早期離職が起こる理由とは?離職率の傾向や対策方法を解説

早期離職が起こる理由とは?離職率の傾向や対策方法を解説

d’s JOURNAL編集部

早期離職とは、入社後間もなく従業員が退職してしまうことです。早期離職が増加すると、採用にかけた費用や人材育成への投資が十分なリターンを生まず、組織運営に影響を及ぼします。

本記事では、学歴や業種別に離職率の傾向を整理するとともに、早期離職が組織に与える影響や具体的な対策方法を解説します。

早期離職の対策は、人事施策だけでなく現場の運用(上司の関わり方・受け入れ・育成)まで落とし込めるかが重要です。現場と共有しやすい形で離職防止の施策を整理した資料を用意していますので、社内展開用に下記資料を無料ダウンロードしてご活用ください。

早期離職とは

早期離職とは、従業員が入社後3年以内に退職することです。一般的にはこのように認識されていますが、最近では、入社から1日~数カ月といった極めて短期間での離職事例も増えています。

ここでは、そうした事例を含め、「採用活動や人材育成に投じた時間・労力・費用を回収する前に人材が離れてしまう状態のこと」を早期離職として定義します。

企業が早期離職を課題視する理由

早期離職は企業にとって、人材育成費用の増加や慢性的な人員不足による業務停滞など、さまざまな経営リスクの原因となります。

採用や育成に投じた時間・労力・費用が十分に回収される前の退職であるため、管理職や現場の負担増加、また生産性の低下を招くこともあるでしょう。こうした状況が続くと、組織の成長や競争力にも悪影響を及ぼしかねません。

そのため企業としては、早期離職を組織全体の課題として捉え、対策に取り組む必要があります。

早期離職の判断材料となる「定着率」と「離職率」

「定着率」と「離職率」は、従業員の入社後の状況や退職の動向を把握するための指標です。

入社した従業員が一定期間後も会社に残り続けている割合を示す「定着率」に対し、「離職率」は一定期間内に会社を辞めた従業員の割合を示します。

一般的に定着率や離職率を算出する際は、1年・3年・5年など、一定の期間を設定します。具体的な計算式は、以下を確認してください。

【定着率と離職率の計算方法】

指標 計算式
定着率 算出期間経過後に残っている従業員数÷起算日の従業員数×100
離職率 算出期間中の離職人数÷起算日の従業員数×100

定着率と離職率は、同じ起算日の従業員を対象に同じ期間で計算した場合、合計で100%になります。双方を併せて確認すれば、早期離職の実態を正しく把握できるだけでなく、人材の定着状況や組織運営上の課題を多角的に把握するデータになります。

(参考:『定着率とは?計算方法や低い企業の特徴・向上させるための方法』)

従業員が入社後に早期離職する実態

新人従業員の早期離職は、近年どのように推移しているのでしょうか。ここからは厚生労働省が公開している資料に基づき、新規学卒就職者の早期離職の現状を解説します。

【従業員が入社後に早期離職する実態】
●新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率
●事業所規模別の離職率
●産業別の離職率

新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率

新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率

(引用:厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します』)

2022年(令和4年)3月に卒業した新規学卒就職者の3年以内の離職率は、高校卒が37.9%、短大等卒が44.5%、大学卒が33.8%となり、いずれも前年度と比べて低下しています。中学卒に関してのみ54.1%と、前年と比較して3.6ポイント増加している状況です。

【新規学卒就職者の就職後3年以内離職率】

最終学歴 3年以内の離職率(内は前年差増減)
中学 54.1%(+3.6P)
高校 37.9%(▲0.5P)
短大等 44.5%(▲0.1P)
大学 33.8%(▲1.1P)

新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率の推移を見ると、直近20年以上にわたって30%前後であり、ほぼ横ばいで推移しています。この結果から新規大卒就職者の早期離職は、長年にわたり企業が抱える課題となっていることがうかがえます。

事業所規模別の離職率

新規大卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率

(引用:厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します』)

新規大卒就職者の3年以内の離職率を見ると、事業所の規模が小さいほど離職率が高い傾向にあることがわかります。事業所規模の小さい「5人未満」の企業では離職率が57.5%、一方で、「1,000人以上」の事業所規模では27.0%と、その差は2倍以上にも及びます。

産業別の離職率

新規大卒就職者の産業別就職後3年以内の離職率

(引用:厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します』)

3年以内の離職率を産業別に見てみると、2022年3月卒の新規大卒就職者で離職率が最も高い業種は、「宿泊業、飲食サービス業」の55.4%でした。

次いで、「生活関連サービス業、娯楽業」が54.7%、「その他」が47.8%、「教育、学習支援業」が44.2%、「医療、福祉」が40.8%となっています。

サービス業の早期離職率が高い背景としては、「他業種より賃金水準が低い」「労働時間が長く、休日・深夜勤務も発生する」「土日・祝日に休みづらい」などの原因が考えられます。

若年者が離職を選ぶ理由の傾向

厚生労働省は『令和5年若年者雇用実態調査の概況』で、「若年労働者が初めて勤務した会社を辞めた理由」を公開しています。

同調査によると、若年労働者が退職を決断する理由の多くは、「労働時間・休日・休暇の条件が不十分であること」でした。次いで、「人間関係が良くない」「賃金の条件が良くない」「仕事が自分に合わない」などの回答が挙げられています。

この結果を踏まえ、次項では、早期離職につながる7つの理由を詳しく解説します。

(参照:厚生労働省『令和5年若年者雇用実態調査の概況 2 これまでの就業状況』p3)

早期離職につながる7つの理由

一般的に従業員が早期離職を決断する理由は、以下の7つです。

1.賃金への不満
2.入社前のイメージと実際の業務内容とのギャップ
3.企業の将来性への不安
4.人間関係やカルチャーへの違和感
5.ワーク・ライフ・バランスなど労働環境への不満
6.キャリアアップや成長の機会が少ないことへの不満
7.高い目標・ノルマに対するプレッシャー

1.賃金への不満

従業員が離職する理由の一つに、賃金への不満が挙げられます。

業界平均と比べて賃金の水準が低い、さらには昇給の機会も少ないとなると、従業員は次第に「努力が認められていない」と感じるようになります。そうして仕事へのモチベーションが低下し、最終的には退職を検討するようになるのです。

また、長時間労働の常態化や休暇取得の制約、これに伴う各種手当や福利厚生の不十分さも、従業員の不満を増幅させる要因となります。

2.入社前のイメージと実際の業務内容とのギャップ

新しい従業員は、入社前に想定していた業務内容と、入社後の業務内容に違いがあると早期離職を選択することがあります。こうした、認識上の不整合を「リアリティーショック」と呼びます。

例えば、ある従業員が採用時に「裁量の大きい業務を任せる」と説明を受けたと想定しましょう。しかし実際には定型業務が中心であった場合、その従業員は入社前に抱いていた期待との乖離(かいり)を強く感じるようになります。

その結果、業務に対するやりがいや成長機会を見いだせなくなり、早期離職を選択するケースも少なくありません。

(参考:『リアリティショックとは?起こる原因と影響・対策を解説』)

3.企業の将来性への不安

企業の将来性への懸念や経営陣に対する不信感などにより、長期的なキャリア形成に不安を抱き、早期離職を選択する従業員もいます。

具体的には、給与の支払い遅延の実態、あるいは経営状況に関するネガティブなうわさがきっかけとなり、退職を決断する事例が見受けられます。

4.人間関係やカルチャーへの違和感

職場内の人間関係や企業風土・価値観に違和感を覚え、早期離職を選択する従業員も一定数存在します。

「上司に対して質問や相談がしにくい」「威圧的な指導がある」といった環境では、従業員は心理的安心感を得られず、平常心ではたらき続けられません。

また、「トップダウンが中心で意見を言えない」「残業が常態化している」などの組織風土やはたらき方に起因する不満も、離職を促す要因となります。

5.ワーク・ライフ・バランスなど労働環境への不満

勤務条件や福利厚生などの待遇面が不十分な場合も、従業員は不満を抱きやすくなるため、早期離職のリスクが高まります。特に、ワーク・ライフ・バランスを重視する従業員にとって、長時間労働や休暇取得の制約は大きなストレスとなるでしょう。

加えて、「成果や努力が適切に評価されていない」と感じた場合も、従業員は退職を検討することがあります。

6.キャリアアップや成長の機会が少ないことへの不満

従業員にとってキャリアアップや自己成長の機会は、給与や待遇と同等か、あるいはそれ以上に重要な要素です。自身のスキルや専門性を活かせず、将来の展望が見えない環境では、成長の実感を得られないため早期離職につながるでしょう。

成長の実感が不足している状態は、業務のマンネリ化や評価制度の形骸化などによって起きることが多く、専門性の高い人材ほど顕著です。

7.高い目標・ノルマに対するプレッシャー

高過ぎる目標や過度なノルマを課すことも、早期離職につながる要因の一つです。企業は従業員に成長の機会を与え、早期戦力化や活躍を促す意図から、やや負荷のかかる業務を任せたり、一定のノルマを課したりすることがあるでしょう。

しかし、十分な知識や経験がない従業員にとっては、求められる成果や責任の重さが精神的負荷やストレスとなるケースも少なくありません。こうして蓄積した心身の疲労が、早期離職という判断につながります。

早期離職が与える組織への影響

ここからは、早期離職が組織に与える影響について見ていきましょう。

【早期離職が与える組織への影響】
●人材育成・採用費用の増加
●人員不足による業務の停滞
●既存従業員のモチベーション低下
●企業の成長の停滞
●企業のイメージダウン
●管理職・現場の負担増加

人材育成・採用費用の増加

早期離職が組織に与える影響として、人材育成や採用にかかる費用の増加も挙げられます。
まずは以下で、新しい従業員の採用時に発生する主な費用を確認してください。

【人材育成・採用費用の例】

費用の種類 具体例
採用活動に発生する費用 ●会社説明会の人件費
●選考活動の人件費
●求人広告の掲載料
●採用管理システムの利用料
入社後に発生する費用 ●教育に必要な人件費
●備品を購入する費用
●給与や社会保険料
●福利厚生費

こうした多額の費用を投じて迎え入れた人材が短期間で離職した場合、企業は大きな経済的損失を被ることになります。

また新しい人材採用にも動く必要があり、求人掲載にかかる費用や選考のための人件費だけでなく、研修を実施するための教育費用もかかってきます。早期離職が度々発生するようでは、企業経営にも悪影響が及ぶでしょう。

人員不足による業務の停滞

早期離職が常態化すると、必要な人員を安定的に採用できず、慢性的な人材不足に陥る可能性もあります。これにより業務の属人化や引き継ぎ不足が発生すると、組織内での知識・経験の蓄積が進まないだけでなく、既存従業員への業務負荷が増大します。

その結果、育成や改善活動に充てる時間を確保できなくなると、業務が停滞したり生産性が低下したりする可能性も否めません。

既存従業員のモチベーション低下

早期離職は既存従業員のモチベーション低下にもつながります。同僚の早期離職が増えると、「自社に何か問題があるのではないか」と考えてしまう既存従業員もいるためです。

また、離職者が担当していた仕事の引き継ぎなどで既存従業員への業務負担が増えた結果、職場の雰囲気が悪化することも考えられます。

モチベーションの低下や職場の雰囲気の悪化により、退職連鎖につながる可能性もあるでしょう。

(参考:『退職連鎖とは?企業への影響や原因、離職への対応策を解説』)

企業の成長の停滞

人材の流出が続くと、部署内やチーム内の業務に対するモチベーションが低下し、ひいては組織全体の生産性にも悪影響を及ぼしかねません。

特に、将来の中核を担うリーダー候補が早期に離職した場合、後継人材の育成が遅れると、企業の中長期的な成長基盤が弱体化する恐れがあります。

企業のイメージダウン

早期離職は、企業のイメージダウンにもつながります。早期離職が慢性化すると「離職者が多い=はたらきにくい会社」という印象を与えてしまうためです。

今や、転職希望者はSNSや口コミサイトなどで、企業の評判の良しあしを簡単に調べられます。特に離職率などのネガティブな情報ほど早く広がるため、社外にネガティブな情報が拡散した結果、今後の採用活動に悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。

管理職・現場の負担増加

早期離職が発生すると、退職者が担っていた業務の引き継ぎや欠員対応が管理職や現場の従業員に集中しやすくなります。

特に、事業拡大に伴う増員を目的として採用した人材が短期間で離職した場合は、本来想定していた人員体制が機能せず、増加した業務を既存従業員が補完する状況に陥ります。

これによって長時間労働が常態化すると、現場ではたらく従業員の肉体的・精神的負担は大きくなる一方です。また、新人の育成を担当していた従業員の「自身の指導方法や関係構築に課題があったのではないか」という心理的負荷も高まります。

早期離職を防ぐ対策方法

では、どのようにすれば従業員の早期離職を防止できるのでしょうか。
ここからは、「現場・制度面」と「データ・仕組み面」の2つの観点から、早期離職を防ぐ具体的な方法を解説します。

これから紹介する対策は、制度設計だけでなく現場での運用まで落とし込めるかがポイントになります。

現場と共有しやすい形で離職防止施策を整理した資料を用意していますので、社内展開用に資料を下記からダウンロードしてご活用ください。

【早期離職を防ぐ対策方法】
●現場・制度面からの対策
●データ・仕組み面からの対策

現場・制度面からの対策

まずは、現場・制度面からの対策方法を見ていきましょう。

採用ミスマッチへの対策

早期離職を抑制するためには、採用のミスマッチ対策が欠かせません。

まずは、自社が求める人材像や期待する役割を明確化し、その内容が転職希望者に正しく伝わるように発信できているのかを見直しましょう。

併せて、募集職種や求めるスキルに対応した求人媒体や採用手段を選ぶことも重要です。専門性が求められる職種では、業界特化型の求人サービスや転職エージェントを活用することで、マッチ度の高い転職希望者に効率的にアプローチできます。

(参考:『採用ミスマッチとは?原因と入社前後の具体的な対策方法を解説』)

入社後のフォローの徹底

早期離職を未然に防ぐには、入社後のフォローを徹底することも大事です。入社後は「こんなはずではなかった」「思っていたのと違う」などのギャップが起こりやすいため、従業員にある程度の実力が付くまではフォローしつつ、オンボーディングを充実させましょう。

オンボーディングとは、企業が新規採用した従業員を対象として行う教育プログラムのことです。仕事の進め方や必要な知識、企業のルール、文化などを早期に身に付け、企業に早くなじんでもらうことを目的に、継続的に実施します。

また、従業員が孤立しないように交流の場を整えるなどの対応も有効です。職場で上司や同僚と気兼ねなく交流できるよう、各自が好きな席ではたらくフリーアドレス制の採用や、社内SNSやチャットツールの導入などを検討すると良いでしょう。

(参考:『オンボーディングとは?5つのメリットと2つの導入事例【施策シート付き】』)

労働条件や待遇の改善

労働時間や給与など、待遇面への不満が原因で早期離職が生じている場合には、労働条件の改善や福利厚生の導入などの待遇改善を検討しましょう。具体的な改善策としては、フレックスタイム制度や短時間勤務制度など、柔軟なはたらき方を選べるような制度の導入が有効です。

また、仕事の成果を人事評価や賞与に適切に反映させるための環境の整備も求められます。速やかに待遇を改善することが難しい場合には、企業としてこれから待遇改善に取り組んでいくという姿勢を従業員に示すと良いでしょう。

企業としてのフェーズや企業を取り巻く環境によっては、上述の3施策全てを同時進行することは難しい場合もあるでしょう。優先順位を見極め、できる施策から順番に進めていくことをお勧めします。

(参考:『【3分で読める】福利厚生を選ぶならコレ!種類や導入方法など知っておきたい基本事項』)

社内コミュニケーションの強化

早期離職を防ぐためには、社内コミュニケーションの質を高めることも重要です。従業員が率直に意見や悩みを共有できる風土を醸成することは、定着率の向上に直結します。

特に、リモートワークの定着により日常的な対話の機会が減っている近年では、上司や先輩従業員からの意識的な声掛けが不可欠です。定期的な1on1の実施や、メンター制度の導入などを通じて気軽に相談できる環境をつくりましょう。

(参考:『1on1ミーティングとは?目的や効果、導入する方法と進め方を解説』)

マネジメント能力の向上

早期離職を防止するためには、上司・管理職のマネジメント能力を高めていくことも大切です。

上司・管理職自身の過去の成功体験や若手時代の価値観を前提とした指導は、現在の若年労働者には必ずしも有効なアプローチとは限りません。従業員一人ひとりの価値観や特性はさまざまであり、画一的な指導では不満やストレスを生む要因となります。

そのため、部下の状況や考え方に応じた関わり方ができるよう、管理職には柔軟なマネジメントスキルが求められます。

具体的な施策としては、コーチング研修やフィードバック研修などを通じて、対話力や育成力を強化することが有効です。部下に寄り添った適切な指導を実践すれば、従業員の心理的負担が軽減し、結果として早期離職の抑制につながります。

(参考:『人材育成マネジメントとは?必要なスキルや効果的な手法、導入事例も解説』)

データ・仕組み面からの対策

続いて、データ・仕組み面からの対策方法を解説します。

エンゲージメントサーベイの実施

エンゲージメントサーベイとは、従業員と企業との関係性を可視化し、組織の現状や課題を客観的に把握するための手法です。仕事へのモチベーションや職場環境に対する認識などを明らかにできるため、個々の不満や組織的な課題を早期に特定し、具体的な対策を講じられます。

サーベイ結果を基に改善を重ねれば、従業員は「自身の意見が組織運営に反映されている」と実感しやすくなり、エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。結果として、早期離職の抑制や生産性の向上といった中長期的な成果にもつながります。

(参考:『エンゲージメントサーベイとは?目的や質問項目、実施方法を解説』)

キャリアデザインの機会の提供

早期離職を防ぐためには、従業員が自社での将来像を描けるよう、キャリアデザインの機会を提供することも重要です。

現代の若年労働者は、「どこに行っても通用するスキルを身に付けること」を重視するといわれています。そのため、「目の前の業務をこなせば自然に成長できる」といったマネジメントだけでは、キャリアの展望を描きにくく、離職防止には十分な効果が得られません。

現在の業務を通じて獲得できるスキルや、将来的に担ってほしい役割を具体的に示すことが大切です。

(参考:『キャリアデザインとは?作成するメリットや方法、注意点を解説』)

リファレンスチェックの実施

リファレンスチェックとは、転職希望者と一緒にはたらいた経験のある前職の上司や同僚に対して、勤務態度や人柄などを聞き取り、人材像を客観的に把握するための手法です。

書類や面接だけでは見えにくい実務上の特徴や性格を確認できるため、採用のミスマッチを未然に防ぐ効果があります。

このように、採用判断の精度を高める仕組みとしてリファレンスチェックを活用することで、採用後のミスマッチを減らし、早期離職の抑制が期待できます。

(参考:『リファレンスチェックとは?実施する目的や質問事項、チェックポイント』)

退職面談の実施

退職者との面談を行い、その意見を今後の取り組みに活かすことも早期離職対策となります。退職を決断した理由や職場環境に関する具体的な課題をヒアリングすることで、組織運営や労務施策改善のヒントが得られるためです。

退職者の意見を真剣に受け止め、将来的な離職防止策の検討や職場改善に活かしましょう。なお、面談の担当者は人事部から選定することが望ましいとされています。直属の上司ではなく、一定の距離のある立場の従業員から意見を引き出すことがコツです。

(参考:『退職面談とは?実施のためのプロセスと注意点を解説』)

離職率(定着率)を改善した企業事例

では実際に、企業はどのような取り組みにより離職率(定着率)を改善しているのでしょうか。離職率を改善した企業事例を紹介します。

【離職率(定着率)を改善した企業事例】
●株式会社カーセブン デジフィールド

株式会社カーセブン デジフィールド

自動車の小売りと買い取りのFCチェーン「カーセブン」を展開している株式会社カーセブン デジフィールドでは、はたらき方改革の一環としてさまざまな施策を実践し、従業員の離職防止や定着向上支援に努めています。

2008年に42%だったという離職率は、2021年には7.9%と大幅改善を達成。入社3年以内の離職者はほぼゼロという状況です。

同社は「家族が起きている間に帰宅してもらうこと」の実践により、労働環境を改善。人事制度の賞与の評価項目に「生産性」を加え、残業時間が少ないと評価が上がる評価システムに変更したことで残業時間はほぼゼロとなり、その年の従業員への賞与は大幅にアップしました。

また、社内教育・研修予算を無制限に設定し、従業員一人ひとりがスキルアップするための仕組みを築いています。2018年にスタートした「奨学金支援制度」は、特に若年従業員の離職を防ぐことに効果を発揮し、定着率の向上につながっています。

(参考:『残業時間を減らせば賞与大幅アップ!?業務・人事システムの刷新で離職率を7.9%に改善。カーセブンの人事戦略論とは』)

まとめ

早期離職が慢性化すると、採用費用の高騰や既存従業員のモチベーション低下、企業のイメージダウンなどの問題につながる可能性が高くなります。

新入従業員が早期離職を考える大きなきっかけとなるのが、入社前に想像していた仕事内容と実情とのギャップです。早期離職を起こさないために、「採用ミスマッチへの対策」「入社後フォローの徹底」「労働条件や待遇の改善」などの取り組みが有効と考えられています。

今回の記事で紹介している離職率を改善した企業事例なども参考に、離職率の低下に向け、できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。

記事で紹介した内容を、実際の取り組みに落とし込むには、社内での共通認識づくりが欠かせません。離職防止の施策を整理した資料を用意していますので、関係者との検討・共有用に資料を下記からダウンロードしてご活用ください。

(制作協力/株式会社eclore、編集/d’s JOURNAL編集部)

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