定量評価とは?定性評価との違いや具体的な手法と評価項目・注意点を解説

定量評価とは?定性評価との違いや具体的な手法と評価項目・注意点を解説

doda人事ジャーナル編集部

定量評価とは、従業員のパフォーマンスや成果を数値化し、客観的に評価する手法です。大きく分けて2種類ある評価手法のうちの一つで、もう一方の定性評価と組み合わせることで人事評価の精度を高められます。

本記事では、定量評価と定性評価の違いを解説し、定量評価を導入する際の注意点やポイントなどをご紹介します。

定量評価の考え方を実務に活かすには、評価項目や評価基準を具体的に整理することが大切です。成果・能力・情意の3指標で整理できる「人事評価シートテンプレート」もご用意していますので、資料ダウンロードしてご活用ください。

定量評価とは

定量評価は、従業員ごとの売上や案件の獲得数、費用の削減率など、数値に基づいて評価を行うため、評価基準が明確になりやすく、客観的に評価しやすい点が特徴です。

その結果、評価の公平性を高めやすくなります。

定量・定性とは?

定量評価と定性評価の違いを解説する前に、まずは「定量」「定性」という言葉の意味を解説します。

人事評価でいう定量とは、数値で表せる評価基準のことです。具体的には売上や顧客満足度(アンケートスコアなど)などが該当し、客観的に評価しやすい基準といえます。

対して定性とは、数値で表しにくい評価基準のことです。「論理的思考力がある」「コミュニケーション能力がある」など、明確な評価軸を設けにくいものがこれに当たります。

定量評価と定性評価の違い

定量評価と定性評価の違い

では、定量評価と定性評価には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。双方の主な相違点は以下の通りです。

【定量評価と定性評価の違い】

定量評価 定性評価
定義 数値で表せるものを評価すること 数値化が難しいものを評価すること
主な評価項目 ●売上
●案件の獲得数
●利益率
●顧客満足度
●クレームの発生率
●ミスの発生率
●残業時間
●勤務態度
●論理的思考力
●コミュニケーション能力
●主体性
●積極性
●チャレンジ精神
●チームワーク
強み 評価者の感覚に左右されにくく、客観的に評価しやすい 定量化しにくい項目も人事評価に反映できる

このように、定量評価と定性評価にはそれぞれ異なる強みがあるため、組み合わせることでより正確に従業員を評価できるようになります。

定量評価が人事評価で重要な理由

定量評価は、人事評価を行う上で非常に重要な手法の一つです。

【定量評価が人事評価で重要な理由】
●評価基準のばらつきを減らし、従業員の納得感を高めるため
●人材育成・人事配置・報酬判断に活用できる評価データを蓄積するため

人事評価の基本的な考え方について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『人事評価とは?意味や目的、実施するメリットと手順・注意点を解説』)

本項では、定量評価が人事評価で重要とされる2つの理由をお伝えします。

評価基準のばらつきを減らし、従業員の納得感を高めるため

定量評価が重要視されている最大の理由は、人事評価の公平性を高められるためです。人事評価では、明確な基準を基に、従業員が納得できる評価を下すことが欠かせません。

評価基準があいまいだと、従業員の人事評価に対する不満がたまり、モチベーションの低下につながる恐れがあります。

その点、明確な数値に基づいて行う定量評価であれば、評価者の主観によって評価基準がばらつくことがなく、公平性が保ちやすくなります。また評価結果の根拠が明確であり、従業員に対して説明しやすいため、フィードバックの面談をスムーズに進められるでしょう。

人材育成・人事配置・報酬判断に活用できる評価データを蓄積するため

人材育成や人事配置、昇給などの判断に役立つデータを収集できることも、定量評価が重要視されている理由の一つです。

定量評価では、従業員一人ひとりのパフォーマンスや成果を数値化できます。これを分析することで、従業員の課題や適性、会社への貢献度などが明らかになります。

こうした分析結果は、人材育成や人事配置、昇給などの判断を行う上で重要な指標となるでしょう。

定量評価で使える評価項目・指標例

続いて、定量評価の主な評価項目と指標例をご紹介します。

【定量評価で使える評価項目・指標例】
●売上や利益に関する項目・指標例
●回数や時間に関する項目・指標例
●行動量・業務プロセスに関する項目・指標例
●品質・顧客満足度に関する項目・指標例
●サーベイ結果に関する項目・指標例
●職種別の定量評価の項目・指標例

売上や利益に関する項目・指標例

項目 ●売上
●案件の獲得数
●利益率
●経費の削減率
●キャンセル率
指標例 売上を指標にすることで、会社への貢献度を客観的に判断する

売上や利益に関する数値は、定量評価の代表的な項目です。従業員が会社にどれだけ貢献しているのかを判断する際に役立ちます。

会社への貢献度を数値化することで、昇給・昇格や賞与の査定を客観的に行えるようになります。

回数や時間に関する項目・指標例

項目 ●研修を受けた回数
●商談の件数
●架電の件数
●残業時間
●業務の処理スピード
指標例 研修を受けた回数を指標にすることで、業務に対する意欲や姿勢を客観的に判断する

回数や時間に関する数値も、多くの企業で定量評価の項目として設定されています。

例えば、研修を受けた回数を指標にすることで、学習への取り組み状況や意欲の傾向を把握する参考になります。また業務の処理スピードを指標にすれば、習熟度や生産性の高さを
推測できるでしょう。

これらの要素が成果に直結するとは限らないものの、経験の浅い従業員や、人事・総務といった間接業務に携わる従業員を評価する際には有効な指標だといえます。

行動量・業務プロセスに関する項目・指標例

項目 ●研修に参加した部下の割合
●チーム内の資格保有者の数
●チーム内の有給休暇の取得率
●OJT計画の実行率
●KPIの達成率
指標例 研修に参加した部下の割合を指標にすることで、管理者のマネジメント能力を客観的に判断する

行動量・業務プロセスに関する数値は、主に管理者を評価する際に活用されています。

管理者の評価は、現場ではたらく従業員の評価と比べて難しい傾向にあります。なぜなら、管理者は本人の成果だけでなく、部下やチーム全体の成果も加味して評価する必要があるためです。

研修に参加した部下の割合やOJT計画の実行率、KPIの達成率などは、管理者のスキルを総合的に評価する際の判断材料となるでしょう。

品質・顧客満足度に関する項目・指標例

項目 ●顧客満足度
●クレームの発生率
●ミスの発生率
●リピート率
●納期順守率
指標例 顧客満足度を指標にすることで、サービスの品質を客観的に判断する

顧客満足度やクレームの発生率といった項目は、サービスの品質を客観的に評価するために設けられます。評価結果を基にサービスの問題点を洗い出して対策を講じることで、顧客満足度の改善、ひいては生産性や売上の向上につながります。

サーベイ結果に関する項目・指標例

項目 ●育成環境に対する満足度
●日々の業務内容に対する満足度
●労働環境に対する満足度
●チームメンバーに対する満足度
●管理者に対する満足度
指標例 育成環境に対する満足度を指標にすることで、従業員研修の効果測定を行う

管理者が労働環境を適切に整備できているかどうかを把握するには、アンケートや従業員サーベイの結果を基に定量評価を行うことが有効です。

従業員研修の後にアンケートを行ったり、管理者への満足度を測るために360度評価を取り入れたりすることで、現場の状況をある程度把握できます。

ただし、アンケートや従業員サーベイの結果は、回答者の主観に左右される可能性があります。そのため、5段階評価などの形式を用いて回答を数値化し、個々の意見だけでなく全体の傾向として把握しやすくすることが重要です。

職種別の定量評価の項目・指標例

項目 ●開発・エンジニア:レビュー修正の回数、インシデントの対応時間
●営業:月間の売上、提案書の提出数
●カスタマーサポート:平均対応時間、顧客満足度
●マーケティング:リードの獲得件数、納期順守率
●人事・経理:プロジェクトの完了率、給与計算の対応件数
指標例 レビュー修正の回数を指標にすることで、業務効率を客観的に判断する

定量評価の適切な項目や指標は、職種によって異なります。

例えば開発・エンジニア職の場合、レビュー修正の回数やインシデントの対応時間を指標にすれば、業務効率を客観的に判断できます。

また営業職であれば、月間の売上や提案書の提出数を指標にすることで、従業員のパフォーマンスや成果を公平に評価できるでしょう。

自社に適した評価項目は、職種や役割に応じて具体的に整理することが重要です。点数記入例付きの「人事評価シートテンプレート」もご用意していますので、自社の評価制度の見直しや運用にぜひお役立てください。

また、職種ごとの役割や評価基準をより明確にしたい方は、以下の記事も参考にしてください。
(参考:『ジョブディスクリプションとは?テンプレートと記載例を使って作成、採用・評価に活用!』)

人事評価での定量評価の進め方

ここでは、人事評価で定量評価を進めていく際の手順をご紹介します。

STEP1.評価目的と職種に応じて評価項目を決める
STEP2.定量目標を設定する
STEP3.KPIとKGIを組み合わせる
STEP4.SMARTの法則で目標の妥当性を確認する
STEP5.目標の達成度をフィードバックする
STEP6.効果測定を行って改善する

各ステップでの具体的な取り組みもお伝えしますので、一つずつ確認していきましょう。

STEP1.評価目的と職種に応じて評価項目を決める

まずは、何のために定量評価を行うのかを明確にした上で、職種に応じた評価項目を設定します。

定量評価の目的や評価項目は、職種によって異なります。従業員の会社への貢献度を把握することが目的であれば案件の獲得数、業務への意欲を把握したいのであれば研修を受けた回数といった具合に、適切な項目を設定しましょう。

目的や評価項目が不適切だと、定量評価を正確に実施できなくなるため、関係者同士で入念に話し合うことが大切です。

評価項目を人事評価シートに落とし込む方法について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『人事評価シートとは?項目や作成方法と書き方の例・無料テンプレートを紹介』)

なお、「どのような評価項目を設定すれば良いのかがわからない…」という方は、厚生労働省が定める「職業能力評価基準」を参考にすることも一つの方法です。

(参照:厚生労働省『職業能力評価基準』/『職業能力評価シートについて』)

STEP2.定量目標を設定する

目的や評価項目を決めたら、次に具体的な定量目標を設定します。定量目標とは、具体的な数値を含む目標のことです。

例としては、「前期比120%の売上を目指す」「ミスの発生率を2%以内に抑える」などが挙げられます。こうした目標を設定することで、目標の達成度を正確に把握できるようになる上、評価者と従業員の間で認識のずれが生じにくくなります。

ただし定量目標が高過ぎる、もしくは低過ぎると、従業員のモチベーションの低下を招いたり、成長を妨げたりする恐れがあります。詳しくは後述しますが、実現可能かつ、従業員や組織全体の成長につながるような定量目標を定めることが重要です。

STEP3.KPIとKGIを組み合わせる

定量目標を設定する際は、目標設定の基本である「KPI(重要業績評価指標)」と「KGI(重要目標達成指標)」を組み合わせましょう。

KPIとは、最終目標(KGI)を達成するためのプロセスを測る指標であり、中間指標として設定されます。

一方、KGIは最終的に達成すべき目標を示す指標です。例えば営業職の場合は、売上をKGIとして設定した上で、その達成に向けた商談の件数や架電の件数などをKPIに定めることが一般的です。

中間目標であるKPIを細かく定めることで、KGIを達成するまでのプロセスが明確になるだけでなく、評価者・従業員ともに課題の改善策を講じやすくなります。

STEP4. SMARTの法則で目標の妥当性を確認する

定量目標が決まったら、「SMARTの法則」を用いて目標の妥当性を確認します。SMARTの法則とは、目標の有効性を確かめるフレームワークの一種です。

次の5つの要素に着目することで、より効果的な目標を設定できます。

1.S(Specific):具体性
2.M(Measurable):計量性
3.A(Achievable):実現可能性
4.R(Relevant):関連性
5.T(Time-bound):期限

定量目標には、SMARTの5つの要素を満たすように設定することが望ましいとされています。SMARTの法則に基づいて、具体的かつ計量性があり、十分に実現可能な定量目標であるかどうかを確認してください。

なお、SMARTの法則については以下の記事でも詳しく解説しています。

(参考:『SMARTの法則とは?上手に活用するための4つのポイントや具体例を解説』)

STEP5.目標の達成度をフィードバックする

人事評価に定量評価を取り入れる際は、従業員に目標の達成度をフィードバックすることが重要です。

定量評価には、評価基準が明確であり、評価結果の根拠を従業員に対して説明しやすいという特徴があります。その特徴を活かしてフィードバックを行えば、従業員に自身の課題を正しく把握してもらえるため、改善に向けた行動を促せるでしょう。

なお、人事評価のフィードバックでは、従業員の努力やポテンシャルなど、定性的な要素にも目を向ける必要があります。定量的な要素のみを評価すると、従業員が「自身の取り組みを正当に評価されていない」と感じ、モチベーションの低下につながる恐れがあるためです。

フィードバックの具体的な方法やポイントについては以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

(参考:『フィードバックとは?意味や目的、期待できる効果と5つの手法を解説』)

STEP6.効果測定を行って改善する

定量評価は、一度導入して終わりというわけではありません。評価制度として適切に機能しているかどうかを定期的に確認し、必要に応じて改善策を講じることが不可欠です。

もしも定量目標の達成度が芳しくない場合は、まず原因を分析した上で、必要に応じて目標の設定や評価指標を見直してみてください。自社の状況に合う適切な目標を設定し直すことで、従業員のモチベーションの向上や組織力の強化につながる可能性があります。

例えば、3カ月に1回を目安に効果測定を実施し、定量評価の有効性を保ちましょう。

定量評価を実施するメリット

次に、定量評価を実施する以下のメリットをご紹介します。

●評価基準が明確になり公平性を高めやすい
●従業員のモチベーション向上につながりやすい
●従業員の成長支援や評価面談に活用しやすい
●組織全体の生産性向上を期待できる

評価基準が明確になり公平性を高めやすい

定量評価を実施する大きなメリットとしては、評価基準が明確であり、公平性を高めやすいことが挙げられます。

定量評価では、具体的な数値を基に従業員を評価します。数値という明確な基準に基づいている分、評価者の主観に左右されることなく客観的に評価しやすいのです。

また、評価に際して目を向けるポイントが明らかになるため、評価者の負担の軽減にもつながります。

従業員のモチベーション向上につながりやすい

評価基準がきちんと数値化されていれば、達成率や社内順位のように明確な目標を設定しやすくなるため、社内での健全な競争を促しやすくなります。

例えば、「営業成績で上位を目指す」「残業時間を〇時間短縮する」といった明確な数値目標を掲げることで、個人のモチベーションや組織の団結力の向上が期待できるでしょう。

従業員のモチベーションを向上させる方法については、以下の記事でも詳しく解説されているので参考にしてみてください。

(参考:『モチベーションとは?アップには何が必要?下がる原因と高める方法を解説』)

従業員の成長支援や評価面談に活用しやすい

評価面談を通じて従業員の成長を支援しやすくなることも、定量評価を取り入れるメリットの一つです。売上やKPIの達成率といった項目を定量目標にすれば、「どの程度の成果を上げているのか」だけでなく「どこに課題があるのか」も把握できます。

これを基に、評価面談で適切な改善策を提案することで、従業員の成長を促せるでしょう。

組織全体の生産性向上を期待できる

定量評価を給与や賞与に反映させることで、従業員にとっては努力が評価に結びつく仕組みが明確になります。その結果、評価に納得感が生まれやすくなり、モチベーションの向上につながる可能性があります。ひいては、組織全体の生産性向上が期待できるでしょう。

また、定量評価は成果の達成度を把握しやすいため、施策の効果を測ることにも役立ちます。うまくいっている組織や個人に共通するポイントを探れば、再現性の高いデータが得られるため、人材育成に活用できるヒントを見つけられる可能性があります。

評価結果を処遇や人材育成に活用する考え方について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『人事考課とは?人事評価との違いや目的、評価項目と書き方のポイントを解説』)

定量評価のデメリット

定量評価には多くのメリットがある一方で、導入前に把握しておきたいデメリットも存在します。

【定量評価のデメリット】
●職種によっては公平性を保ちにくい
●成果以外の行動や貢献を見落としやすい

ここでは、2つのデメリットをお伝えします。

職種によっては公平性を保ちにくい

定量評価には、職種によっては公平性の差が生じる場合があるというデメリットがあります。

定量評価は、営業職やカスタマーサポートなどの、結果を数値化しやすい職種と相性が良い手法といえます。一方、事務職や技術職、介護職などでは、売上や件数といったシンプルな数値だけでは評価しにくいため、公平な評価を行うには工夫が必要です。

公平な人事評価を行えるよう、定量評価と定性評価の特性をしっかりと把握した上で、状況に応じた評価手法を検討することが大切です。

成果以外の行動や貢献を見落としやすい

職種に関係なく、数値化が難しい要素や貢献を評価しにくいことも、定量評価のデメリットです。

例えば勤務態度や主体性、チームへの貢献度といった要素は数値化できないため、定量評価では評価の対象外となります。また、従業員が成果を上げるために取り組んだ努力や工夫なども、定量的に評価することは困難です。

こうした要素をきちんと評価しなければ、従業員が不満を持つだけでなく、成果を数値化できる業務のみに注力する数値偏重の評価に陥る恐れがあります。

成果以外の行動や貢献を公平に評価するためにも、人事評価では定量評価と定性評価のバランスを意識しましょう。

定量評価を導入・運用する際の注意点

定量評価を導入・運用するのであれば、以下の注意点を事前に押さえておきましょう。

●目標数字の達成だけに固執しないように注意する
●社内コミュニケーションや協力行動も評価に含める

目標数字の達成だけに固執しないように注意する

定量評価を導入・運用する際は、従業員が目標数字の達成だけに固執しないよう注意が必要です。

定量目標はあくまで目標であり、必ずしも達成しなければならないノルマとは異なるものであることを理解しておく必要があります。従業員が目標をノルマだと認識して業務のプロセスを軽視し、サービスの品質を落としてしまっては本末転倒です。

定量評価の導入・運用が、自社や従業員にとって逆効果とならないよう、定量目標はノルマではないことを事前に必ず周知してください。

社内コミュニケーションや協力行動も評価に含める

定量評価を導入・運用するのであれば、従業員のコミュニケーション能力や、チーム内での協力体制なども評価に含めましょう。こうした定性的な要素をきちんと評価しなければ、従業員が個人で成果を上げることに固執し、組織全体の生産性が下がってしまう恐れがあるためです。

組織内での活発なコミュニケーションを促し、生産性の低下を防ぐには、定量評価と定性評価のバランスを意識して適切に運用することが重要です。

定量評価を人事評価にうまく導入するポイント

本項では、定量評価を人事評価に導入する際に意識したいポイントをご紹介します。

【定量評価を人事評価にうまく導入するポイント】
●評価基準を事前に共有する
●定量評価と定性評価を組み合わせて評価の偏りを防ぐ
●従業員のモチベーションが維持される適切な目標を設定する
●目標管理制度(MBO)を用いる
●OKRを活用して組織目標と個人目標をつなげる

定量評価を含めた人事評価制度の設計や導入手順について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『人事評価制度とは?導入の5つのステップと注意点を解説』)

評価基準を事前に共有する

定量評価の導入にあたっては、評価基準を従業員に周知しておくことが欠かせません。評価基準が不明瞭(ふめいりょう)なまま定量評価を導入しても、従業員が自身の行動指針を定められないため、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性があります。

従業員一人ひとりが明確な目的を持って業務に当たれるように、「どのような形で会社に貢献してほしいのか」を明らかにした上で、評価基準を必ず共有しておきましょう。

定量評価と定性評価を組み合わせて評価の偏りを防ぐ

繰り返しになりますが、定量評価を導入する際は、定性評価と組み合わせて、数値だけでは測れない努力や貢献も評価することが重要です。

定量評価では、売上や案件の獲得数、利益率などの数値として表れる成果を評価します。対して定性評価では、勤務態度や主体性、チームへの貢献度といった、数値化が難しい要素を評価できます。

つまり両者を組み合わせることで、数値化が難しい要素も多角的に評価できるようになるのです。結果として、人事評価の公平性が高まりやすくなり、従業員の人事評価に対する納得感も増すでしょう。

数値化しにくい行動特性を評価する方法について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『コンピテンシー評価とは?項目例と評価シートの書き方やメリット・デメリットを解説』)

従業員のモチベーションが維持される適切な目標を設定する

定量評価では、従業員のモチベーションの向上につながる、適切な目標を定めることも大切です。従業員の成長を重視するあまり高過ぎる目標を設定すると、達成に現実味がなくなり、従業員のモチベーションの低下を招きかねません。

反対に、目標の達成のみを重視して低過ぎる目標を設定した場合も、従業員の向上心をそいでしまう恐れがあります。こうした事態を避けるためにも、SMARTの法則を活用して適切な目標を設定しましょう。

なお、従業員のモチベーションを保つ方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

(参考:『モチベーションとは?アップには何が必要?下がる原因と高める方法を解説』)

目標管理制度(MBO)を用いる

定量目標を定める際のポイントとしては、目標管理制度(MBO)を活用することも挙げられます。

MBOとは、経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した目標設定の手法です。従業員が評価者と話し合いながら個人目標を決めることが特徴で、会社の経営戦略やビジョンに合う目標を設定できるというメリットがあります。

MBOを導入する際の手順やポイントについては、以下の記事で確認してください。

(参考:『MBO(目標管理)とは?メリットや導入手順をシートを交えて解説』)

OKRを活用して組織目標と個人目標をつなげる

OKRを活用することも、定量評価を人事評価に導入する際のポイントの一つです。

OKRとは、組織としての最終的な「目標(Objectives)」と、その達成度を把握するための「主要な結果(Key Results)」を定め、目標達成の進捗(しんちょく)を管理するフレームワークです。

主要な結果に従業員の個人目標を当てはめることで、「個人の成果が組織の成長につながる」という認識を組織全体に浸透させやすくなります。

なお、似た概念であるKPIとの違いや具体的な運用方法は、以下の記事で解説しています。

(参考:『OKRとは?意味・KPIとの違い・運用方法をわかりやすく解説』)

定量評価に関するよくある質問

最後に、定量評価に関する疑問にお答えします。

Q1:定量評価とは簡単に言うと何ですか?
Q2:定量評価でよく使われる項目は何ですか?
Q3:定量評価を導入する際の注意点はありますか?

Q1:定量評価とは簡単に言うと何ですか?

定量評価とは、従業員のパフォーマンスや成果を数値化し、客観的に評価しやすい手法です。
数値目標の達成度を基に評価するため、公平性を高めやすく、従業員の納得も得やすいという特徴があります。

Q2:定量評価でよく使われる項目は何ですか?

定量評価の代表的な項目は、以下の通りです。

【定量評価でよく使われる項目】
●売上
●案件の獲得数
●研修を受けた回数
●商談の件数
●研修に参加した部下の割合
●チーム内の資格保有者の数
●顧客満足度
●クレームの発生率

定量評価を導入する際は、自社の状況や従業員の職種に応じて項目を選ぶ必要があります。「どのような項目を設定すれば自社や従業員の成長につながるのか」を考慮して、適切な項目を設定しましょう。

Q3:定量評価を導入する際の注意点はありますか?

定量評価を取り入れる際は、従業員が目標の達成に固執することがないように注意してください。従業員同士が個人の定量目標の達成だけを競い合うようになると、チーム内でのコミュニケーションが減り、組織全体の生産性が下がってしまう恐れがあります。

こうしたリスクを減らすには、定量評価のみに偏重せず、定性評価と組み合わせることが大切です。数値化できる要素だけでなく、数値化できない要素もしっかりと評価しましょう。

まとめ

定量評価は、売上や案件の獲得数、費用の削減率などの具体的な数値を基に従業員を評価する手法です。評価者の感覚に左右されることなく、客観的に評価しやすいというメリットがあります。

一方で、定量評価には「職種によって向き・不向きがある」「数値化が難しい要素を評価できない」などのデメリットも存在します。こうしたデメリットを把握せずにやみくもに定量評価を導入すると、従業員の人事評価に対する不満が高まり、モチベーションの低下を招きかねません。

定量評価と定性評価を組み合わせつつ、適切な目標を設定して、自社と従業員の成長につながる効果的な人事評価制度を確立しましょう。

定量評価を現場で運用するには、評価者が共通の基準で判断できるシートを用意しておくことが大切です。成果・能力・情意の3指標で整理できる「人事評価シートテンプレート」もご用意していますので、自社の評価制度の見直しや運用にご活用ください。

人事評価制度の設計や導入手順について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『人事評価制度とは?導入の5つのステップと注意点を解説』)

(制作協力/株式会社eclore、編集/doda人事ジャーナル編集部)

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