採用の新常識、企業価値を向上させる攻めの採用「タレントアクイジション戦略」とは【by Leading HR online 2023/Day2】

神戸大学大学院 経営学研究科

教授
服部 泰宏

プロフィール
富士通株式会社

執行役員EVP CHRO
平松 浩樹

プロフィール
この記事の要点をクリップ! あなたがクリップした一覧
  • 「えこひいき」をあえて作り出す採用手法実践の観点
  • 三位一体「職場・HRBP・人事」構築の秘訣
  • 人材パイプラインとタレントアクイジション戦略の実践について

「人生100年時代の“あたらしいはたらく”を創る」とのテーマを掲げた、人事・採用担当者向けのオンラインカンファレンス、「Leading HR online 2023」が開催されました。

9月26日~9月28日の3日間にわたり、大学教授から企業で人事に携わるエキスパート、恋愛リアリティ番組「バチェラー・ジャパン」の出演者まで、総勢10名以上がご登壇。先進企業の事例、HRにおける注目テーマなどを紹介していただきました。

2日目となるテーマは、「タレントアクイジション戦略」です。神戸大学大学院の服部泰宏教授、そして富士通の平松浩樹CHROがご登壇。講演、パネルディスカッションを通して、タレントアクイジション戦略について語りました。

モデレーター:須東 朋広氏
専修大学 商学部 特任教授/日経BP総合研究所 客員研究員/一般社団法人才知修養学舎 代表理事

>前回のセミナーレポート「Leading HR online 2023/Day1」こちらから

「特別扱い」を許容する、採用における5つのポイント/神戸大学大学院 服部 泰宏氏

採用、特に「攻め」の採用においては考え方が重要です。当たり前のように聞こえるかもしれませんが意外とぼやけている会社が多く、その結果、採用活動の粒度が上がらない要因となるからです。

本セッションでは採用活動において求める人材を獲得するための5つの観点についてお伝えします。

■01「変わりやすいもの、変わりにくいもの」

変わりやすいもの、変わりにくいもの

上記の表は、個人の能力などを採用活動(選考時)の指標で示したものですが、右にいくほど変わりづらい要素となります。逆に、一番左の要素は、組織の環境などで変わりやすいものとなります。例えば、コミュニケーション能力などは個別のトレーニングで劇的に伸びることがわかっています。

一方、知能や創造性などは絶対に変わらないわけではありませんが、左の要素に比べると変わりづらいという特徴があります。つまり採用活動において、特にタレントアクイジションの文脈で求める人材を採用しようと考えた場合、右側の変わりにくい要素を選考時にしっかりと押さえられているかどうかがポイントになるわけです。

たとえ変わりやすい要素であっても、自分たちの環境の中では伸びづらいと考えられる要素はしっかりと把握する。このように考えることが重要なのです。

■02「何を見るか(主)→何で見るか(従)」

採用活動には下記図表左側「何で見るか(従)」のように、テストや面接などさまざまな手法があります。ただ採用活動の本質は右側の要素「何を見るか(主)」で、求職者が持つ能力などを見極めるために行うものです。

何を見るか(主)→何で見るか(従)

しかし実際はどうでしょう。左側の手法ありきで採用活動を行っているケースが大半ではないでしょうか。そこで改めて求職者のどのような要素を見たくて、どのようなテストを行うのが適切なのかを、「主従関係」という観点を大切にして決めていくことが良さそうに思えます。

■03「分散を出す」

採用活動ではさまざまな評価テストを行い、良い・悪いを判断していきます。この両者の幅が大きい質問、テストを考えることが重要です。

分散を出す

例えば、よく聞く質問事例として「学生時代に力を入れたこと」、いわゆるガクチカがありますね。求職者の多くが事前に想定している質問のため、比較的答えを用意して面接に臨んでいるはずです。そのため良い・悪いレンジが狭くなることがわかっており、実際は求職者一人一人を評価しづらくなっているのです。

■04「求職者が何を考え、どのように動いているか」

例えば、「採用活動を行う場所」です。求職者に人気の企業であれば、お金や時間をかけて遠方から向かうことにためらいはないでしょう。

求職者が何を考え、どのように動いているか

ところが第一志望でない場合は、交通費などの出費を高く感じ、場合よっては行かないなどの選択肢を取ることもあるかと思います。

エントリーシートに記入してもらう作文の量や締切日なども同様です。自社が求める人材にリーチしてもらうにはどこがハードルになっているのか、何をすれば応募してもらえるのか――。これらを改めて考えることが大事です。

このように求職者の解像度を上げることで、これまでリーチできていなかった層でも取り込める可能性が出てくるようになるのです。

■05「特別扱いに手を出す」

最後はアドバイスというよりも問題提起だと思ってください。私はアメリカに出向き、採用を行っている企業の状況を確認するフィールドワークを長年続けています。そのためアメリカの採用における流れをキャッチアップしており、その一つがこの「I-Deals」、私の研究テーマでもある「特別扱いに手を出す」です。

特別扱いに手を出す

これは特別扱いを意味する「idiosyncratic」と、みんながハッピーになる「ideal」との言葉を合わせた造語です。

特別扱いとはそのまま意味です。ある会社に在籍する社員がインターン中である特定の人物に対して”欲しい人材”、あるいは”自社で働いてほしいと思う人材”と認定、そしてランチに誘ったり、他のインターン生とは違う業務タスクにアサインしたりして扱いを変えることです。

言ってみれば「えこひいき」です。ただそのひいきが経営者など特定の人のエゴで行われるのではなく、他の社員にとってもハッピーに、そしてノールーズ(no lose)の状態であることが大切なのです。

特別扱いをしているけれども、きちんとしたロジックがある。そのため周囲にそれが露見した際にも納得してもらえる――。他の社員もハッピーまではいかないけれども、納得できる、そのような形で行うことで組織が活性化する場合もあるのです。

それでは「周囲が納得する特別扱い」とはどのようなものなのでしょうか。

■納得性が担保される条件とは

納得性が担保される条件は、以下の表で記載している5つの条件です。

納得性が担保される条件

例えば「(1)決定に(特別扱いを受けない)社員も参加していること」であれば、優秀なエンジニアを既存の社員もより高い給与で採用する特別扱いをすることにした。ただ、その決定に対して既存社員から意見を求めたり、給与制度を設計する際には参加したりする、といったシチュエーションです。

また「(2)特別扱いを受ける個人との物理的、社会的距離があること」も大事です。特別扱いをする人のオフィスを上階にしたり別の棟に設けたりするなどして、物理的な距離を持たせることです。特別扱いを実際に近くで目にすることで嫉妬ややっかみといった問題が起きる可能性がありますが、距離が離れていれば起こりづらいからです。

そして「(3)特別扱いを受ける個人が背負うリスクを理解していること」は重要です。スポーツの世界では当たり前となっている、「結果が出なかったら特別扱いがなくなること」を本人が一番理解していることが大事なのです。

さらに「(4)人間関係の良好な組織であること」「(5)会社に対する強い信頼がある組織」も注視したい項目です。大前提として人間関係が良好であること、会社に対して社員が信頼している環境でないと、特別扱いをしたところでハレーションが起きやすいからです。

■人材パイプライン

最後に、こちらもアメリカでのフィールドワークから得た情報をご紹介します。これまでの日本の企業は、業務上新たな人材が必要になってから採用活動を行う、という流れが一般的でした。しかしアメリカでは必要になる前から求めている人材にアプローチしていく、「人材パイプライン」が主流になりつつあり、実際にこうした施策を実施している企業も少なくありません。

求める人材にアプローチできるようなプールを事前に用意しておき、必要になったらリーチする、といった具合です。未来予測的なトピックスでもありますが一部の企業ではすでに起きていることですから、これをご覧になっている読者の皆さんも考えておいて損はないと思います。

「職場・HRBP・人事」が三位一体となり、人材へ積極的にアプローチ/富士通 平松 浩樹氏

さて、このたび富士通では、2019年に社長が現在の時田隆仁に変わった際、IT企業からDX企業への変革を掲げ、そこで働く人材も変わっていくことを示しました。

2020年には「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスを定め、これまで事業や業種で縦割り組織であったものから、社会課題を解決するクロスインダストリーの新たな事業ブランドを立ち上げたのでした。

並行してHRのビジョンも「社内外の多才な人材が俊敏に集い、社会のいたるところでイノベーションを創出する企業へ」と打ち出しました。そして、このビジョンに近づくために人事制度も見直していきました。

その制度改革の一つが、「ジョブ型人事制度」の導入です。ただし部分的に導入するのではなく、全体的な一貫性のある制度設計が大事だと考え、ジョブ型人材マネジメントへのフルモデルチェンジを行いました。

中でも一番のポイントは採用戦略です。これまで新卒を一括採用し、長期雇用で育成しながら戦略やビジョンを目指していたのですが、まずは戦略やビジョンを描き、それを実現できる組織を設計する、といった戦略デザインにシフトしたのでした。

このように変革を行った結果、戦略を実現するための人材と現有人材のギャップは当然大きくなりますが、3年かけてこのギャップを埋めていこうと計画しました。

そこで全社の採用数を決定して、人事が各本部に統制的に採用枠を配分していた制度を廃止し、ビジネスサイドとアラインしながら、各本部単位で必要人員を決めることとし、採用を含む人材リソースマネジメントは各本部に権限移譲することにしました。

また、人材獲得先は社内異動でも外部からの採用でもOKとし、こちらも現場の裁量で決めてもらうことにしました。その結果、以前はいわゆるメンバーシップ型、適材適所的な人事の仕組みであったものから、ジョブ型雇用かつ適所適材への人員配置が実現することとなりました。

さらに、社内のポスティング制度も活性化させました。富士通には現在約8万人の社員がいますが、2020年度からはこの制度を大幅に拡大して、その中の約2万人がポスティングに応募するまでになっています。そしてこれまで約7,000人の異動が実現しているのです。社内での人材獲得競争も始まり、会社にとって、社員にとって良い影響を与えていると感じています。

キャリア採用数も大幅に拡大しました。上記の図表を見てもわかる通り、2022年度には前年度比で約2倍にあたるキャリア採用獲得数を実現しました。これは当社の新卒採用数の750名を上回ります。ただし、数字目標を掲げて実現したわけではありません。あくまで現場のニーズを求めた結果の数字なのです。

こうしてキャリア採用に注力していった当社ではありますが、キャリア採用を推進するに当たって当社が取り組んだいくつかの事例を紹介したいと思います。

■職場、HRBP、採用(人事)の三位一体体制

まずは、必要な人材をタイムリーに獲得するために、職場、HRBP、採用(人事)が三位一体となり、採用計画の策定なども含めアプローチしていくことです。それぞれがどのような立場や役割を果たしているのかは上記の図表をご覧ください。

こうしたトライアングルを形成するに至っては、採用ブランディングも大事となってきます。ブランディングにおいては会社全体というよりも、職場単位で行うことが大事だと思われます。例えば、該当部署で実際に働くエンジニアなどに取材を行い、現場メンバーの生の声やストーリーをSNSなどで発信するようなことです。

ほかにも、女性が生き生きと働くことのできる職場環境であることを打ち出すために、当社の女性社員にオンラインイベントで登壇してもらい、こちらも現場の生の声を発信してもらったり、メディアなどでこの内容を取り上げてもらったりといった取り組みも行いました。

今回のイベントテーマである「攻めの採用」では、ダイレクトチャネルによる採用活動も強化しています。例えば、リファラル採用、Linkedinを使ったアプローチ、カムバック採用などです。

人材紹介サービス会社からの採用も平行して行っていますが、転職を考えている層以外(転職潜在層)にも積極的にアプローチしています。まさに、攻めの採用を徐々に拡大している最中です。

■新卒採用も適所適材型へシフト

新卒採用にもおいても、先ほどご紹介したように適所適材型へのシフトを進めています。インターンシップも拡大し、従来の新卒一括採用における課題解決に努めています。

学生視点では、入社後どのような仕事をするのか、自分のスキルがどのように活かせるのかなどを、具体的にイメージできるようにすることがポイントです。事業部視点では、自部門にマッチした人材とコミュニケーションできたり、実際にインターンなど仕事を通じて適性やスキルレベルを確認できたり――、といったメリットが生まれています。

自社の求める人材を獲得するためには、戦略的なストーリーを持って訴求することが必要だと考えています。また、個人と企業の成長がアラインすることで会社は持続的に成長し、優秀な人材も獲得できる。その結果、企業としての魅力向上にもつながると考えています。

パネル ディスカッション【服部氏✕平松氏✕須東氏】

■適切な人材かどうかを面接で判断するためには

須東氏:面接で自社にフィットする、あるいは自社に適切な人材かどうかを判断するには、フリートークがいいと聞いたことがあります。お2人はどのようにお考えですか?

服部氏:オープンクエスチョンは確かに、私が説明した分散を出すのに向いていると思います。ただ、オープンクエスチョンはジャッジする側の力量も必要になってきます。一方で、面接官がそれほど高いレベルでなくても、求める人材を見つけ出す手法があります。

あくまで一例ですが、ある企業では情報感度の高い人材が欲しかったので、面接に来るまでの手法や気になったことを聞きました。すると、単に電車に乗ってきたと答える人がいる一方で、車両を製造しているメーカーを答えるなど、分散が出たそうです。このように、ちょっと工夫した質問をいくつかストックしておくといいと思います。

平松氏:私が担当するのは4次面接など、一定レベルの人材が揃っていることが多いシーンです。そこで5年後、10年後にある新しいテクノロジーが出たと仮定して、そのテクノロジーでどういった社会が実現できるか。実現に向けての阻害要因など仮説をもとにした発想やシナリオを聞くように工夫していましたね。

インターンももっと増やすべきだと考えていますし、入社してから数年間はある意味インターンのような扱いで、人材の見極めや仕事とのマッチングを工夫する必要がある、とも考えています。

また、パーパスに共感できるかどうかも重要だと考えています。入社時にはもちろん、入社してから数年後にも改めて確認し、ズレている場合は無理に合わせようとするのではなく、さまざまなキャリアの選択肢を一緒に考えてあげるのが、現在の流れだと感じています。

■海外の採用事情

須東氏:服部先生は海外の採用にも詳しいですが、日本の採用システムで変えるべき点についてご意見があればお聞きしたいです。

服部氏:ドイツやアメリカの企業を見ていると、私がセッションでご紹介した「ワークサンプル」などの学術用語を知っているなど、人事の方の学習意欲が高く、インプットがしっかりとされていると感じています。

そしてそのようなインプット、理屈や理論を知った上で自社の制度に落とし込んだり、実践したりしているのが、日本企業との大きな違いだと思います。

関連する内容になりますが、インターンシップを行う際にはインターンシップ用の、借物の仕事ではなく、できるだけ現場のシチュエーションに近づけることが大事です。借り物の状況では、借り物の成果しか見ることができないからです。チームの人数を5人から10人に増やしたり、特定の領域に長けた人材をアサインしたりするなど変数を変えることもポイントです。

須東氏:富士通はキャリア採用の方が多くなっていると先ほど話されていましたが、そのような状況で新卒採用を続ける理由はなんでしょう?

平松氏:人材パイプラインを形成する上でも、新卒採用は重要だと思っています。現在キャリア人材の在籍数が多いのはビジネスが転換期にあり、必要なスキルが従来とは異なっているからだと考えているからです。

そのため、その時々のビジネスの状況に応じてどちらの採用に注力するのか、フレキシブルに進めていきたいと考えています。

■現場をどのように巻き込むか

服部氏:富士通では”優秀な人材”についてどのように言語化しているのでしょう?

平松氏:従来の日本型採用のときは大雑把なシステムだったように思います。ジョブ型に移行した際に、ジョブ・ディスクリプションを作成しました。ただ、ポスティングなどで活用する際にジョブ・ディスクリプションを見せても、反応が薄いケースがありました。

そこで、ジョブ・ディスクリプションにそのジョブの魅力を加筆、肉付けしたり、文章で書ききれない場合は現場のメンバーが直接求めている人材像や具体的な業務を挙げたりして、異動希望者に具体的にイメージしてもらうといった取り組みを行っています。

服部氏:つまり、現場の理解が必要だと。一方で現場の理解が求められないという話はよく聞きます。富士通ではどのように取り組んでいったのでしょう?

平松氏:ポスティング制度を拡大したことが大きかったですね。社内で人材の獲得競争になり、各組織がそれぞれの魅力を語る必要に迫られたからです。その仕組みをキャリア採用でも展開していきました。

■人材パイプラインのトレンドとは

須東氏:アメリカにおける人材パイプラインの状況を聞かせてください。

服部氏:あるジョブが空いたときに必要な人材を埋めていく、というのが基本的な人材パイプラインの発想であり、転職市場に向いていました。

ところが最近は、求める人材をストックしていく意味でも人材パイプラインを構築したり、他社で活躍している転職意欲がないような人材に対しても、まずは副業で携わってもらうなどしたりしているそうです。人材パイプラインの概念が広がっていると感じますし、そのアプローチも5年といった長いスパンで行われるなどしています。

須東氏:富士通のお考えはいかがでしょう。

平松氏:アメリカと比べると確かに日本は転職市場が未成熟だと思います。ただ、転職を考える人は増えてきており、今、転換フェーズにあると思っています。実際、マーケットにもそういった人材が増えてきたこともあり、富士通のキャリア採用数も増えたと感じています。

今後はますます流動化が激しくなるでしょうから、積極的に人材パイプラインを形成し、採用を進めている企業が、欲しい人材を獲得できるようになっていくと感じています。

■タレントアクイジションについて

須東氏:タレントアクイジション戦略について、改めてご意見を聞かせてください。

平松氏:戦略的にタレントアクイジションを進めていくには、人材ポートフォリオを事業のポートフォリオに合わせて明確化することが重要だと考えています。ビジネスは大きく変化するからです。

その変化に合わせてビジネスを実現できる人材はどこにいるのか。そして取り組みを現場と人事が一緒行っていくことで、タレントアクイジションのレベルは上がると考えています。

服部氏:繰り返しになりますが、人事・採用担当者が情報感度を上げていくことが重要だと思いますし、一丁目一番地の取り組みだと思います。例えば、即戦力となり得るようなスキルのある大学生は、ある特定のゼミなどに集中していることが多いのですが、アンテナ感度の高い企業ではそのような情報を把握していて、そのゼミに直接アクセスするような動きがあるからです。

須東氏:それぞれの役割分担はいかがでしょう?

平松氏:HRBPはどのような人材を獲得するのか、どんなスキルが必要で、どの組織にフィットするかといった内容を明らかにしなければなりません。一方、採用センターは自社の求める人材がどこにいるのかを、外部の会社と協業して探るなどの役割分担が必要です。それぞれのポジションから連携していくのが理想だと考えています。

■今の人事に必要な要素とは

須東氏:現在はCHROとして活躍する平松さんが、これまで大切にしてきたことをお聞かせください。

平松氏:私はずっと人事畑でそのうち20年間HRBPとして、各部門の担当人事をしていました。このようなキャリアですから各事業に実際に携わっている方たちとコミュニケーションを取りながら、そしてリスペクトしながら現場での腹落ちや共感を得られる仕組みを人事制度に落とし込むことを意識してきました。

服部氏:人事が物事を進めるときにはパワーが必要であり、パワーには種類があります。以前は権限というパワーを持っているから進めることができました。しかし今はそのような時代ではありません。

そこで必要なのが、先ほどから話している情報、専門的なパワーです。もう一つ、「以前に助けてもらった」「人格が尊敬できる」など関係性のパワーもあります。複数のパワーを使い人事戦略を進めていくことがこれからの時代であり、それを実現しているのが富士通の強みであると感じました。

>カンファレンス3日目「2代目バチェラーも参加!多様なキャリア・働き方を実現する、個人と企業はどう動くべきか」のセミナーレポートはこちらから。

取材・文/杉山忠義、編集/鈴政武尊・d’s journal編集部

【関連動画】
【Leading HR online 2023/Day1】人事制度改革から始める、個人のキャリア形成を企業成長につなげる実践論
【Leading HR online 2023/Day2】企業価値を向上させる「攻め」の採用、タレントアクイジション戦略

【関連記事】
カゴメ&参天製薬。ハード・ソフト両面必要、”生き方改革”の先にタレントの自律がある
【社会問題解決のプロ×中途採用のプロ】SDGsが採用と人材育成にもたらす新たな潮流とは
たった3年で従業員数約3倍を達成!!Chatworkの「アジャイル型」採用導入で採用力をアップさせる

【関連資料】
人的資本経営の実現に向けて キャリア開発を促す1on1のポイント
採用取り組み事例:株式会社NTTデータ 「採用候補者とのコミュニケーションの質が明暗分ける」
採用取り組み事例:株式会社いーふらん 年間200人採用成功! 「小さなリーダーをつくる」がコンセプト

【採用のプロの処方箋】採用課題別にお悩み解消!解決のためのケーススタディー〈タスクチェックシート付〉

資料をダウンロード