通年採用とは?新卒採用との違いやメリット・デメリット、難しい理由を解説

通年採用とは?新卒採用との違いやメリット・デメリット、難しい理由を解説

d’s JOURNAL編集部

通年採用とは、さまざまな人材を対象に年間を通じて採用活動を行うことです。人材不足の深刻化や企業活動のグローバル化が進む今日では、どの企業にとっても重要度の高い取り組みだといえます。しかし、新卒採用と実際にどのような違いがあるのか、詳細に把握していない人事・採用担当者もいるでしょう。

そこで今回は、通年採用の概要やそのメリット・デメリット、また成果を出すためのポイントなどを徹底解説します。

この記事では通年採用の全体像と進め方を整理します。実務で使う求人票やスカウト文、面接質問・評価のたたき台も一緒に整えたい方は、「ChatGPT採用プロンプトテンプレ」を資料ダウンロードしてご活用ください。

通年採用とは

通年採用とは、その名のとおり、企業が年間を通して実施する採用活動のことです。特定の時期に集中して人材を採用するのではなく、事業計画や自社内の人材ニーズに応じて適宜新しい人材を募集します。

企業がより多くの人材にアプローチできるようになるだけではなく、学卒者や転職希望者が企業に応募するチャンスも増えるため、双方にとってメリットがあるといえます。日本では従来、春に新卒者を一括採用するという形で人材を募集してきました。

しかし、採用の売り手市場が続く近年では、留学生や帰国子女、また第二新卒者や転職希望者など、さまざまな人材を採用する必要性が高まってきています。採用の対象を新卒者に限らず、そういった多種多様な人材を採用するためにも、年間を通して柔軟に採用の機会を設ける必要があるのです。

なお企業によっては、特定の職種だけを通年で採用してほかは新卒者を採用する、というふうにハイブリッドな運用を行っている場合もあります。自社の採用活動の課題に合わせて、最適な運用方法を検討することが大切です。

新卒採用との違い

通年採用は年間を通じて採用活動を行いますが、新卒採用では卒業予定の学生を対象として、一定の期間で採用活動を実施します。同じ時期に一括して採用することで、多くの人材の採用につながるほか、採用にかかる費用を抑えられます。

しかし、新卒採用の場合、認知度の高い企業でなければ多くの人材を採用することが難しいケースも多いものです。特に人材不足が生じている業界であれば、中小企業にとって人材を採用することが難しい場合もあるでしょう。

一方、通年採用であれば時期に関係なく募集をかけられるため、新卒採用では出会えない人材との接点を持つことが可能です。既卒者や留学生など、多様な経験を備えた人材の採用につながる点は大きなメリットだといえます。

また、採用選考にじっくりと時間をかけられるため、採用後のミスマッチを防ぐといった効果も期待できます。自社の採用状況に応じて、新卒採用と通年採用をうまく使い分ければ、自社に合った人材をより効率良く採用できるでしょう。

新卒採用について、さらに詳しく調べたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『新卒採用とは?メリットやデメリット、中途採用との違いを解説』)

中途採用との違い

通年採用と中途採用は、採用の対象とする人材の範囲に違いがあります。

多種多様な人材が対象となる通年採用ですが、新卒採用の一環として行われることも少なくありません。その場合は新卒採用と同様に、職務経験やスキルの豊富さなどよりも、ポテンシャルや学習意欲の高さが重視されます。

対して中途採用は、即戦力となる人材を採用することを目的とした採用活動です。よってその対象は、基本的にある程度の実務経験がある転職希望者となり、評価を行う際にも過去の実績やスキルの有無などを重点的にチェックすることとなります。

少しでも多くの人材層を対象に採用活動を行うなら通年採用を、即戦力となる人材を採用するという明確な目的があるなら中途採用と使い分けられると良いでしょう。

通年採用の目的

通年採用の目的は、1年を通して継続的に採用活動を行い、さまざまな人材と出会える機会を増やすことにあります。従来の新卒採用では、例えば留学生など、日本の採用スケジュールに合わせられない人材を採用することが困難でした。

しかし通年採用の導入によって、そういったこれまで取りこぼしていた層にも企業がアプローチできるようになりました。

また通年採用は、新卒採用のように入社時期を統一する必要もないため、応募者一人ひとりのスケジュールに合わせて、時間をかけて選考を進められます。これにより、必要に応じて選考回数を増やす、また長期のインターンシップを提案するといった対応も可能となり、人材の適性をより的確に見極められるようにもなったのです。

「より多くの人材と出会う機会を得る」「一人ひとりに時間をかけて選考する」というこの2点が、通年採用の大きな目的だといえるでしょう。

通年採用の状況

就職みらい研究所が公表している『就職白書2025』によると、2025年卒の学生を対象に通年採用を実施した企業の割合は33.6%となっています。

また、2026年卒の学生を採用する際の手法として、通年採用の利用を検討している企業の割合は全体の35.1%と微増しています。このように現在は約3割の企業が通年採用を導入しており、一般的な採用手法として徐々に浸透してきている状況であるといえるでしょう。

少子高齢化が進み、人材不足が一層深刻な問題となりつつある昨今では、新卒採用だけに頼った採用活動が限界を迎えつつあります。こうした状況下で、採用活動で安定した成果を出すために、多くの企業が通年採用を取り入れ始めたものと考えられます。

(参照:就職みらい研究所「『就職白書2025』データ集」)

経団連の動き

通年採用が一般的な採用手法として広まり始めた背景には、日本経済団体連合会(経団連)の動きも関係しています。

経団連は2018年、それまで同団体が主導となって策定してきた「採用選考に関する指針」を、2021年度以降廃止することを決定します。デジタル化やグローバル化の影響による時代の変化に合わせて、採用活動のあり方を見直す必要があると判断したためです。

またこの決定に付随して、今後は新卒採用だけではなく、通年採用などの多様な選択肢を設けていく必要がある、という考えも示しました。

上記の決定を受けて、政府主導の下で新しく採用活動の開始時期に関する指針が検討され、採用スケジュールが見直されることとなりました。その結果として、一部の業界や企業が通年採用の導入を検討し始め、今日の状況に至っているというわけです。

(参照:一般社団法人日本経済団体連合会『今後の採用と大学教育に関する提案』)

大企業・中小企業での導入率の違い

就職みらい研究所の『就職白書2025』によると、従業員数の規模によって企業ごとの通年採用の導入率に違いがあることが示されています。

【従業員規模による通年採用の導入率の違い(2025年卒対象)】

従業員数 通年採用の導入率
300人未満 38.1%
300~999人 31.5%
1,000~4,999人 29.8%
5,000人以上 33.7%

(引用:就職みらい研究所「『就職白書2025』データ集」)

通年採用の導入率が最も高い区分は従業員数300人未満の企業で、全体平均も上回っています。

大手企業と比較すると、従業員数300人未満の中小企業は採用活動に難航しているケースが少なくありません。そのため、通年採用を導入して積極的に人材を採用しようとしているものと推察されます。

通年採用が注目されている理由

通年採用が注目されている理由

通年採用が注目されている理由として、具体的には「人材不足の深刻化」「事業活動のグローバル化」「採用選考のルール変更」などが挙げられます。それぞれの理由について、さらに詳しく見ていきましょう。

人材不足の深刻化

通年採用が注目されている理由の一つとして、さまざまな業界で人材不足が深刻な経営課題になっている点が挙げられます。少子化の影響によって、特に若手人材の採用が難しくなっており、経営課題として挙げている企業は多くあります。

そのため、新卒採用以外にも採用活動を広げる必要性を感じている企業が増えており、通年採用に取り組む企業が多くなっているといえるでしょう。また、企業が持続的な成長を遂げていくには、自社に合った人材を採用する必要があります。

単に人材を集めれば良いというものではなく、採用選考に十分な時間をかけて人材をよく見極め、長くはたらき続けてくれる人を採用することも大切です。新卒採用では多くの学卒者の選考を同時に進めなければならないため、選考に割ける時間が限られる部分があります。

せっかく採用しても、入社後にミスマッチが起こってしまえば、早期離職につながる可能性があるので注意しましょう。通年採用であれば、人材の見極めに十分な時間を充てられるため、採用後のミスマッチを防ぐことにつなげられます。

人材不足の課題について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『人手不足が課題になる日本の現状|原因と企業が取り組むべき対策を解説』)

事業活動のグローバル化

業種や事業規模にもよりますが、企業が行う事業活動はグローバル化が進んでおり、さまざまな国の取り組みを踏まえた上で事業を行っていく必要があります。変化の激しいグローバル社会に対応していくには、従来の発想だけにとらわれない姿勢を持つことが、企業にも求められているといえるでしょう。

新卒採用は同時期に一括で採用活動を実施するため、同じスキルや能力を備えた人材を育成しやすい点が特徴です。しかし、過去の成功事例がそのまま通用しない場面も多くあり、変化に対して柔軟に対応できる組織をつくり上げていくには、多様な価値観や考えを持った人材を採用していくことが大事です。

通年採用を通じて、人材採用の間口を広げておけば、多彩なバックグラウンドを持った人材と巡り会えるチャンスも出てきます。さまざまな状況に対応できる組織を構築するといった視点で、通年採用に取り組む企業も多いといえます。

採用選考のルール変更

先述のとおり、通年採用が注目されている背景には、経団連が掲げていた「採用選考に関する指針」の廃止が発表されたことも影響しています。経団連が採用選考に関する指針を策定しないことを受けて、政府主導で「就職・採用活動日程に関する考え方 」という方針が取りまとめられています。

2025年度卒業者・修了予定者に対しては、以下のような方針が示されていることを押さえておきましょう。

2025年度卒業・修了予定者などの就職・採用活動日程
・広報活動開始  :卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
・採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
・正式な採用日  :卒業・修了年度の10月1日以降

(引用:就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議『2025年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方』)

ただし、上記の方針はあくまで政府から企業への要請であり、拘束力を持つものではありません。新卒採用から通年採用への移行やいつの時期から通年採用を実施するかは、それぞれの企業の判断に委ねられているといえます。

新卒採用と通年採用を並行して導入する企業もあり、より柔軟な姿勢で採用活動に取り組む企業が出てきています。

通年採用を実施する5つのメリット

通年採用の実施によって企業が得られるメリットとしては、主に以下の5つが挙げられます。それぞれの詳細を順に解説します。

1.応募者数の増加が期待できる
2.多様な人材の採用につながる
3.人材をじっくりと見極められる
4.入社承諾前辞退リスクに備えられる
5.採用競争の分散で歩留まりが安定する

1.応募者数の増加が期待できる

採用活動を通年とすることで、多くの応募者と接触を図れる点はメリットです。新卒採用のみを行う場合、認知度の高い企業でなければ、限られた期間の中で人材を集めることは難しいでしょう。

認知度の低い企業にとっては、大手企業ばかりに人材が集まり、自社の人材を思うように集められないケースがあります。通年採用は新卒採用のように短期間で多くの人材を集めるのには向いていませんが、時間をかけて自社の存在を多くの人に知ってもらうことで、徐々に応募者数の増加につなげていくことが期待できます。

求人広告などを活用してもなかなか人材が集まらないときは、新卒採用だけでなく通年採用の導入も検討してみましょう。同時に、自社のことを広く知ってもらうには、継続して情報発信を行っていくことも大切です。

2.多様な人材の採用につながる

通年採用ならではのメリットとして、多様な人材の採用につなげられる点が挙げられます。新卒採用では未経験の学卒者を多く集めることが重視されるため、どうしても人材が均質化しやすいところがあります。

安定的な組織を構築するには、自社が求める人材像に沿った人を集める必要はありますが、同じような属性の人材ばかりでは大きな変化に対応できない部分もあります。通年採用であれば、既卒者や留学生など多様な人材を集めることにつながるので、組織に新たな変化をもたらすことができるでしょう。

採用活動は、企業が掲げる経営戦略や事業戦略に沿ったものでなければなりません。自社の今後の事業展開を踏まえ、新たな分野で事業を展開するような場合に、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が力を発揮してくれるはずです。

3.人材をじっくりと見極められる

新卒採用の場合、限られた期間内で多くの応募者の選考を行うことも珍しくありません。選考活動のリソースが不足していると、人材の見極めにしっかりと時間を割けない部分もあるでしょう。

人材を採用することだけが目的化してしまえば、選考がおろそかになる可能性があります。自社が求める人材像に合わない人を採用すれば、採用のミスマッチが起こってしまい、思うように人材が定着しないといった事態を生み出しかねないでしょう。

通年採用であれば、自社の都合に応じて募集期間などを設定できるので、無理のない採用スケジュールを組むことが可能となります。人材の適性や能力をじっくりと見極められる時間を得ることで、入社後の早期離職などを防いでいけるはずです。

4.入社承諾前辞退リスクに備えられる

応募者に入社を辞退されてしまうというリスクに備えられる点も、通年採用を実施するメリットの一つです。

近年は複数社の選考に応募することが一般的であるため、自社の選考に通過した応募者が入社を辞退して他社を選択する、というケースも少なくありません。新卒採用では、次年度まで待たなくては入社辞退分の人材を補てんできず、採用計画に影響が出ることも避けられませんでした。

一方で通年採用では、1年中採用活動を行っているため、たとえ入社を辞退した応募者が出たとしても、すぐに次の応募者を探して選考を進められます。採用計画への影響も軽微で済むため、採用活動をより安定的に進められるようになるわけです。

5.採用競争の分散で歩留まりが安定する

通年採用を実施することで、採用活動の「歩留まり」を安定させられます。

採用活動での歩留まりとは、選考で次のプロセスへ進んだ応募者の割合のことです。例えば、応募者が合計100人いたとして、一次面接で50人残れば歩留まり率は50%となります。

この割合があまりにも低いということは、選考を通過する応募者が少ないことを意味しているので、採用活動の進め方を早急に見直さなくてはなりません。特に新卒採用では競合他社も同じ時期に活動を始めるため、採用競争が激化し、歩留まりも悪化する傾向にあります。

そこで検討したい策の一つが、通年採用の実施です。通年採用なら他社が採用活動を行っていないタイミングで応募者を集められるため、採用競争の影響が薄まり、歩留まりも安定させられる可能性があります。

歩留まり低下の原因が必ずしも採用競争の激化にあるとは限りませんが、まず取り組む策として通年採用は適切だといえるでしょう。

通年採用の4つのデメリット

企業にさまざまな恩恵をもたらしてくれる通年採用ですが、以下の4つのデメリットがある点には注意しましょう。

1.採用活動が長期化する恐れがある
2.採用にかかる費用が膨らむ場合がある
3.認知度の低い企業は不利になるケースもある
4.新卒採用している企業の影響を受ける恐れがある

1.採用活動が長期化する恐れがある

通年採用は年間を通じて採用活動を行うため、採用業務にかかる負担が大きくなる恐れがあります。採用活動が長期化すれば、その分だけ人事・採用担当者の負担が増し、思うようにリソースを割けない部分も出てくるでしょう。

過度な負担が生じてしまわないように、募集時期やタイミングを見直すなどして、スムーズに採用活動を続けられる状態をつくることが大切です。企業によっては、夏や冬の一定期間のみ採用活動を行ったり、通年採用を行う職種を限定したりしています。

企業の状況によって、どの方法が適切であるかは違ってくるため、社内の意見も参考にしながら採用活動を進めていきましょう。

2.採用にかかる費用が膨らむ場合がある

新卒採用は一定期間に一括して採用を行うため、全体で見れば一人あたりにかかる採用費用の軽減が可能です。しかし、通年採用の場合は年間を通じての取り組みとなるため、トータルでの費用が膨らんでしまう可能性があります。

費用負担をできるだけ減らしたいときは、採用手法や募集のスケジュールを見直していくことも重要です。前年の採用実績などのデータを参考にしながら、自社に合った採用活動のあり方を探ってみましょう。

また、自社だけで採用活動を行おうとせず、必要に応じて外部のリソースの活用も検討してみると良いでしょう。費用対効果のバランスを考えながら、採用活動を進めていく体制を整えることが大切です。

採用費用について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『採用費用が膨らみ過ぎてる?そんな時に考えたいこと』)

3.認知度の低い企業は不利になるケースもある

通年採用を導入しても、始めたばかりの段階ではなかなか人材が集まらないこともあります。認知度不足が主な要因として挙げられますが、自社の認知度を高めていくためには、それなりに時間がかかる部分もあるでしょう。

しかし、いったん自社の魅力を知ってもらえば、徐々に応募者数が増えることが期待できるため、継続的な取り組みが必要です。応募者にとって有益な情報を継続して発信していけば、興味や関心を抱く人も増えてくるはずです。

競合他社との違いをアピールする機会にもなるので、認知度向上に向けて前向きに取り組んでいくことが大切だといえます。自社だけの取り組みでどうしても成果が挙がらないときには、外部のリソースも活用するなどして取り組んでみましょう。

4.新卒採用している企業の影響を受ける恐れがある

通年採用を取り入れている企業も増えつつありますが、新卒採用が完全になくなるわけではありません。学卒者の多くも、しばらくの間は新卒採用を軸とした就職活動を行うものと考えられます。

そのような状況下で採用活動のタイミングをずらすと、多くの学卒者が情報収集や企業の比較を行う時期に何もしないことになり、かえって機会損失となるかもしれません。

また通年採用の導入によって、学卒者から「ここはいつでも応募できるから後回しで良い」と思われて、第一志望から外されてしまう可能性もあります。

通年採用を行う際は、上記のリスクについても把握した上で、新卒採用も併用する、またはアピールの仕方を工夫するといった戦略を取ることを意識しましょう。

通年採用が「難しい」といわれる理由

メリット・デメリットが把握できたところで「自社にも通年採用を取り入れたい」と考え始めた人事・採用担当者もいるでしょう。しかし、通年採用の導入は難易度が高い傾向にあり、ノウハウが少ない状態では成果を出すことが困難であると考えられます。

では、なぜ通年採用の実施は難しいとされるのでしょうか。ここではその主な理由を解説します。

【通年採用が「難しい」といわれる理由】
●選考プロセスの標準化が困難であるため
●人事・採用担当者のスキルによって成果にムラが出やすいため
●志望度の見極めが難しいため
●入社前フォローの手間が増えるため

選考プロセスの標準化が困難であるため

柔軟に選考を進められる点が通年採用の利点でしたが、その自由度の高さの分、選考プロセスの標準化が難しいという側面があります。随時応募者を集めて選考が進む上に、人によって進め方が変わる場合もあるため、画一的な対応指針を決めることが容易ではないのです。

また、新卒採用と異なり新卒者以外も採用の対象となるため、募集するポジションや入社条件なども状況によって変わってきます。そのため評価基準の統一も難しく、面接官や人事・採用担当者ごとに採用する人材の方向性が変わってしまうというリスクもあります。

人事・採用担当者のスキルによって成果にムラが出やすいため

選考プロセスの標準化が難しい以上、通年採用の成果は、各人事・採用担当者のスキルやノウハウに大きく左右されることとなります。採用計画を練る際は、この「ムラ」をある程度考慮せざるを得なくなるため、通年採用の導入はハードルが高いと考えられているのです。

また、採用活動の成果からムラをなくすには、経験の少ない人事・採用担当者をベテランがフォローする必要がありますが、その分ベテランに大きな負担がかかる点もネックです。採用活動で生じる負担が一部の担当者に集中し、さらに状況を悪化させてしまう可能性もあります。

なお、面接官や人事・採用担当者をトレーニングする方法については、以下の記事で詳細に解説しているのでぜひご覧ください。

(参考:『採用を成功に導く面接官の5つのトレーニング方法と実施するメリット』)

志望度の見極めが難しいため

応募者が本当に自社を志望しているかどうかの見極めが難しい点も、通年採用の導入が困難とされる理由の一つです。

通年採用に応募してくる人材の中には、新卒採用で入社先が決まらなかったので、とりあえず応募する、という考えを持っている人がいる場合もあります。

そういった「まずは就職先を確保したい」というスタンスの応募者と、本当に自社に入社したいと考えている応募者を、履歴書の情報だけで見極めることは難しいでしょう。

面談の場で想いを掘り下げて見極めることは可能ですが、これも人事・採用担当者のスキルに依存する部分であり、ムラが出る可能性があります。

入社前フォローの手間が増えるため

通年採用では応募者ごとに入社日が異なり、入社までの期間が長い人もいれば、選考通過後すぐに入社となる人もいます。入社までの待機期間が長い場合には、応募者のモチベーションを維持するための継続的なフォローが欠かせません。

反対に入社までの期間が短い応募者に対しては、事前の研修や教育をスピーディーに行う必要があります。このように、応募者ごとに入社前のフォローの内容も変わってくるため、必然的に人事・採用担当者の負担も増えると考えられます。

通年採用では、担当者ごとの判断や対応のばらつきを抑え、選考や連絡フローを標準化することが重要になります。求人票・各種メール・面接質問や評価基準まで“運用の型”をまとめたテンプレをご用意していますので、下記資料をダウンロードして社内運用の整備にご活用ください。

なお、面接官や人事・採用担当者をトレーニングする方法については、以下の記事で詳細に解説しているのでぜひご覧ください。
(関連記事:採用を成功に導く面接官の5つのトレーニング方法と実施するメリット

通年採用を実施する6つのステップ

適切な手順を踏んで通年採用を実施すれば、成果を出せる可能性も高まります。通年採用を実施する際の基本的なステップは、以下のとおりです。

1.要員計画から採用計画を立てる
2.自社が求める人材像を明らかにする
3.採用活動に取り組む体制を整える
4.採用手法を決定する
5.選考フローや選考基準を定める
6.人事・採用担当者を育成する

1.要員計画から採用計画を立てる

要員計画とは、事業を遂行する際に必要となる人数を見積もる計画を指します。経営計画を遂行するための一つの手段として、「必要な人材を採用するために、どの部署に何人採用すべきなのか」といった点を定めます。

要員計画の作成が終わったら、それを基に「いつまでに」「どの部署に」「何人」必要なのか、年間の採用計画を詳細に立てていきましょう。採用予定者の配属先や職種が決まっている場合には、その部署ではたらく従業員の意見もヒアリングしておくことが大事です。

また、これまでに作成した要員計画や採用計画があるときは、それらも参考にしながら計画を練ってみましょう。あとから変更することも考慮した上で、ある程度の幅を持たせて作成するほうが無難です。

要員計画の立て方について、さらに詳しく調べたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『【フォーマット付】要員計画とは?立て方と作成手順・ポイントを解説』)

2.自社が求める人材像を明らかにする

採用計画と同時に進めなければならないことが、「自社にどういった人材が必要なのか」という人材像の設定です。採用活動で失敗しやすいポイントとして、求める人材像が明確ではないケースが挙げられます。

企業理念や事業方針などと照らし合わせて、自社が求める人材像を明らかにしてみましょう。単にスキルや経験、年齢だけでなく、「自社で活躍してほしい人」を具体的にイメージし、言語化することが重要です。

業務で高いパフォーマンスを発揮している従業員を参考にして、コンピテンシーモデルを作成しても良いでしょう。「企業の理念や方向性に合う理想像を分析する」「自社で活躍している人材を分析する」といった方法により、採用する人材の要件を絞り込んでいけば、採用活動をよりスムーズに進められるはずです。

3.採用活動に取り組む体制を整える

採用対象者が決まったら、採用活動を専属で行う「採用チーム」を編成しましょう。通年採用を導入することでタスクやスケジュール管理の工数も増えるため、一人で担当するより複数人でチームをつくることが望ましいでしょう。

チームメンバーには、採用業務を行うことに加え、採用市場に関する情報収集や他社の動向分析などを意識的に行うことも求められます。各部署から適任者を選び、採用チームを編成してみてください。

4.採用手法を決定する

採用チームを編成した段階で、応募者に対してどのようなアプローチを行っていくのかを決めましょう。一口に採用活動といっても、求人サイトやダイレクト・ソーシングなどさまざまな採用手法があります。

それぞれの採用手法について、採用にかかる費用や工数、特徴などを把握した上で、自社に合った方法を選んでいくことが大切です。実際に取り組んでみなければわからない部分もあるため、一つの手法に絞り込むというよりは、複数の手法を組み合わせながら採用活動を行っていきましょう。

採用手法ごとの成果を分析しながら、採用効率がより高いものを選んでいくことが大事だといえます。

通年採用の運用を進めるうえで、求人票や選考連絡、面接質問・評価のたたき台を先に揃えておくと、社内調整と実行がスムーズになります。実務でそのまま使える文面・設計の型をまとめた「ChatGPT採用プロンプトテンプレ」を資料としてご用意しているので、資料をダウンロードしてご活用ください。

採用手法について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『採用手法の変更が応募者獲得への第一歩 ~キャリア採用の成功事例に学ぶ~』、『【2025年版】採用手法16選を徹底比較|メリット・デメリット・最新の注目トレンド』)

5.選考フローや選考基準を定める

採用選考に時間がかかると、人事・採用担当者の負担が増すだけでなく、応募者が他社に流れてしまう恐れもあります。スムーズに選考を行える環境を整えれば、入社承諾率などを高められるでしょう。

採用業務に関するフローを見直し、無駄な作業や重複する業務などが発生していないかを確認することも大事です。また、人事・採用担当者によって選考基準にバラつきが出てしまわないように、事前研修などを行うことが重要です。

必要に応じてマニュアルを作成するなどして、公平・公正な選考が行えるようにしてみましょう。

6.人事・採用担当者を育成する

通年採用の場合、入社時期にバラつきが生じることがあるため、研修担当や配属部署での受け入れ体制を整えることが重要です。研修や教育内容に差が生まれないよう、注意する必要があります。

また、新たに採用した人材が部署やチームにスムーズになじめるよう、コミュニケーション方法やフォロー体制なども検討しておくと良いでしょう。きめ細かなサポートが行えるように、人事・採用担当者そのものを育成することも大切です。

人事や労務に関する法律を学んだり、他社の事例を参考にしたりして人事・採用担当者のスキルアップを図ってみましょう。

通年採用に向いている企業の特徴

実施に際して一定のハードルがある通年採用ですが、その分成功した際のリターンが大きいことも事実です。特に以下の特徴のいずれかが該当する企業は、通年採用に取り組むことで多くの恩恵を得られると考えられます。

【通年採用に向いている企業の特徴】
●即戦力となる人材を求めている企業
●多様な価値観を受け入れている企業
●柔軟なはたらき方ができる企業
●人材不足が深刻化している企業
●採用の体制が整っている企業
●企業ブランディングに注力している企業

各特徴の詳細を順に解説します。

即戦力となる人材を求めている企業

事業を拡大したり、新たな分野への進出を検討していたりする企業では、即戦力となる人材が必要になる場面も多いでしょう。新卒採用の場合、一から人材を育成していかなければならないため、事業環境の変化などにうまく対応できないところがあります。

新たに取り組もうとする分野ですでに経験があり、特定のスキルを持った人材を採用できれば、事業活動をスムーズに展開していけるはずです。即戦力となる人材を求めるのであれば、通年採用のほうが向いているため前向きに導入を検討してみましょう。

自社にはないスキルやノウハウを備えた人材を採用すれば、ほかの従業員にとってもスキルアップを図る良い機会になるでしょう。組織全体の強化にもつながるといえます。

即戦力となる人材について、さらに詳しく調べたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『即戦力の定義とは?人材の見極め方や定着率向上のコツを紹介』)

多様な価値観を受け入れている企業

さまざまなバックグラウンドを備えた人材を受け入れている企業であれば、通年採用を無理なく導入できるはずです。通年採用は自社の都合に応じて募集期間を設けられるので、新卒採用ではなかなか出会うことができない多様な人材にアプローチできます。

既卒者や留学生などさまざまな人材を受け入れれば、社内のコミュニケーションも活発になり、組織力を高めることにもなります。人材募集をかけても、思うように人が集まらない企業ほど、採用の間口を広げていくことが大事です。

他社の選考では漏れてしまうような人材も対象とすれば、採用活動を円滑に進めていくきっかけにもなるでしょう。

ただし、多様な人材を受け入れることで、一時的に既存の従業員との間で摩擦が生じる恐れがあります。採用活動を実施する前に、既存の従業員に対して丁寧な説明を行うと同時に、無理のない採用スケジュールを組むことが大切です。

柔軟なはたらき方ができる企業

通年採用の特徴の一つとして、自社の状況に応じて人材募集をかけられる点が挙げられます。人材不足による人員補充や事業拡大に伴う増員など、事業環境の変化に合わせて柔軟に人材を募集できます。

日ごろから柔軟なはたらき方ができる企業であれば、通年採用を実施しても新たな人材を組織として受け入れやすいでしょう。時短勤務やリモートワークなどを含めて、さまざまなはたらき方ができる労働環境を提供すれば、多くの人材を集めることにつながります。

また、労働環境の改善は新たな人材のためだけでなく、すでにはたらいている従業員にとっても良い影響をもたらすはずです。従来のはたらき方だけにとらわれず、はたらく側のニーズに合わせて環境を整えてみましょう。

人材不足が深刻化している企業

人材不足が深刻化しており、年1回の新卒採用だけで人材を補いきれない企業にも、通年採用がお勧めです。1年を通して任意のタイミングで人材を採用できるようになるため、採用活動の安定性が増し、人材不足の解消につながる可能性があります。

特に、自社の属する業界全体で人材不足が問題となっている場合には、通年採用を実施して他社と採用活動の時期をずらすことが、有用な解決策となり得るでしょう。慢性的な人材不足に悩んでいるのであれば、通年採用を導入してみてはいかがでしょうか。

採用の体制が整っている企業

採用活動のノウハウがある程度蓄積されており、体制が整っている企業も通年採用に向いています。通年採用を継続的に行うには、長期間かつ変則的な採用活動を実行できるだけの体制が必要となるためです。

専任の担当者が配置されている、また採用管理ツールを導入しているといった対応が済んでいる企業ほど、通年採用を導入しやすいといえます。反対に採用の体制が整っていないのであれば、通年採用の導入前に、人事・採用担当者の増員や業務分担の見直し、選考フローの標準化などから取り組むことをお勧めします。

企業ブランディングに注力している企業

通年採用に向いている企業の特徴としては、ブランディングに注力しており、自社について積極的にアピールしているという点も挙げられます。

通年採用では応募のタイミングが分散するため、広報活動に力が入っており、応募者との接点が多い企業へ関心が集まる傾向にあります。従って通年採用で成果を出すためには、企業側が継続的に情報発信を行い、ブランドの知名度を高めていく必要があるのです。

普段から採用広報や企業ブランディングに力を入れている企業なら、応募者の興味・関心を引きやすく、通年採用を有利に進められます。SNSやホームページで自社の魅力や社風をアピールし、説明会やイベントなども積極的に開催すれば、自社に合った人材を効果的に募集できるでしょう。

通年採用がもたらす学卒者側のメリット

通年採用は、就職活動を行っている学卒者にもメリットをもたらします。この点を理解して通年採用に取り組めば、学卒者の自社に対する印象が良くなり、採用活動をより効率良く進められるようになる可能性があります。

【通年採用がもたらす学卒者側のメリット】
●新卒採用の時期以外でも応募できる
●学業や留学などと就職活動を両立できる
●自分のペースで就職活動を進められる

新卒採用の時期以外でも応募できる

新卒採用の時期だけではなく、1年を通して企業に応募できる機会が得られる点は、学卒者にとっての明確なメリットです。

限られた期間内で実施される新卒採用では、説明会や面接日がバッティングすることが多く、応募できる企業がある程度限られます。しかし、通年採用を導入している企業であれば都合の良いタイミングで応募できるため、学卒者がより多くのチャンスを得られます。

選択肢が増えれば、学卒者も自身に合った企業をよりじっくりと探せるようになり、結果として入社後のミスマッチ防止にもつながるでしょう。

学業や留学などと就職活動を両立できる

一部の学卒者は、携わっている研究や海外留学などの事情から、新卒採用の時期に就職活動を始められないことがあります。そういった人にとって、自身の都合に合わせて応募時期を選べる通年採用は、学業と就職活動を両立できる非常に有用な仕組みだといえるでしょう。

例えば、研究で一定の成果を出してから本格的に就職活動を始める、また留学を終えたあとに企業研究や選考対策に取り組み始める、といった対応が可能となります。

また、自身のやりたいことにしっかりと挑戦できた学卒者は、入社後も仕事に一生懸命取り組んでくれる期待が持てるので、企業からの評価も高くなると考えられます。

自身のペースで就職活動を進められる

自身の考えたスケジュールでゆとりを持って就職活動を進められる点も、通年採用が学卒者にもたらすメリットの一つです。

新卒採用は短期決戦であるため、限られた時間の中で効率良くスケジュールを組み、少しでも多くの説明会や面接に参加しなくてはなりません。

しかし、そのようなスケジュールの中では、応募する企業ごとに丁寧な準備を行うことも難しく、また「早く次を受けなくては」というプレッシャーもかかってしまいます。

一方で通年採用なら、学卒者が自身のペースで就職活動を進められるため、一社ごとにしっかりと企業研究や面接対策を行うことが可能となります。また「急がなくても良い」という精神的な余裕も生まれるので、選考で自身のポテンシャルを存分に発揮できるようにもなるでしょう。

通年採用で用いられる7つの採用手法

どのような採用手法を用いるかによって、通年採用の進め方や得られる成果も変わってきます。

【通年採用で用いられる主な採用手法】
1.イベント・合同説明会
2.ダイレクト・ソーシング
3.リファラル採用
4.ソーシャルリクルーティング
5.求人広告
6.自社サイト
7.インターンシップの通年化

そこで本項では、通年採用で用いられる7つの採用手法について解説します。

1.イベント・合同説明会

就職イベントや合同説明会などを通年で定期的に実施することで、学卒者や転職希望者に対して、自社のリアルな雰囲気や他社にはない強みなどを直接伝えられます。

特に、ほかの企業が採用活動を活発に行っていない時期のイベントであれば、注目も集まりやすく、自社の存在をより効果的にアピールできるでしょう。

また合同説明会であれば、通年採用を実施している競合他社の動向を知る機会にもなります。

2.ダイレクト・ソーシング

ダイレクト・ソーシング(リクルーティング)は、求人サイトなどを介さずに、自社で直接人材にアプローチをかける採用手法です。応募者からのエントリーを待つことが一般的な採用活動で、企業側からアプローチをかける攻めの採用手法である点が特徴だといえるでしょう。

ダイレクト・ソーシングでは、応募者のプロフィールなどをしっかり見た上でコンタクトを取ることになるため、採用のミスマッチを防ぎやすくなります。また、企業の認知度にかかわらず採用活動を進められるので、思うように人材を集められない企業に向いています。

(参考:『ダイレクトリクルーティングとは?人材紹介サービスとの違いや導入のメリット』)

3.リファラル採用

リファラル採用はダイレクト・ソーシングの一種ともいえますが、既存の従業員を通じて友人・知人などを紹介してもらう点に違いがあります。自社の従業員がリクルーターとなることで、紹介してもらった人材に対して自社が掲げる経営理念やはたらき方、職場の雰囲気などを理解してもらいやすくなるでしょう。

リファラル採用を成功させるには、人事・採用担当者だけで進めるというより、組織全体として取り組んでいく必要があります。多くの従業員に協力してもらうことが成功のカギとなるので、丁寧な説明を心がけてみましょう。

また、紹介してくれた従業員に対するインセンティブの規定を整えたり、人事評価にどのように反映させるかを検討したりすることも重要です。リファラル採用は短期的な成果を見込むことは難しいですが、中長期的な取り組みとして行うことで、自社に合った人材を見つけられるでしょう。

リファラル採用について、さらに詳しく調べたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『リファラル採用とは?導入のメリット・デメリットやインセンティブの金額、注意点を解説』)

4.ソーシャルリクルーティング

ソーシャルリクルーティングとは、FacebookやX(旧・Twitter)などのSNSを通じて採用活動を行う手法です。単に応募者を募るだけでなく、継続して情報発信を行うことで自社のブランディングを強化することにもつながるでしょう。

どのような人材にアプローチをかけるか、プロフィールや投稿内容などから絞り込みが行える上に、ユーザーの行動履歴などを分析することで、より精度の高いアプローチをかけられるでしょう。

ただし、SNSを利用しているユーザーの全てが就職活動の目的で登録しているわけではないため、成果を出すまでに時間がかかるといったデメリットもあります。自社のブランディングを行いつつ、採用活動も進めたいという場合に効果が期待できる手法です。

(参考:『ソーシャルリクルーティングとは?メリットや進め方を解説』)

5.求人広告

求人広告は、数多くの登録者を抱える求人サイトに求人情報を掲載し、人材からの応募を待つという仕組みの採用手法です。母集団を形成しやすい点が特徴であり、なかなか応募者が集まらないときに有効な手段となるでしょう。

掲載料金はサービス提供会社によって異なりますが、一定の金額を支払えば採用人数が増えたとしても追加料金がかからない点がメリットです。そのため、多くの採用数を予定している場合には、一人あたりにかかる採用費用を下げられる可能性があります。

一方で、たとえ採用数がゼロの場合でも求人広告の掲載料金は支払う必要があるので注意しておきましょう。また、著名な求人サイトほど掲載している企業数も多いため、他社の求人情報に埋もれてしまうことも考えられます。

オプション料金を支払えば、求人サイト内での上位表示も可能となりますが、費用対効果をよく考えて利用してみましょう。

(参考:『知っておきたい求人広告のメリット・デメリットと費用対効果を高める方法』)

6.自社サイト

自社で運営するWebサイトやブログなどのオウンドメディアも、採用活動で活用できます。求人情報やコンテンツを作成して投稿し続けるには、それなりの時間と労力がかかりますが、自社に合った人材を見つけられるといったメリットがあります。

また、求人サイトなどを介さずに情報発信を行うので、企業側の考えを応募者にそのまま伝えられるといった部分も利点です。自社サイトなどを採用活動に役立てるには、継続して運営する体制をあらかじめ整えておくことが大切だといえます。

社内でリソースが不足していたり、ノウハウがなかったりする場合は自社サイトの活用で豊富な実績がある外部企業の力も借りてみましょう。継続して取り組めば、採用ノウハウを自社に少しずつ蓄積していけます。

7.インターンシップの通年化

応募者とより深い関係性を構築したいのであれば、インターンシップを通年化するという手法がお勧めです。通年採用に合わせてインターンシップも通年で実施することで、応募者が自社について深く触れる機会が増えて、効果的に信頼関係を構築できるようになります。

また、遠方在住の学生や学業で忙しい層とも接点を持ちやすい点で、オンラインインターンの活用も有効です。開催のハードルを下げつつ、仕事理解や適性の見極めにもつなげられるため、通年採用と相性が良い施策といえます。

応募者の都合を考慮して、短期・長期両方のインターンシップを準備しておけるとなお良いでしょう。学業やその他の活動と両立できるインターンシップなら、応募者も積極的に参加してくれる可能性があります。

オンラインインターンについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
(関連記事:オンラインインターンとは?内容・対面との違い・成功させるポイントを人事向けに解説

通年採用を成功に導くための12のポイント

最後に、通年採用で確かな成果を出すためのポイントを解説します。以下の12個のポイントを意識して通年採用に取り組めば、自社での活躍が見込める人材を採用できる可能性も高まるでしょう。

1.KPIを設定する
2.競合分析を行う
3.複数の採用手法を組み合わせる
4.職種によって採用方法を分ける
5.応募者の目線に立って施策を実施する
6.採用活動の範囲を広げる
7.採用業務のフローを見直す
8.入社時期を限定する
9.応募条件を緩和する
10.選考方法を工夫する
11.ITツールやAIの活用を検討する
12.採用広報に力を入れる

1.KPIを設定する

通年採用は年間を通じた取り組みとなるため、途中で採用活動の目的を見失ってしまわないようにするために、KPIを設定しておくことが重要です。KPIとは重要業績評価指標とも呼ばれるもので、ゴールの達成までに向けた各プロセスの中間目標をいいます。

採用活動では、面接実施率や入社承諾率などが挙げられるでしょう。具体的な数値目標を設定することで、採用活動の状況を把握するだけでなく、課題や改善点などを洗い出せるようになります。

課題を早い段階で発見することで、通年採用のデメリットである費用の増大を防ぐことにもつながるはずです。円滑に採用活動を進めていくために、過去の採用実績などを基にして達成すべき目標を定めてみましょう。

2.競合分析を行う

通年採用を取り入れる企業が今後増えていくと想定して、競合他社の強みや動向を先んじて分析しておくことも重要です。その上で、競合他社にはない自社だけの強みとは何か、そしてそれを通年採用でどのように活かしていけば良いのか、といったポイントを徹底的に洗い出しましょう。

また通年採用では、採用活動の時期に縛りがなくなることで、それまでは競合していなかった業界や企業とライバル関係になる可能性もあります。どのような企業が相手でも対応できるように、従来の考え方にとらわれず、多角的な視点から戦略を検討することが求められます。

3.複数の採用手法を組み合わせる

採用手法はさまざまなものがあるため、自社に合った手法を選ぶことが重要です。また、短期的な成果が期待できるものがある一方で、中長期的にじっくりと取り組むものもあるため、複数の採用手法を組み合わせることも大事だといえます。

特に通年採用の場合は、一年を通じて求人情報が掲載されることになるため、時間の経過とともに効果が薄れていく可能性があります。一定数の人材を採用する必要がある場合、求人広告に求人情報を掲載するだけでなく、ダイレクト・ソーシングやリファラル採用なども組み合わせてみると効果が期待できるでしょう。

ただし、必要以上に採用手法を広げてしまっては、かえって採用効率を下げる恐れがあるので注意しましょう。応募者の反応や採用実績などを踏まえて、より効果の高い組み合わせを見つけていくことが大切です。

4.職種によって採用方法を分ける

通年採用の特徴の一つとして、即戦力となる人材の募集に向いている点が挙げられます。豊富な経験やスキルを持った人材を募集するなら、通年採用の実施を検討してみることも大事です。

しかし、募集する職種によっては通年採用よりも新卒採用のほうが向いている場合もあります。それほど経験やスキルを必要とせず、かつ多くの人材を短期間で採用する必要がある職種であれば、新卒採用を重視するほうがスムーズです。

すでに自社ではたらいている従業員の意見や考えなども聞きながら、職種ごとに求められている能力を見極めて、応募条件などを設定することが大切だといえます。職種によって新卒採用と通年採用をうまく使い分けて、採用活動を活性化させてみましょう。

5.応募者の目線に立って施策を実施する

通年採用に限らず、人材を募集する際は応募者の目線に立って施策を実行していくことが大切です。例えば、応募者にとってどのタイミングが応募しやすいか、必要としている情報は何かを精査した上で情報発信を行うようにしましょう。

応募者は自社以外の企業にも応募している可能性が高いため、採用活動に問題があれば、他社へ入社してしまう恐れがあります。競合他社の動きなどに注意を払いつつ、応募者に興味や関心を抱いてもらえる情報を提供していくことが大事です。

また、実際に採用に至った人にヒアリングを行ったり、外部サービスを利用している場合は応募者の動向などを尋ねてみたりすることも有効な手段だといえます。SNSなどをこまめにチェックして、応募者の本音に触れてみることも参考になるでしょう。

応募者のニーズをきちんと踏まえて、採用活動を進めていくことが大切です。

6.採用活動の範囲を広げる

人材を募集しても、応募がなかなか集まらない場合は、採用活動を行うエリアを広げてみることも有効な手段です。企業説明会や面接をオンラインで実施すれば、これまでは遠方で参加できなかった人も参加しやすくなるでしょう。

オンラインを通じた採用活動は国内だけでなく、海外の人材ともやりとりできる機会を生むため、さまざまな人材とのコミュニケーションを活性化させるチャンスとなるはずです。

また、採用業務の一部をオンラインで対応することで業務の効率化にもつながり、きめ細かな対応を行えるようになります。応募者からのエントリーをただ待つだけでなく、企業側から積極的にアプローチしていくことも検討してみましょう。

7.採用業務のフローを見直す

通年採用を円滑に実施するには、採用業務のフローを定期的に見直すことが重要です。通年採用では採用を行うタイミングにバラつきがあるため、そのままの状態では無駄な作業が発生してしまっている場合もあるでしょう。

選考などがスムーズに行えなければ、応募者に連絡するタイミングが遅くなってしまい、他社に流れてしまう可能性があるので注意が必要です。採用業務のフローを見直す際は、採用にかかる工数をできる限り減らしていくほうが、採用業務全体の流れをシンプルに組み立てやすくなります。

どうしても採用工数を減らせないときは、自社で取り組む業務の範囲を決めて、採用業務の一部を外部に任せてみるのも一つの方法です。無理のない形で採用業務を続けられる体制を構築すれば、採用力の向上にもつながっていくでしょう。

(参考:『採用フローとは?押さえておきたいポイントと課題の改善策』)

8.入社時期を限定する

年間を通じて採用活動を行う場合、その都度対応していくことは人事・採用担当者の負担になるケースがあります。特に入社時期がバラバラだと、新入社員に対する研修などをたびたび行わなければならず、かえって非効率になってしまう部分もあるでしょう。

通年採用で採用業務の負担を減らすために、必要に応じて入社時期を特定の時期に設定してみても良いでしょう。自社の状況に合わせて、夏や冬など一定の時期に入社のタイミングを合わせることで、人材育成を円滑に進めていくことができます。

ただし、企業側の都合だけで入社時期を決めてしまうと、応募者にとって不都合になる部分が生じる恐れがあるでしょう。転職希望者であれば、前の会社を辞めるタイミングを考慮したり、留学生であれば日本に来る時期などを擦り合わせたりすることも大切です。

応募者のニーズを踏まえつつ、採用業務の負担軽減につながるタイミングをよく見極めてみましょう。

9.応募条件を緩和する

人材募集を積極的に打ち出しても、応募するための条件が厳しければ、応募をためらってしまう人が出てくるでしょう。応募にあたって資格やスキル、経験などの一定の基準を設けることは大切ですが、本当に必要なものであるかを精査することが大事です。

採用活動を円滑に進めるには、できるだけ多くの人材から応募が集まるように工夫することが肝心だといえます。そのため、応募条件を検討する際には、自社が求める人材像を明確にしておきましょう。

どのような人材を求めているかが応募者にきちんと伝わっていなければ、たとえ適した人材が見つかったとしても、ミスマッチが起こる可能性があります。逆にいえば、自社が求める人材像に合っていれば、応募条件を多少緩和しても大きな問題は起こりにくいといえるでしょう。

採用活動の状況や採用実績などをチェックしながら、多くの人材を集められる応募条件となっているかを精査してみましょう。

10.選考方法を工夫する

採用手法や求人情報などに問題が見られないのに、なかなか応募が集まらないときは、選考方法を見直してみる必要があります。必要以上に提出する履歴書・職務経歴書が多かったり、面接の回数が多かったりすれば、応募者の負担が増してしまいます。

入社するまでのプロセスが長ければ、応募者が途中で就職活動を諦めてしまう恐れがあるので注意が必要です。面接の実施率や入社の承諾率などの数値を精査し、低い状況にある場合は原因を特定してみましょう。

選考フローの見直しを図ることは、採用率を高めることにつながるだけでなく、採用業務そのものの負担を減らすことにもなります。また、通年採用を実施する企業が増える傾向が見られるため、ほかの業界も含めて募集をかける時期が適切であるかも、きちんとチェックしておくことが重要です。

(参考:『採用の歩留まりとは?計算方法と改善策を解説』)

11.ITツールやAIの活用を検討する

採用業務の工数が多いと、リソース不足から応募者に対する連絡が遅れてしまう場合があります。採用活動を円滑に進めるための人材が採用できれば問題はないといえますが、全ての業務を人の手で行うとかえって非効率になってしまう部分もあるでしょう。

採用業務を効率化・省力化するためには、ITツールの導入やAIの活用を検討してみることも重要です。面接や選考は属人化しやすいところがあるので、経験や感覚だけに頼らない仕組みづくりを行っていく必要があるでしょう。

近年では、ITツールやAIの進歩によって、人事領域でも積極的に導入され始めています。採用業務の効率化・省力化が進めば、余ったリソースを本来注力すべき人材の見極めなどの時間に充てられるため、採用活動の確度をより高められるはずです。

ただし、採用手法の違いによって適したツールやシステムなどは違ってくるため、比較・検討を行いながら自社に合ったものを選ぶことが大切だといえます。

12.採用広報に力を入れる

通年採用では応募者側のスケジュールにもゆとりがあるため、企業ごとの分析や、社風が自身に合っているかどうかの確認などが、よりしっかりと行われる傾向にあります。そのため、新卒採用のとき以上に、自社の魅力や存在感をしっかりとアピールする必要があるのです。

具体的な施策としては、SNSやホームページを活用した情報発信、また社員ブログでの業務紹介、気軽に交流できるオンラインイベントの開催などが挙げられます。

通年採用で自社が埋もれてしまうことがないように、これらの施策を通じて企業ブランディングを入念に行い、応募者の興味関心を引けるように尽力しましょう。

(参考:『採用広報とは?7つの手法と成功させるためのポイントを解説』)

まとめ

通年採用は年間を通じて人材を募る方法です。新卒採用だけでは十分な人材を採用できない場合に、導入を検討してみると良いでしょう。

ただし、採用活動の長期化や費用負担の増加といったデメリットもあるため、事前にどのような形で導入するかをきちんと検討しておく必要があります。また、採用効果を高めるために、自社に合った採用手法を選ぶことも大切です。

企業が安定的な事業活動を行い、持続的な成長を遂げるためには人材の採用は欠かせないものです。自社の採用状況を踏まえた上で、さまざまな採用方法を組み合わせながら取り組んでみましょう。

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