。

『“理”と“利”の統合』という言葉があります。“理”は理念や経営理念、“利”は利益。この統合が、組織として理想的な状態だと思っています。

子育て中の社員が増加し、なおかつ増収増益がかなっている現在の状況を踏まえると、仕事に対する考え方やそれに付随する能力を適正に評価して、キャリアを形成できる社風や制度をさらに整えていくことが当社にとって重要なことだと考えています。

この先も産休・育休の取得者はどんどん増えていくと予想されます。当社は、現在も拡大のさなかにあり、新事業がさかんに立ち上がっている状況です。産休・育休で現場から約1年間離れると、組織内部の状況はかなり変化しますので、その時の部署の状態を見ながら、ますます臨機応変な対応が必要になってくるでしょう。

経営層と社員の距離感が比較的近い、これまでの規模感だからこそできていたことも多くあります。さらなる成長が見込まれる今後は、制度の設計や個人が目標にチャレンジできる環境を、人事面から整えていく必要があります。

その部分を追究していくことによって、年齢、性別、カルチャーが異なる多様な人が個々の力を発揮し、発展していく事業がつくれるのではないかと思っています」(山浦氏)

【取材後記】

プロラボホールディングスは、テクノロジーによって女性の健康課題を支える「フェムテック」の領域にも事業を拡大している。今回お話を伺った2児の母である鈴木氏は、「出産後は、心からおすすめできるものを企画していきたい、という気持ちがますます強くなった」と語る。

さまざまなライフステージにいる女性が、責任ある役職に就いて活躍していることが、商品力の厚みにつながっているようだ。

取材・文/鈴政武尊・北川和子、編集/鈴政武尊・d’s journal編集部

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