ミスマッチとは?原因や防止策、発生後の対処法と企業事例を解説

d’s JOURNAL編集部
ミスマッチとは、日本語で「不一致」や「不釣り合い」を意味する単語で、ビジネスシーンでは企業と採用した人材の間に生じるすれ違いのことを指します。活躍が見込める人材を採用し、かつ自社に長く定着してもらうには、このミスマッチを減らす必要があります。
この記事では、ミスマッチが発生する原因と、対処する際のポイントを併せて解説します。
ミスマッチを防ぐには、原因を理解するだけでなく、選考時の評価観点を整理することも重要です。関係者間で評価基準を共有するための面接評価シート(無料テンプレート)を以下からダウンロードいただけます。
ミスマッチとは
ミスマッチ(mismatch)とは、「不一致」や「不釣り合い」を意味する単語です。日常生活の中でも使われることがありますが、特にビジネスシーンでは、企業と採用した人材の間に、業務内容や待遇面で認識の齟齬(そご)や不一致が生じた際に用いられます。
採用でミスマッチが発生すると、採用した人材のモチベーションや生産性が低下し、早期離職してしまう場合もあります。従って採用活動では、選考段階で自社と転職希望者の相性をしっかりと確認し、ミスマッチが発生しないように努めることが重要となるのです。
ミスマッチとアンマッチの違い
ミスマッチと類似した単語として「アンマッチ」があります。どちらも「不一致」を意味する単語ではありますが、以下に示すとおり発生するタイミングが異なります。
【採用におけるミスマッチとアンマッチの違い】
●ミスマッチ:採用は成立したものの、その後企業と人材の間で不一致が生じた
●アンマッチ:企業と転職希望者が互いに求める条件が一致せず、採用に至らなかった
ミスマッチが採用後に生じるのに対して、アンマッチは採用前に発生するものです。応募や選考段階で企業と転職希望者の相性を見極めて、双方の求める条件が一致していないと判断された状態が、アンマッチとなります。
採用活動においてミスマッチが問題視されている理由
採用のミスマッチによる人材の早期離職は、企業にとっての大きな機会損失にほかなりません。また、人材が早期離職した場合、採用活動をやり直すこととなり、その分採用コストがかさみます。
人事・採用担当者や現場の担当者の負担も増えて、例えば、欠員によって既存メンバーの残業や業務量が増える、引き継ぎが不十分で顧客対応が滞る、納期遅延や品質低下が起きるなど、自社の主要業務にまで影響が出る可能性もあるでしょう。
このように、採用活動でのミスマッチは企業運営の根幹に大きく関わる問題なので、早急に対策を取る必要があるのです。
採用で起こりやすいミスマッチの種類
採用活動では、実際に何が原因となってミスマッチが生じるのでしょうか。
【採用で起こりやすいミスマッチの種類】
●雇用条件に関するミスマッチ
●業務内容に関するミスマッチ
●スキル面でのミスマッチ
●企業風土・はたらき方に関するミスマッチ
●人間関係・コミュニケーションのミスマッチ
この項では、特に多いと考えられるミスマッチの種類を紹介します。
雇用条件に関するミスマッチ
雇用条件に関するミスマッチとは、給与や労働時間、休日のあり方などについて、企業と人材の間で認識の齟齬や不一致が生じた状態を指します。基本的には、企業側の事前説明が不十分であるか、転職希望者の認識不足によって起こる問題です。
業務内容に関するミスマッチ
従業員の希望する業務と実際の業務にズレが生じてしまうミスマッチのことです。「希望の部署に配属されなかった」「業務内容に関心が持てない」といった問題が生じると、仕事そのものへのモチベーションが低下してしまい、早期離職の原因にもなり得ます。
業務内容に関するミスマッチは、採用段階だけでなく、勤続中の配置転換などで生じる可能性もあるため、人事活動全般で注意が必要な現象といえるでしょう。
スキル面でのミスマッチ
企業が求める要素と、従業員が持つスキル・適性との間でミスマッチが起こることもあります。採用段階で転職希望者のスキルや経験を十分に見極められず、入社後にはじめて「想像している以上に経験が不足していた」「スキルと業務の相性が合わなかった」という点に気づくケースもめずらしくありません。
その反対に、企業が求める役割に対して、従業員のスキルが大きく上回ってしまうというミスマッチも存在します。この場合は、本人は能力を持て余してしまうため、やはりモチベーションの低下や早期離職を招きやすくなります。
企業風土・はたらき方に関するミスマッチ
企業のカルチャーと従業員の性格・価値観が合わないことで起こるミスマッチもあります。従業員が入社前にイメージしていたものと実際の企業風土が異なる場合、入社後にミスマッチに気づくというケースも少なくはありません。
具体的には、「トップダウンかボトムアップか」「個人プレーかチームプレーか」「成果主義か年功序列か」といった認識の違いが挙げられます。企業の方針や文化などは、数値化したり言語化したりすることが難しいため、ミスマッチにつながりやすい面があるといえるでしょう。
企業風土や価値観の相性を採用時にどう見極めるかについて詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(関連記事:カルチャーフィットとは?重要性と採用時の見極め方を解説)
人間関係・コミュニケーションのミスマッチ
人間関係のミスマッチは、同僚だけでなく上司と部下の関係性など、さまざまな立場間で起こり得る問題です。職場の人間関係に関するトラブルは、早期離職の主要な原因とされているため、特に注意が必要となります。
また、人間関係がうまくいかないことによるコミュニケーション不足は、生産性の低下や思わぬミスにもつながります。しかし採用前にこうした問題を予測することは難しいため、ミスマッチが生じていることに気づいたら、早急に対応することが重要です。
ミスマッチが生じてしまう4つの原因
企業と入社した人材の間でミスマッチが生じる原因としては、主に以下の4つが挙げられます。
1.採用情報と実態が乖離(かいり)している
2.転職希望者のニーズをくみ取れていない
3.選考時の見極めの精度が低い
4.入社後のフォローが不足している
それぞれの詳細を順に解説します。
1.採用情報と実態が乖離(かいり)している
一人でも多くの転職希望者に興味を持ってもらうため、自社の魅力を全面的にアピールすることは大切です。しかし良い側面ばかりを発信すると、人材が実態を知った際に「最初に聞いていた話と違う」とギャップを感じてしまいます。
例えば、繁忙期に残業が多くなる事実を隠して「普段は残業がほとんどない」と伝えると、入社後に大きなギャップが生じて不信感を与えてしまうかもしれません。先輩社員の華やかな活躍を聞いて入社したものの、入社直後に携われる業務は地味なものばかりだった、という理由からミスマッチが生じることもあります。
また、厳密にいえばミスマッチとは異なりますが、実際とは異なる事実を採用時に伝えてしまった場合にも、モチベーションの低下を招きかねません。特に、従業員本人のキャリア形成に大きな影響を与えるギャップがあれば、大きなトラブルへと発展してしまうでしょう。
2.転職希望者のニーズをくみ取れていない
転職希望者の意向を企業が十分にくみ取れていないことも、ミスマッチの原因となります。自社に必要な人材を採用するために、求める要件を満たしているか、また社風に合っているかなどを入念に確かめることは間違いではありません。
しかし、その点にばかり意識が向くと、転職希望者のニーズの把握がおろそかになって、すれ違いが発生してしまいます。
また、企業側の要件を一方的に伝えると、入社後の待遇や労働条件について転職希望者が質問しづらくなり、疑問点がそのまま残ってしまう可能性もあります。そのまま転職希望者を採用すると、お互いの希望条件が合っていなかったことが入社後に発覚して、ミスマッチを起こしてしまうのです。
3.選考時の見極めの精度が低い
ミスマッチの原因としては、転職希望者の適性を選考段階で十分に見極められていないことも挙げられます。
書類選考や面接を通じて、転職希望者の適性をある程度は確認できますが、実際のはたらき方や根底にある価値観までは把握しきれないでしょう。
また、採用基準が人事・採用担当者間で統一されていない場合は、採用するかどうかの判断が属人的になり、自社に合っていない人材を採用してしまう可能性があります。
結果として、「任せるはずだった業務に対応してもらえない」「ほかのメンバーとの相性が悪い」といったミスマッチが発生し、さらには早期離職へとつながってしまいます。
選考の見極め精度を高めるには、評価観点を整理し、面接担当者間で共通の基準を持つことが重要です。評価項目を整理した以下の面接評価シート(無料テンプレート)を、実務での選考整理にご活用ください。
選考の属人化を防ぐために面接官育成の進め方を押さえたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(関連記事:面接官トレーニングとは?習得可能なスキルと知識、トレーニング方法を解説)
4.入社後のフォローが不足している
中途採用で十分なスキルがある人材だとしても、新しい環境でいきなり成果を出すことは難しいでしょう。入社後のフォローやオンボーディング施策が不十分だと、新しい環境にいつまでもなじめず、実力を発揮できない状態が続いてしまうと考えられます。
またフォロー体制が整っていないと、入社直後に人材が抱く不満に気づけず、それが大きなミスマッチの元になってしまう可能性もあります。
上記のような事態を避けるためにも、早期離職の予防に効果的なオンボーディング施策に取り組みましょう。オンボーディングについては以下の記事で詳細に解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
(参考:『オンボーディングとは?5つのメリットと2つの導入事例【施策シート付き】』)
ミスマッチが企業にもたらすデメリット
ここからは、ミスマッチが企業にどのようなデメリットをもたらすのかを、さらに深掘りしていきます。
【ミスマッチが企業にもたらすデメリット】
●生産性やモチベーションの低下を引き起こす
●早期離職が発生し採用コストが増える
●自社にノウハウが蓄積されない
●現場のマネジャーやほかの従業員にも影響が出る
生産性やモチベーションの低下を引き起こす
従業員の持っているスキルが自社の業務内容に合っていなければ、本人が実力を発揮できず、生産性は下がると考えられます。また、社風のミスマッチが原因で、ほかのメンバーとの関係性が構築できていないという状況も、生産性の低下を招く要因の一つです。
上記のようなミスマッチが生じている状態では、モチベーションを維持することも難しいでしょう。一人のモチベーションが下がると、周囲のメンバーもそれに影響される恐れがあり、最終的にはチームや組織全体の生産性も下がる可能性があります。
早期離職が発生し採用コストが増える
ミスマッチが原因で従業員が早期離職した場合は、新しい人材を採用し直すことになり、その分のコストが追加で発生します。求人広告費や人材紹介サービスなどの費用だけではなく、研修やOJTのための工数なども必要となるため、単純な金額以上の負担がかかると考えられます。
早期離職が企業に与える影響については、以下の記事でも詳細に解説しているので、併せてご覧ください。
(参考:『早期離職が起こる理由とは?離職率の傾向や対策方法を解説』)
自社にノウハウが蓄積されない
中途採用は、自社に新しい知識やノウハウを取り入れることも目的としています。しかし、採用した人材が早期離職してしまっては、その目的が達成できず、自社のさらなる発展も望めません。
また、人材が早期離職しなかったとしても、自社が求めていたスキルを持っていない、あるいは組織になじめないという状況では、ノウハウを蓄積することもままならないでしょう。
現場のマネジャーやほかの従業員にも影響が出る
自社の業務に適性のない人材を採用してしまうと、教育担当となる現場マネジャーの負担が増えて、本来の業務に支障を来します。場合によっては、マネジャー以外の従業員にもタスクのしわ寄せがいくこともあるでしょう。
そうなると、チーム全体で業務に対するモチベーションが低下し、生産性が大きく下がる恐れがあります。最悪の場合「この会社は辞めたほうがいいのかもしれない」と考える従業員が増えて、連鎖的に離職者が出る、ということも起こり得ます。
ミスマッチを防ぐためのポイント
ミスマッチを防ぐ上で意識したいポイントは以下の通りです。
●求人票・採用情報で自社の状況を正しく伝える
●適性検査を実施する
●リファレンスチェックを実施する
●試用期間や体験入社の機会を設ける
●リファラル採用を実施する
●入社後のフォローやオンボーディング施策を強化する
●定期面談・満足度ヒアリングを実施する
それぞれの詳細を順に解説します。
求人票・採用情報で自社の状況を正しく伝える
採用でのミスマッチを防ぐには、まず求人票や採用情報に自社の状況を正確に反映しましょう。アピールポイントだけではなく改善が必要な点も記載し、自社の実態を正直に伝えることが大切です。
「ネガティブな情報を伝えると採用活動に影響が出るのではないか」と思われる人事・採用担当者もいらっしゃるでしょう。
しかし、内情を包み隠さず伝える姿勢を見せることで「この企業は誠実で信頼できる」と好印象を与えられる可能性もあります。インターネットで簡単に情報を調べられる現代だからこそ、誠実さを示すことが重要となるのです。
自社に合う人材像を明確にしたうえで採用情報を設計したい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(関連記事:採用ペルソナとは?項目例・設定の手順・具体例をまとめて紹介【テンプレート付】)
適性検査を実施する
適性検査を実施して自社に合っているかどうかを確かめる、という方法もあります。
適性検査とは、四則演算や文章問題などの回答結果から、転職希望者の業務への適性や人柄、性格などを把握するテストです。選考に導入すれば、転職希望者の適性を判断するための補助となり、人事・採用担当者の負担軽減につながります。
なお、適性検査にもさまざまな種類があり、出題される問題の内容や難易度が異なります。転職希望者に求めるスキルや選考の進め方などを考慮した上で、自社に合ったものを導入しましょう。
リファレンスチェックを実施する
採用のミスマッチを回避する手段としては、リファレンスチェックの実施も効果的です。
リファレンスチェックでは、転職希望者の同意を得た上で、前職の上司や同僚などにヒアリングを行い、過去の勤務態度や実績、対人関係などを調査します。転職希望者の実際の振る舞い方や他人との接し方を把握することで、自社との相性をより正確に判断できるようになります。
リファレンスチェックについて詳細に知りたい人事・採用担当者は、以下の記事も参考にしてください。
(参考:『リファレンスチェックとは?実施する目的や質問事項、チェックポイント』)
試用期間や体験入社の機会を設ける
転職希望者の人となりをより深く知りたいのであれば、試用期間や体験入社の機会を設けましょう。実際にはたらいてもらうことで、どのような業務なら任せられるか、またほかのメンバーとの相性は良いかといったポイントを、直接確かめられます。
また、転職希望者も企業の実態を事前に把握できるため、双方にとって有意義な取り組みだといえます。試用期間や体験入社を通じてお互いに理解を深め合えば、入社後にミスマッチが発生するリスクも大きく減らせるでしょう。
リファラル採用を実施する
ミスマッチの防止策としては、リファラル採用も挙げられます。リファラル採用は、従業員の知人を新しい人材として紹介してもらう採用手法です。
従業員からの紹介ということで、自社の内情をある程度把握している人材を採用できる可能性があります。人材側も、疑問点や不明点を事前に知り合いの従業員に聞けるため、総じてミスマッチが発生しにくい採用手法だといえます。
リファラル採用の基本や導入時のポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(関連記事:リファラル採用とは?導入のメリット・デメリットやインセンティブの金額、注意点を解説)
入社後のフォローやオンボーディング施策を強化する
入社前に転職希望者の適性をしっかりと確かめるだけではなく、入社後のフォローやオンボーディング施策を手厚くすることも重要です。入社直後の不安な気持ちを解消し、自社にいち早くなじめるようにサポートすれば、「自分はこの会社に歓迎されている」という前向きな感情を引き出せます。
具体的な施策としては、入社直後から先輩社員をOJTとしてアサインする、また相談用の窓口を設けるといったものが挙げられます。また、ランチミーティングや懇親会など、社内コミュニケーションを活発にするための施策も併せて取り組みたいところです。
新入社員に対する研修を行う際は、ぜひ以下の記事を事前にご覧ください。理想的な研修の内容や、カリキュラムを作成する流れなどを解説しています。
(参考:『新入社員研修とは?求められるスキルと内容、実施期間を解説』、『新人研修カリキュラムの作り方と手順を解説【無料テンプレート付】』)
定期面談・満足度ヒアリングを実施する
定期的に面談を行って、職場に満足できているか、また何か不満がないかなどを尋ねることも大切です。人材が抱えている不満を早い段階で把握し、適切にフォローすれば、ミスマッチの発生を未然に防げます。
定期面談は、直属の上司や先輩社員との1on1という形で実施すると良いでしょう。可能であれば入社前から連絡を取り、早い段階から信頼関係を構築できると理想的です。
採用前に実施する転職希望者との面談や、従業員満足度については以下の記事でも解説しているので、併せてご覧ください。
(参考:『面談とは?目的や種類、成果が出る面談のポイントなどを解説』、『従業員満足度(ES)とは?要素と向上するメリットと施策を解説』)
ミスマッチの早期発見に活用できるチェックリスト
ミスマッチを防止して早期離職を防ぐには、その前兆に早い段階で気づき対処する必要があります。以下に、ミスマッチの前兆と思われる従業員の行動や特徴を整理したので、チェックリストとして活用してください。
【ミスマッチ早期発見のためのチェックリスト】
| 分類 | 項目 |
|---|---|
| 行動面での前兆 | ●遅刻や欠勤が増えていないか ●休憩時間に一人で過ごすことが増えていないか ●体調不良を訴えることが増えていないか ●懇親会や飲み会への参加を避けていないか |
| メンタル面での前兆 | ●業務や自社に対する不満が増えていないか ●「辞めたい」「転職したい」という発言が増えていないか ●職場で暗い表情をしていないか |
| 業務面での前兆 | ●業務でのミスが増えていないか ●成果物のクオリティが下がっていないか ●納期や期限を守れないことが増えていないか ●報告・連絡・相談が減っていないか |
該当する項目が多い従業員に対しては、面談を実施して、本人の気持ちに配慮しつつ悩みや不安をヒアリングしましょう。
入社後に生じる理想と現実のギャップについて詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(関連記事:リアリティショックとは?起こる原因と影響・対策を解説)
ミスマッチが起きてしまった場合の対処法
事前に対策を講じていても、ミスマッチが発生してしまうことはあります。その際は、以下の対処法を実施しましょう。
●ヒアリングを行う
●配置転換や業務調整を行う
●原因を分析して再発防止に努める
●定期的に状況を確認する
ヒアリングを行う
ミスマッチが発覚したら、まずは本人に対するヒアリングを実施しましょう。「何に困っているのか」「今の職場の何が不満なのか」などを尋ねて、ミスマッチを引き起こしている要因を明らかにします。
この際、相手が本心を率直に話せるように、会議室ではなく、カフェスペースなどリラックスできる場所をヒアリングの場として選ぶことをお勧めします。
また、ミスマッチが生じている従業員の上司にも、併せてヒアリングを実施できると最適です。周囲から見てどのような様子であったかを把握することで、ミスマッチの原因を多面的に分析できるようになります。
配置転換や業務調整を行う
次に、ヒアリングの結果と当該従業員の適性や希望を考慮した上で、部署の異動や業務の調整などを行います。当該従業員の強みや、本人がやりたいことを活かせる業務にアサインすれば、モチベーションが回復し早期離職のリスクも減ると考えられます。
原因を分析して再発防止に努める
ミスマッチが解消できたからといって、そこで安心してはなりません。根本的な原因を分析し、適切な再発防止策を講じなければ、再度ミスマッチが生じる可能性があります。
本記事内でも紹介しましたが、ミスマッチが生じる原因としては主に以下が挙げられます。
【ミスマッチが生じる原因】
●入社前に聞いていた情報と実態の間に乖離(かいり)がある
●転職希望者のニーズをくみ取れていない
●自社が求めるスキルや経験を持っていない人材を採用している
●入社後のフォローが不十分である
上記のいずれかが原因であることを特定できたら、社内で予防策を検討し、実行に移しましょう。
定期的に状況を確認する
ミスマッチが解消されたあとも、当該従業員に対しては定期的に声がけを行います。「状況は良くなったか」「ほかに悩んでいることはないか」などを尋ねて、問題が再発していないかどうかを確かめましょう。
継続的なコミュニケーションを取り続けて、ちょっとしたことでも感謝したり褒めたりすることが、従業員が安心してはたらける職場をつくる上では欠かせません。
ミスマッチ防止に取り組む企業の事例
ここで、ミスマッチを防ぐために、企業が実際に行っている取り組みをご紹介します。
【ミスマッチ防止に取り組む企業の事例】
●動画メディアでの情報掲載|株式会社moovy
●ゲーム選考の導入|レクストホールディングス株式会社
動画メディアでの情報掲載|株式会社moovy
株式会社moovyでは、採用動画メディア「moovy」を運営し、企業の採用動画の制作やサポートをしています。掲載されている動画は、転職希望者という段階を考慮して全て30秒に設定。
内容も「年収」「時間」「場所」などの定量的な情報ではなく、転職希望者が知りたいと考える「企業の風土や慣行」「配属される部署のメンバーの特徴」「将来のキャリアパス」などの定性的な情報がメインです。
カジュアルでリアルな動画を通して、人材採用でのミスマッチと機会損失の防止に貢献しています。
(参考:『脱「おしゃれ採用動画」。採用のミスマッチを防ぐ動画メディアの活用法』)
ゲーム選考の導入|レクストホールディングス株式会社
レクストホールディングス株式会社は、RPG(ロールプレイングゲーム)の要素を取り入れた「ゲーム選考」を導入し、ユニークな採用活動で注目を集めています。5~6人のグループでテーブルにつき、実際にロールプレイングゲームをしながらそれぞれの個性を見極め、選考時の評価として活用していく仕組みです。
ゲームを通してコミュニケーションを図る中で、転職希望者の素の表情や人柄が見られるとともに、リラックスした雰囲気で企業の姿勢や理念を理解してもらえる点が魅力となっています。
さらに、同社では入社後も本配属までの間に同じゲームを行い、従業員の個性や価値観を反映させた柔軟な配属制度を実現しています。
(参考:『採用に「ゲーム選考」導入。応募数が数千人に増加、ミスマッチも減少し3年以内の離職率5%を達成したスタートアップの取り組み』)
ミスマッチに関するよくある質問
ここまでの内容を踏まえて、最後にミスマッチに関するよくある質問にお答えします。
【ミスマッチに関するよくある質問】
●ミスマッチとは日本語でどういう意味ですか?
●ミスマッチとアンマッチの違いは何ですか?
●ミスマッチの具体例は何ですか?
ミスマッチとは日本語でどういう意味ですか?
ミスマッチ(mismatch)は、日本語で「不一致」や「不釣り合い」を意味します。ビジネスシーンでは、企業と採用した人材の間で、業務内容や待遇面について認識のずれが生じることを指します。
ミスマッチとアンマッチの違いは何ですか?
ミスマッチとアンマッチはどちらも「不一致」を意味しますが、発生するタイミングが異なります。
ミスマッチは、採用後に生じる企業と人材の間の不一致を意味するものです。それに対してアンマッチは、企業と人材が互いに求める条件が一致せず、そもそも採用に至らなかったケースを指します。
ミスマッチの具体例は何ですか?
ミスマッチの具体例としては以下の例が挙げられます。
【ミスマッチの具体例】
●給与や労働時間などの雇用条件で折り合いがつかない
●企業の社風やほかのメンバーの雰囲気になじめない
●希望していた業務と実際の業務の内容に乖離がある
●人材の持つスキルが業務で活かせるものではなかった
このように、ミスマッチにもさまざまな種類があり、ケースバイケースで適切な対策を講じる必要があります。
まとめ
人材採用でのミスマッチは、従業員と企業のそれぞれに大きなデメリットをもたらします。自社に合った人材を採用できても、企業理念や社風、業務内容などについて納得や共感が得られなければ、期待どおりの活躍はしてもらえません。
ミスマッチは企業側の工夫やアプローチによって、ある程度未然に防ぐことができます。また、入社後のフォロー体制を整えることで、ミスマッチにつながりそうな場面でも回避できる可能性があります。
人材の採用に悩みを抱えている場合は、ミスマッチを人事・採用担当者のみの課題として捉えるのではなく、企業全体としての問題として向き合うことが大切です。原因を丁寧に究明して必要な施策を見極め、自社に合った形で実行に移してみましょう。
ミスマッチを防ぐためには、採用プロセス全体を見直し、評価観点を整理することが重要です。面接時の評価基準を整理できる面接評価シート(無料テンプレート)を、実務の参考資料としてご活用ください。
(制作協力/株式会社eclore、編集/d’s JOURNAL編集部)
【動画】応募者のミスマッチを防ぐ方法とは?(dodaセミナー)
資料をダウンロード
