中途採用が難しい理由とは?失敗例と採用率を高める対策方法を解説

中途採用が難しい理由とは?失敗例と採用率を高める対策方法を解説

d’s JOURNAL編集部

「中途採用が難しい」という話をよく耳にします。「中途採用がうまくいかない理由」「中途採用に成功するための改善方法」などを知りたい人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、企業事例を交えながら、中途採用が難しい理由やよくある失敗例、うまくいかないときの改善方法などを紹介します。

中途採用が難しい理由

なぜ、「中途採用は難しい」とされているのでしょうか。これには、いくつかの理由が考えられます。

【中途採用が難しい理由】
●求人倍率の上昇により人材の採用競争が激化している
●採用市場に即戦力となる人材が少ない
●書類・面接だけで人材を見極める難易度が高い
●採用決定までにかけられる時間が限られている
●採用手法の多様化により最適解が見えにくい
●採用活動にかけられるリソースに限りがある

求人倍率の上昇により人材の採用競争が激化している

求人倍率、つまり仕事を探している人に対する仕事の割合が増えつつあることで、企業間での人材採用の競争は激化し、結果的に中途採用が難しくなっています。求人倍率が高いということは、転職希望者にとって仕事が見つかりやすい状況であり、転職先の企業を選ぶ余地があるためです。

実際の求人倍率は、厚生労働省が公開している有効求人倍率のデータが参考になります。有効求人倍率とは、ハローワークに登録している人材と、ハローワークで紹介している仕事の数を基準に割り出した求人倍率のことです。ここで扱われているデータはあくまでもハローワークが基準となっていますが、世間全体の傾向としてある程度参考になるでしょう。

厚生労働省が発表した『一般職業紹介状況(令和7年12月分及び令和7年分)について』によると、2025年12月時点の有効求人倍率は1.19倍(前月比+0.01ポイント)、新規求人倍率は2.17倍(前月比+0.03ポイント)となっています。

求人、求職及び求人倍率の推移

微増ではあるものの増えており、有効求人倍率・新規求人倍率ともに1よりも大きいということは、やはり転職希望者にとって有利な状況であるということです。裏を返すと、企業にとっては「採用の難易度が高まり、企業間での人材獲得競争が激化してきている」ことであるため、「中途採用が難しい」と言われる一因になっているのです。

(参考:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和7年12月分及び令和7年分)について』)

なお、有効求人倍率について詳しくは以下の記事をご覧ください。
(参考:『【最新版】有効求人倍率とは?推移グラフから何がわかる?計算方法や傾向を簡単解説』)

採用市場に即戦力となる人材が少ない

業務の経験・スキルが豊富で、企業にとって即戦力となる人材は市場に出にくく、企業間の獲得競争が激しい傾向があります。企業としてはやはり、即戦力となる人材を求めますが、そのような人材は現職でも活躍しています。

経験・スキルが豊富な人材を雇用している企業は、できるだけ自社に定着してもらうために好待遇を与えているため、即戦力となる人材が市場になかなか現れないのです。

また、彼らがいざ転職を考えた場合も、取引先からのスカウトやフリーランスとしての独立など、さまざまな選択肢があるため、あえて求人に応募しないことも考えられます。

即戦力となる人材については、以下の記事でも詳しく解説しています。
(参考:『即戦力の定義とは?人材の見極め方や定着率向上のコツを紹介』)

書類・面接だけで人材を見極める難易度が高い

応募書類や面接という、限られた機会で「自社に合う転職希望者か」を見極めることが難しいという事実も、中途採用の難化に拍車をかけている理由の一つです。

特に中途採用では、新卒採用と比べて人材の見極めが難しいと考えられます。
新卒採用の場合は候補者全員が未経験者であるため、会社への志望度や個人のポテンシャルといった、ある程度画一化された基準で採否を判断できます。一方で中途採用では、「経験者か、未経験者か」「経験者の場合、どの程度の経験があるのか」「未経験者の場合、ポテンシャルはどの程度か」など、転職希望者のバックグラウンドはさまざまです。その上で、「自社の社風にマッチしている人材か」も見極めなければなりません。

新卒採用よりも人材の多様性があり、限られた時間・情報量で「自社の求める人材か」を判断する必要があるため、中途採用は難易度が高いのです。

採用決定までにかけられる時間が限られている

「新規事業立ち上げに伴う人員募集」や「前任者の退職に伴う欠員補充」のように、人材不足解消や欠員補充を目的とした求人募集では、早急に人材を採用する必要があります。
時間が限られているからといって、しっかりと人材を見極めずに採用すれば、入社者と企業との間でミスマッチが起こりやすくなります。

自社にマッチする転職希望者を採用し、入社後にその人材が活躍してこそ「中途採用が成功した」と言えますが、限られた時間の中で自社にマッチする人材を適切に見極めることは困難でしょう。

採用手法の多様化により最適解が見えにくい

近年は、求人広告(転職サイト)のほかにもダイレクト・ソーシングや人材紹介サービス、SNS採用など、採用手法が多様化しており、企業の状況や職種によって適した手法も異なります。それゆえに、自社に最も合う採用手法がなかなか見つからず、中途採用が難しくなっている企業もあるでしょう。

各企業でさまざまな採用手法を取り入れているため、一つの手法だけでは安定して人材の採用ができないケースも多く見られます。

採用活動にかけられるリソースに限りがある

中途採用にかけられるリソースが限られており、思うようなペースで採用活動が進められていないが故に「採用活動が難しい」という事態に陥っていることも考えられます。

特に、退職や業務量の増加といったイレギュラーに対応するための欠員補充を目的に中途採用を行う場合は、突発的に採用活動が始まることもあるでしょう。全体のスケジュールが読めない一方で「可能な限り、早く採用したい」という現場の要望に応える必要もあります。
このような突発的かつ、ひっ迫したスケジュール感で、他業務と並行して採用活動を進めなければならない点は、人事・採用担当者にとって難しさを感じるポイントです。

中途採用でよくある失敗例

そもそも「中途採用が難しい」とは、具体的にどのような状況を指すのでしょうか。ここでは、中途採用の現場で発生しやすい失敗例を紹介します。

【中途採用でよくある失敗例】
●求める人材からの応募が集まらない
●面接辞退や入社承諾前辞退が続出する
●採用スピードが遅く、他社に人材を奪われる
●入社後のミスマッチにより早期離職が発生する

求める人材からの応募が集まらない

中途採用で最も多い課題のひとつが、求める人材から十分な応募が集まらない状態です。募集を開始しても応募数自体が伸びない、あるいは応募があっても自社が求める人材像と合致しないケースが続くと、選考の幅が狭まり、期待する採用成果につながりにくくなります。

この背景には、競合企業と比較した際の知名度不足や、給与・待遇が相場に見合っていない点、あるいは市場に数が少ない人材像を求めているといった要因が考えられます。こうした条件が重なると、母集団形成が難しくなり、採用初期の段階でつまずいてしまうことになります。

面接辞退や入社承諾前辞退が続出する

応募が集まったとしても、選考途中で辞退されてしまうケースもよく見られます。面接日の直前に辞退されることもあれば、採用条件通知書を出したあとで承諾に至らず辞退される場合もあります。

昨今ではオンライン選考が一般化し、転職希望者が複数社を同時に受けやすい環境が整ったことで、比較検討の速度がかつてより速くなっています。他社のほうが条件や働き方、社風の印象が良いと判断されれば、辞退につながりやすくなります。また、企業側の情報提供が不十分で魅力が伝わりきらない場合も、志望度が高まらず辞退率が上がる一因となります。

採用スピードが遅く、他社に人材を奪われる

選考プロセスが長かったり、企業側のレスポンスが遅かったりすると、有望な候補者が他社へ流れてしまいます。転職活動を進めている人の多くは、できるだけ早く次の職場を決めたいと考えています。そのため、面接日程の調整や合否連絡が遅れると、それだけで候補者の興味が離れ、スピード感のある企業に先を越されてしまうことがあります。

このような状況には、採用担当者のリソース不足や、関係部署との調整がうまくいかず意思決定に時間がかかるといった組織的な課題も関係しています。いずれにしても、判断の遅さは採用競争が激しい市場において大きな機会損失となります。

入社後のミスマッチにより早期離職が発生する

採用が成功したように見えても、入社後すぐに離職してしまうケースも中途採用では珍しくありません。業務内容や役割、職場の雰囲気などが事前のイメージと異なっていたり、入社後のフォローが不十分で業務になじめなかったりすると、早期離職につながりやすくなります。

特に未経験者や異業界からの転職者は、新しい環境に適応するためのサポートが不可欠です。研修やOJT、定期的な面談などのオンボーディング体制が整っていない場合、疑問や不安を抱えたまま業務に入ることになり、ミスマッチが起こりやすくなります。

中途採用がうまくいかない企業に共通する課題

中途採用を進める過程で上記のような失敗が起きる企業では、以下のような課題が発生していることが考えられます。

【中途採用がうまくいかない企業に共通する課題】
●採用計画や採用要件があいまいなまま進めてしまう
●選考回数や提出書類が多い
●採用活動が属人化しており再現性がない
●採用KPIや振り返り指標が設定されていない
●現場と人事・採用担当者の認識がずれている

採用計画や採用要件があいまいなまま進めてしまう

採用計画や採用要件が不明瞭(ふめいりょう)なまま採用活動を進めてしまうと、中途採用が難航します。「自社はどのような人材を求めているのか」があいまいでは、転職希望者と自社の間でミスマッチが生じたり、採用活動が長期化したりする可能性が非常に高いためです。

また、採用計画や採用要件が不明瞭だと、関係者間での情報共有や、進捗(しんちょく)状況の確認にも支障を来します。

選考回数や提出書類が多い

選考の回数や、応募段階で求める書類の種類などが多いと、転職希望者にとってハードルが高く感じられてしまいます。特に選考の回数が多いと、途中で他社での採用が決まってしまい、転職希望者が他社のほうを選ぶこともあるでしょう。

また、提出書類が少なくとも、紙の履歴書を必須としている場合も転職希望者の負担になりかねません。オンライン上で必要事項を入力すれば提出できるWeb履歴書よりも、都度購入・印刷して必要事項を記入し、郵送あるいは持ち込みで提出する紙の履歴書のほうが、手間がかかるためです。

採用活動が属人化しており再現性がない

採用活動が特定の担当者に依存していると、その担当者が異動・退職した際に業務が滞り、採用プロセス自体が止まってしまうリスクがあります。また、担当者ごとに進め方が異なると、ノウハウが共有されず再現性がないため、採用の質やスピードが不安定になりがちです。

このように、属人化は「担当者不在で採用が止まるリスク」と「採用品質の再現性がない」という2つの課題を生み、結果として中途採用が難しくなる原因となります。

採用KPIや振り返り指標が設定されていない

採用KPIとは、応募数や選考の通過人数、採用単価など、企業が採用活動で目標を達成するために設定する指標のことです。中途採用がうまくいかない企業は、この採用KPIを適切に設定できていない可能性があります。

採用KPIを設定できていれば、各プロセスで必要な業務やリソースを把握できるため、採用活動の精度が向上します。反対に、採用KPIを適切に設定できていない状態で採用活動を進めると、過剰な業務や不足する業務が発生し、採用の精度が下がってしまうでしょう。

現場と人事・採用担当者の認識がずれている

実際に新人を迎え入れる現場の担当者と、人事・採用担当者の認識がずれている場合も、中途採用がうまくいかなくなることが考えられます。認識の擦り合わせが不十分だと、「採用ミスマッチが頻繁に起きる」「採用活動の効率が低下する」といったことが起こりかねないためです。

例えば、採用担当者が作成する求人広告の内容が現場のニーズとずれていた場合、ニーズと合致しない転職希望者からの応募が集まってしまうことが考えられます。また、1次面接で人事・採用担当者が「問題ない」と判断しても、2次面接で現場の担当者が採用を見送ることが常態化すると、採用活動がいつまでも終わらないでしょう。

中途採用を改善するために人事・採用担当者が見直すべきポイント

それでは、中途採用が思うように進んでいない企業は、どこを改善すれば良いのでしょうか?以下で改善ポイントを解説します。

【中途採用を改善するために人事・採用担当者が見直したいポイント】
●採用計画や基準を明確に設定する
●自社に合った採用手法を選定・再設計する
●採用フローを短縮し意思決定を早める
●アウトソーシングの活用で人事・採用担当者の負担を軽減する
●入社後フォローを前提に採用フローを設計する

採用計画や基準を明確に設定する

もし採用計画や採用基準が定まっていないのであれば、まずはこの2つを明確に設定することが大切です。

採用計画を立てることで、計画に沿って採用活動を効率的に進められます。万が一、予定よりも進捗状況が滞っている場合も、採用計画を基準に軌道修正が可能です。例えば、「営業職を3カ月以内に2名採用する」といった具体的な目標を設定していれば、応募数が想定を下回った段階で求人広告の掲載追加やスカウト配信数の増加など、打ち手を迅速に検討できます。

また、採用基準が明確になっていると、複数の担当者が採用活動に携わる場合も「この転職希望者は自社が求める人材かどうか」の認識を統一できます。例えば、「法人営業経験3年以上」だけでなく、「新規開拓の実績があるか」「目標達成率が何%以上か」「チームでの協働経験があるか」といった評価項目を具体化しておけば、面接官ごとの主観によるばらつきを抑えることができます。

採用計画や採用基準を定める際は、転職市場の調査と現場へのヒアリングを行い、その内容を基に考えましょう。

(参考:『採用ペルソナとは?項目例・設定の手順・具体例をまとめて紹介【テンプレート付】』『採用基準とは?具体的な設定手順や自社にマッチした人材の見極め方|テンプレ付』)

自社に合った採用手法を選定・再設計する

応募がなかなか集まらない企業では、採用手法の見直しが有効です。手法ごとに出会える転職希望者の傾向や、適した企業は異なるため、「どのような転職希望者を採用したいのか」を基準に、自社に最適な採用手法を検討してください。

なおどの採用手法にもメリット・デメリットがあるため、採用活動をより効率的に進めるには複数の手法を組み合わせることをお勧めします。

(参考:『【採用課題別】自社に合った最適な採用手法とは?~各採用手法の特徴やポイントを解説~』『【2025年版】採用手法16選を徹底比較|メリット・デメリット・最新の注目トレンド』)

採用フローを短縮し意思決定を早める

一定の応募が集まっているにもかかわらず、面接前辞退や入社承諾前辞退が続いている場合は、採用フローを見直したいところです。転職希望者が自社に応募してから採用条件通知書を受け取るまでの期間が短くなれば、辞退のリスクを抑えることにつながるでしょう。

例えば、以下のような工夫で採用フローを短縮できます。

【採用フローを短縮する方法】
●面接回数を1~2回に抑える
●筆記試験や適性検査を省略する
●複数の選考を1日にまとめて実施する

ポイントは、「効果が薄い」と感じられる工程を省くことです。やみくもにフローを短縮するのではなく、適切な見直しを行います。

アウトソーシングの活用で人事・採用担当者の負担を軽減する

人事・採用担当者の業務負担が大きいことで、中途採用がうまくいっていない場合は、アウトソーシングを活用して負担を軽減させましょう。具体的には、人材紹介サービスや採用代行サービスを活用するといった選択肢があります。

あるいは、採用業務は全て自社で行う方針であれば、採用に直結しない業務を外部に委託することで業務負担を軽減できます。

(参考:『人材紹介サービスとは?人材派遣との違いや手数料をわかりやすく解説』『RPO(採用代行)とは?対応業務の内容や費用、メリットを解説』)

入社後フォローを前提に採用フローを設計する

採用まではできているものの、早期離職が課題となっているのであれば、入社後のフォロー体制をあらかじめ考えておきましょう。例えば、以下のようなフォロー体制を整えておくことで、入社後の人材の定着につながります。

【入社後フォローの例】
●実務に入る前に研修を実施する
●定期的な面談を実施する
●上長による進捗状況の管理やサポートをこまめに行う

入社後の適切なフォローにより、仕事や人間関係の悩みや不安を解消できるようになります。採用活動を行う段階で入社後のフォローまで想定し、現場の担当者と連携しておくと良いでしょう。

中途採用の具体的な対策

上述の改善ポイントを踏まえた上で、以下の施策に取り組むことで、中途採用した人材が定着してくれる可能性が高くなるでしょう。

【中途採用の成果を高める具体的な対策】
●採用ブランディングで企業の魅力を言語化する
●採用広報・広告施策で接点を増やす
●スカウトやダイレクト・ソーシングを活用する
●労働条件・はたらき方・キャリア支援制度を見直す
●福利厚生を充実させる

採用ブランディングで企業の魅力を言語化する

応募者を増やしたいなら、採用ブランディングを強化して自社の魅力を転職希望者に届けましょう。採用ブランディングとは、転職希望者に対して自社の企業価値や目標を伝え、入社意向を高めてもらうための施策のことです。

具体的には、自社の採用サイトやSNSを活用した情報の発信などが挙げられます。また、求人広告を掲載する際に、文章や動画で自社の雰囲気を伝えるといった方法もあります。

社内でのヒアリングや競合分析を行って、採用市場での自社ならではの強みを明確化し、採用ブランディングに落とし込んでみてください。

(参考:『採用ブランディングとは?目的や方法、ポイントと成功事例を紹介』『採用戦略とは?立て方と手順・有効なフレームワークや企業事例を解説』)

採用広報・広告施策で接点を増やす

広報活動を積極的に行って、転職顕在層から転職潜在層まで広く接点を持ち、多くの転職希望者に自社の存在を伝えることも有効です。例えば、以下の手段を用いることで、転職顕在層・潜在層との接点を増やせます。

【採用広報でお勧めの広報・広告手法】
●SNS広告:顕在層・潜在層に自社への興味を持ってもらえる
●リスティング広告:職種・業種などで検索している転職希望者に、自社の存在を伝えられる
●採用サイト・採用LP(ランディングページ):比較検討フェーズの転職希望者に自社の強みを届けられる

目的や対象によって、適切な広報・広告の手法は異なります。自社の求める層に合う手法を選びましょう。

スカウトやダイレクト・ソーシングを活用する

売り手市場が続く昨今、転職希望者からの応募を待つ、従来の「受け身」の採用手法だけでは中途採用がうまく進まないこともあります。スカウトやダイレクト・ソーシングなど、企業から転職希望者に働きかける「攻め」の手法も試してみましょう。

求人広告のサービスによっては、自社の求人に興味のある転職希望者に対してアプローチする、スカウト機能があります。また、ダイレクト・ソーシングは、データベースの中から自社が求める人材像に合致する転職希望者を絞り込み、一人ひとりに自社の選考を案内する新しい採用手法です。

このような新しい試みを取り入れることで、これまでに接点のなかった転職希望者と出会う機会を増やせる可能性があります。

労働条件・はたらき方・キャリア支援制度を見直す

待遇を改善したり、キャリア支援制度を設けたりといった条件の見直しも大切です。特に近年は、働き方改革の影響もあってか、多くの労働者の間でワーク・ライフ・バランスの実現を重視する意識が高まっているようです。
労働条件を見直すだけでなく、在宅勤務制度やフレックスタイム制の導入など、多様なはたらき方に対応できる環境を整えると良いでしょう。

また、従業員一人ひとりの成長をサポートするキャリア支援制度を設けることもお勧めです。研修制度を整えたり、資格取得を支援する仕組みをつくったりすることで、モチベーションの高い転職希望者に選ばれる可能性が高まります。

(参考:『【弁護士監修】在宅勤務の導入方法と押さえておきたい4つのポイント◆導入シート付』『フレックスタイム制を簡単解説!調査に基づく84社の実態も紹介』『特別休暇とは?定め方やどんな条件で何日取得可能?就業規則は?|申請書フォーマット付』)

福利厚生を充実させる

同じような条件・業務内容の競合他社と差別化する方法としては、「自社の福利厚生を充実させる」といった施策が挙げられます。

どのような福利厚生を導入するのかによって、自社が重視していることを間接的にアピールできます。例えば、ランチ会やサークル活動費の補助を出している企業であれば、「従業員同士のコミュニケーションを重視している会社だ」ということが転職希望者に伝わるでしょう。

中途採用の成功につながった企業事例

ここでは、実際に中途採用の成功につながった企業事例を紹介します。

【中途採用の成功につながった企業事例】
●働き方改革による応募者増|株式会社ニイミ
●中途採用者数を10年で20倍に|株式会社村田製作所
●バーチャル活用によるエンジニア採用|株式会社スリー・イー
●入社承諾率を大幅改善|ヒガノ株式会社

働き方改革による応募者増|株式会社ニイミ

飲食業やアミューズメント業を展開している株式会社ニイミは、働き方改革に積極的に取り組んだ結果、応募者増に成功。
2012年から飲食事業を強化し、順調に店舗や売上・利益を増やしたものの、「退職者が少しずつ出てくる」ことが課題でした。求人広告を出しても、応募がゼロということも少なくなかったと言います。退職理由を聞いたところ、大半が「はたらく環境」によるものと判明。残業が月に20時間以上、多いときには月30~40時間となる状態が慢性化していました。

こうした状況を受け、「労働環境を変えなければ事業拡大どころか存続すらままならない」との思いから、経営上層部は働き方改革を本気で推進するようになりました。これまでは現場任せとなっていた社員の労務管理を、本部で管理する体制に変更。このほか、「現場のオペレーション簡素化」や「スタッフの動線を考慮した店づくり」「休日に関するルール作り」なども行いました。

働き方改革を進めた結果、「長く安定してはたらきたい」「残業が少ない環境で、プライベートを大切にしながらはたらきたい」方からの応募が増えたと言います。

(参考:『働き方改革は中途採用の応募者増に効果あり!困難を極めた店長候補4名の採用に成功するまで』)

中途採用者数を10年で20倍に|株式会社村田製作所

株式会社村田製作所は、2000年代までは大半が新卒採用の社員で構成されており、年間の中途採用者は10人以下でした。事業拡大に伴い人員が必要になり、2009年ごろから急速に中途採用を増やし、10年間で200人を超えるまでになりました。

中途採用者を増やすために行った施策が、従業員の「自己実現の多様性」のバックアップです。社内のダイバーシティーを確保するため、新卒/中途や性別、ライフステージを問わず、社員一人ひとりがライフキャリアを実現できる会社にしたいと考え、採用方法や人事制度などを、ダイバーシティをあと押しするものに変更。

一例としては、事業や技術への貢献など専門的なキャリアのステータスを上げることを重視した「貢献コース制度および専門系管理職制度」が挙げられます。中途採用者にもマッチしやすい制度となっているため、「採用」だけでなく「定着」という面でも効果を発揮しているそうです。

(参考:『中途採用者数が10年で20倍。多様化が進んだ村田製作所、変革の原点となった「2000年代の危機感」』)

バーチャル活用によるエンジニア採用|株式会社スリー・イー

ネットワーク・セキュリティー・サーバー関連の事業を展開している株式会社スリー・イーでは、独自の選考プロセス「バーチャルインターン」の導入により、ITエンジニアを50人採用することに成功。

バーチャルインターンを導入する以前は、人材紹介サービス会社を介して採用活動を行っていたものの、200人の応募に対して採用ゼロという結果になることもありました。また、別の採用手法で入社した従業員の早期離職も少なからずあり、ビジネスマナーや業務の進め方といった基本的な部分でつまずいてしまうケースが多くあったと言います。

こうした状況を受け、母集団形成と自社の求める人材の採用のためには他社との差別化ができるような特長のある選考方法が必要と判断し、バーチャルインターンの導入を決めました。バーチャルインターンとは、1日2時間のオンラインで実施される無料の研修プログラムです。対象はITエンジニア未経験者で、研修内容はガイダンスやビジネスマナー研修、ITリテラシー研修などです。選考プロセスは、「応募」→「会社説明会」→「バーチャルインターン」の順となっており、バーチャルインターンを計6日間・全プログラムを受講することで、「選考合格」としました。(※2022年9月時点)

受講中は、講師と受講者の間で双方向のコミュニケーションが活発に行われます。そのため、受講者にとっては「仕事の疑似体験ができて、ITエンジニアとしてはたらくイメージが湧く」、同社にとっては「受講者の仕事に対する姿勢や取り組みから、強みや人柄を把握できる」という効果があるそうです。バーチャルインターンの導入後、入社承諾率は90%前後という高水準を維持。バーチャルインターンにより、「応募者がITエンジニアとしてはたらくことへの理解が深まったこと」「カルチャーフィットができているということ」「人柄の良い人材を採用できているということ」が入社承諾率の高さにつながったと言います。

(参考:『独自の選考プロセス「バーチャルインターン」で、ITエンジニアを50名採用することに成功』)

入社承諾率を大幅改善|ヒガノ株式会社

建築物の外構やエントランス周辺の製品を製造するヒガノ株式会社では、人材サービス会社の活用や採用プロセスの変更により、入社承諾率を大幅改善することに成功。

同社は、「社員の平均年齢が高く、さまざまな分野で人材が不足している」「経営幹部候補や管理職、バックオフィスを任せられる人材が足りない」といった課題を抱えていました。また、社外から人を集めようと求人募集をしていたものの、「応募者がまったく集まらない」「応募があっても、面接時に選考辞退されてしまう」という課題がありました。そうした状況が続く中、社長は人材業界ではたらく友人から「“採用する側”というマインドのままではうまくいくはずがない。まずは自社のことをとにかく知ってもらうことが大事なんじゃないか」という言葉をもらいました。「応募者にとって志望動機を語れるほどの情報を、提供できていなかった」ことに気付き、採用に対する考えを変えるきっかけになったと言います。その後、人材紹介サービス会社の活用や採用プロセスの変更を実施することになりました。

自社の知名度を考慮し、人材紹介サービス会社とのパートナーシップが必要不可欠だと判断。職種ごとに仕事内容や採用要件をまとめ、人材紹介サービスに人材を推薦してもらうことにしました。人材紹介サービス会社とのコミュニケーションを重視し、担当営業に同社の事業内容や経営状況などを理解してもらうようにしたと言います。その結果、担当営業から「マーケティングの経験はないが、経営戦略の推進を任せられる人材がいます」といったような、事業課題にマッチした提案をもらえるようになったそうです。

採用プロセスについては、「見極め」の面接を廃止し、会社説明を中心としたオンラインの面談を実施することにしました。同社のファンになってもらえるよう、面談の半分以上の時間を使い、社長自らが会社のことをありのままに説明。具体的には、事業内容や募集職種の仕事内容、経営戦略、組織構成、業績、経営理念、人事理念、10年後を見据えた同社の成長計画などさまざまな情報を伝えていると言います。また、選考基準については、スキルや経験だけでなく、仕事への姿勢や同社の理念への共感をより重視する基準へと変更しました。

これらの取り組みにより、入社承諾率の大幅改善につながったそうです。

(参考:『選考辞退続出の状況から高い入社承諾率を達成!中小企業に学ぶ応募者をファン化するために必要なこと』)

中途採用を成功に導くための実践チェックリスト

最後に、中途採用を成功に導いて、定着率を改善するためのチェックリストを紹介します。「自社の採用課題」と「見直すべき採用プロセス」の2つに分けてチェックリストを用意しましたので、ぜひご活用ください。

自社の採用課題を整理するチェック項目

「応募がなかなか集まらない状況を改善したい」とお考えの場合は、以下のリストに現在の状況を照らし合わせてみてください。

【採用課題を解決するチェックリスト】
●求める人材像に合う採用手法を複数活用している
●求人に「業務内容」「求める役割」「キャリアパス」などの情報を具体的に記載している
●給与や勤務条件だけでなく、自社の理念や文化、チームの雰囲気も伝えている
●SNSや採用サイトなどで継続的に情報を発信している
●採用ブランディングに基づき、自社のメッセージを一貫させている

全ての項目にチェックが入るよう、自社の採用活動をブラッシュアップしましょう。

すぐに見直すべき採用プロセスの項目

「採用活動をもっと効率的に進めたい」「採用プロセスに改善点がある気がする…」とお考えの場合は、以下のチェックリストを確認してください。

【採用プロセスを改善するチェックリスト】
●オンライン面接を導入している
●関係者間で採用に関する価値観・基準を擦り合わせている
●選考フローを定期的に見直している
●外部サービスを活用している・活用を検討している
●転職希望者の応募から採用連絡までのフローを一元管理している

一つひとつ項目を確認していくことで、採用活動の効率化につながります。

まとめ

中途採用に難しさを感じる理由には、「求人倍率の上昇」「採用市場に即戦力となる人材がいない」といった外的要因のほか、「自社のリソース不足」などの内的要因も挙げられます。それぞれ解決方法が異なるため、本記事で紹介したポイントを取り入れて、中途採用を成功させましょう。

(制作協力/株式会社eclore、編集/d’s JOURNAL編集部)

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